公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問4

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

森田療法について、正しいものを1つ選べ。
  • 「精神交互作用」の過程を重視する。
  • 創始時に多く適用された対象は、統合失調症であった。
  • あるがままに受け入れるアプローチは、「身調べ」に由来する。
  • 原法の絶対臥褥(がじょく)期では、読書は行ってもよいとされる。
  • 「ヒポコンドリー性基調」とは、注意が外界に向けられ他者に敏感である状態をいう。

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この過去問の解説 (3件)

01

「森田療法」とは・・・
・1919年、日本の森田正馬が考案
・神経症に対する精神療法
・神経症症状の背景にある神経質性格に注目
・神経質性格には「とらわれ」が特徴的
・「精神交互作用」により悪循環が起きる
・悪循環や症状へのとらわれから脱し「あるがまま」を目指す
などが主な特徴として挙げられます。

1.森田療法では「精神交互作用」の過程を重視します。
これが正答です。
精神交互作用とは、ある感覚に集中すればするほど
その感覚がより強まり、さらにその感覚が集中することをいいます。

2.森田療法は神経症に対するものです。
現在は、パニック障害、慢性化うつ、身体疾患の患者のメンタルケア等に対する治療効果も紹介されていますが、主には神経症圏への適用であり、
統合失調症は該当しません。

3.「身調べ」というと、内観・内観療法のキーワードです。
内観療法は1940年代に吉本伊信が開発したもので、森田療法よりも後で誕生しています。

4.絶対臥褥期は、とにかく終日横になって過ごすルールです。
食事・洗面・お手洗い以外は、読書はもちろん他の活動も不可とされています。

5.「ヒポコンドリー性基調」とは、
不安・恐怖・緊張など不快な感情や症状に対して過度に注意を向け、
それにとらわれるタイプのことをいいます。
注意を外に向け他者に敏感になるタイプとは異なります。

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02

正解は1です。

森田療法は、森田正馬が考案した日本独自の心理療法です。

各選択肢については、以下の通りです。

1→精神交互作用とは、自己の心身の状態に注意が集中することでかえって不快な状態になってしまう悪循環のことを言います。
森田療法は、この過程を重視した心理療法となっています。
よって選択肢は、正しいです。

2→創設時、森田療法の対象は、神経症性障害でした。
よって選択肢は、誤りです。

3→「見調べ」は内観療法のプロセスです。
よって選択肢は、誤りです。

4→森田療法の絶対臥辱期では、食事、洗面、トイレ以外は寝るだけであり、その他一切の活動が禁じられています。
よって選択肢は、誤りです。

5→ピポコンドリー性基調とは、自身の不調や不快に敏感なことです。
そのため、注意は、内界へ向けられます。
よって選択肢は、誤りです。

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03

この問題で覚えておくポイントは以下の通りです。

森田療法の治療対象者、治療内容、用語について理解を深めておきましょう。どのような疾患、病態に有効かを知るだけでなく、疾患をどのように分析しているか、具体的な対象者を思い浮かべておくとよいと思います。それでは問題を見てみましょう。

選択肢1. 「精神交互作用」の過程を重視する。

森田療法で定義されている「神経症性格」を基盤とした「とらわれの規制」の一つの規制です。ある事象に対し感覚が鋭くなって不安がつのり、その不安が気になり(感覚が鋭く)、さらに不安になり注意がこのこと以外向かなくなるという循環的な思考が続き、症状が増強する規制ですので、正解です。

 

選択肢2. 創始時に多く適用された対象は、統合失調症であった。

森田療法の創始時の治療対象は、神経症に分類される、不安症状が生じる疾患ですので、間違いです。

選択肢3. あるがままに受け入れるアプローチは、「身調べ」に由来する。

森田療法において、対象者が自己の気づきを得ることを求めることから、今ある状態をそのまま「あるがまま」を受け入れられるように支援します。

それに対し、「身調べ」は内観療法で行われるものであり、生まれてから現在まで、今までの生き様を自分で振り返り自己洞察することで治療する方法です。

以上より、間違いです。

選択肢4. 原法の絶対臥褥(がじょく)期では、読書は行ってもよいとされる。

この期では集中的に安静することが求められます。

治療開始から1週間は面会や読書もできず、食事とトイレ以外は横になりますので、間違いです。

選択肢5. 「ヒポコンドリー性基調」とは、注意が外界に向けられ他者に敏感である状態をいう。

森田療法では、ヒポコンドリー性基調から、神経症が発症するとされています。ヒポコンドリー性基調とは心配性で些細なことを気にしやすく、自分に取って不都合なことを悪い事態にとらえてしまう傾向があるとされています。

問題文とは逆の状態であるため、間違いです。

 

まとめ

森田療法の対象は現在では神経症のみならず、うつ症状などでもみられる、不安な事柄に注意が向き、さらに不安が増長するような症状の方にも用いられているため、内容をしっかりと吟味し、提唱当時の内容を整理しておく必要があります。

今回の問題で取り上げられている用語以外にも、「神経質性格」「とらわれの規制」など、森田療法で語られている重要な用語がありますので、基本的な治療期とその内容と合わせて、理解を深めておきましょう。

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