公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問7

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

条件づけについて、正しいものを1つ選べ。
  • 貨幣やポイントを強化子とした条件づけを二次条件づけと呼ぶ。
  • 古典的条件づけは、条件刺激と無条件反応の連合によって成立する。
  • オペラント条件づけによる行動変容以前の行動頻度をオペラント水準と呼ぶ。
  • 連続強化による条件づけは、間歇強化による条件づけよりも消去抵抗が強い。
  • 古典的条件づけにおいては、逆行条件づけは順行条件づけよりも条件反応の獲得が良好である。

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この過去問の解説 (3件)

01

条件づけについて一つ一つ落ち着いて検討していきましょう。

1.二次条件づけとは、
ある条件刺激Aに対するBという反応を、
別のCという刺激でもBの反応を条件づけることが可能であり、
一度獲得されたA→Bの反応を新たなC→Bでも条件づける手続きのことです。
強化子を用いた条件づけのことではありません。

2.古典的条件づけは「条件反射」のことで、
代表例としては、「パブロフの犬」「梅干しを見ると唾液が出る」です。
刺激の対呈示により刺激間の連合が起こり、反応の変化をもたらします。
つまり、パブロフの犬の実験でいうと
「ベルを鳴らす」「餌を与える」という刺激を連合させ、
「唾液が出る」という反応を作ることで、古典的条件づけが成立します。
条件刺激と無条件反応の連合ではありません。

3.これが正答です。
オペラント条件づけにより行動変容を測る際、
行動変容以前の行動頻度はオペラント水準といいます。

4.間歇強化(かんけつきょうか)とは、
成功報酬がもらえる頻度が少ないほど報酬があった際の快感が大きくなり、
その余韻の虜になって何度もその行動を繰り返す心理的なメカニズムのことです。
ギャンブル依存のイメージに近しいものです。
大きい報酬なんてめったに手に入らないけれど、その快感を味わいたくて、
幾度と外れてもやめられなくなるのです。
毎回のように報酬がもらえる連続強化よりも、
間歇強化の方が「やめられない!」となる=消去が起こりにくい、といえます。
消去が起こりにくい、つまり消去抵抗が強いのは、間歇強化の方です。

5.古典的条件づけにおいては、
中性刺激を呈示し、その後、無条件刺激を呈示します。
パブロフの犬の例でいうと、
まずベルの音を聞かせる→その後エサを食べさせる、という手順です。
この呈示順を逆にすることを逆行条件づけといいますが、
この場合の条件反応の獲得は不確かです。
餌を食べさせてもらった後でベルが鳴っても、
特に気にならない、ベルの意味が特に意識されない、といったところでしょうか。
イメージしてみると分かりやすいですね。

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02

正解は、3です。

各選択肢については、以下の通りです。

1→貨幣やポイントを強化しとした条件づけは、二次強化といいます。
よって選択肢は、誤りです。

2→古典的条件づけは、条件刺激と無条件刺激の連合によって成立します。
よって選択肢は、誤りです。

3→オペラント水準とは、条件づけを行う前から既にみられていた自発的な行動頻度のことを言います。
よって選択肢は、正しいです。

4→間歇強化とは、成功時、たまに成功報酬を与える方法です。
一方、連続強化とは、成功時、毎回、成功報酬を与える方法です。
連続強化よりも、間歇強化の方が消去抵抗は強いとされています。
よって選択肢は、誤りです。

5→古典的条件づけについて、パブロフの犬で考えます。
順行条件づけは、ベル→餌の順で条件を提示します。
実験の結果、犬はベルが鳴るだけでも唾液をたらします。
つまり、条件反応が獲得された状態です。
一方、逆行条件づけは、餌→ベルの順で条件を提示します。
この場合、犬は、ベルが鳴っても唾液をたらす可能性は低く、条件反応の獲得は困難と考えられます。
よって選択肢は、誤りです。

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03

この問題で覚えておくべきポイントは以下の通りです。

様々な条件付けがありますので、内容を具体的なエピソードも含めて理解しておく必要があります。

それでは問題を見てみましょう。

選択肢1. 貨幣やポイントを強化子とした条件づけを二次条件づけと呼ぶ。

2つの刺激を関連付けておくと、あとから提示した刺激のみでも同様の反応を引き起こすことができることが2次条件付けです。前提条件として予めある刺激においてある反応が生じていることが必要です。

強化子は、ある結果が生じたあとに、その結果を強化する目的で提示するものですので、強化子を先に呈示しても、望む結果を導きだすという関連性は基本的にはありません。そのため間違いです。

選択肢2. 古典的条件づけは、条件刺激と無条件反応の連合によって成立する。

レスポンデント条件付けとも言われる反応です。

条件刺激と無条件刺激の連合により成立しています。そのため間違いです。

選択肢3. オペラント条件づけによる行動変容以前の行動頻度をオペラント水準と呼ぶ。

この説明どおり、正解です。

 

選択肢4. 連続強化による条件づけは、間歇強化による条件づけよりも消去抵抗が強い。

オペラント条件付けで用いられる条件付けの種類です。連続強化による条件づけは、毎回結果に対し強化子が与えられるため、行動獲得が容易となります。逆に消去する場合でも、毎回強化子を与えないことにより、同様の反応となるため間歇強化による条件付けよりも容易に消去可能となります。間歇強化では、強化子がないとき(いつ強化子が与えられるかという期待)を経験しています。そのため、消去の判断が連続強化よりも難しくなるため、消去されるまでに時間がかかります。そのため、間違いです。

選択肢5. 古典的条件づけにおいては、逆行条件づけは順行条件づけよりも条件反応の獲得が良好である。

効果的な呈示の方法は、順行条件付け(行動を予想させる刺激⇒無条件刺激)が有効と言われています。逆は、結びつきが曖昧で分かりにくいため、間違いです。

まとめ

学習方法、刺激と反応(反射)の関係性を丁寧に整理しておきましょう。それぞれの心理学者が、それそれの理論に基づいて、条件付けの条件を提唱しているため、各理論を押さえておくことがポイントです。

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