公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問14

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

集団思考<groupthink>に関する説明として、正しいものを1つ選べ。
  • 集団内で同調圧が高いと感じるときに生じやすい。
  • 集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて優れている。
  • 集団構成員間の親密性が低いとき、思考や発言が抑制されやすい。
  • 集団で課題を遂行すると、一人当たりの成績は単独で遂行するときよりも低下する。
  • 緊急時に援助できる人が自分以外にもいる場合、自分しかいない場合より援助行動が抑制されやすい。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.集団内での同調圧が高いと集団思考は生じやすくなります。
 10人中9人が「カレーが食べたい」と言ったら、
 一人だけ「お寿司がいい」とは言いにくいですね・・・。

2.集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて優れているとは言い切れません。
 集団思考はまたの名を「集団浅慮」とも言い、集団で考えると判断を誤ることがある、不適切な決定を下す可能性がある、という意味合いです。

3.集団構成員間の親密性が高い場合に、思考や発言が抑制されやすいと考えられます。
 全く関わりのないただその場に居合わせただけの10人中9人が
 「カレーが食べたい」と言っていても特に気にせず「私はお寿司がいい」と言えそうですね。
 個人的な思考があっても、親密性が高い場合には、
 関係性への影響など考えて遠慮してしまう、つまり思考や発言が抑制されやすい、ということです。

4.これは集団思考の説明ではありません。
 集団における行動面のことで、「社会的手抜き」です。
 また、集団で課題遂行する場合、一人当たりの成績は単独で遂行する場合よりも低下する、とは言い切れません。
 一人ではあまりやる気が出なくても「よーし!皆で頑張るぞ!」という経験がありませんか。
 一方で、集団で遂行する場合は単独よりも成績が良い、とも言い切れません。
 場合によります。

5.緊急時に援助できる人が自分以外にもいると、
自分しかいない場合よりも援助行動が抑制される、
ということ自体は合っています。
ただし、これは集団思考の説明ではありません。
集団思考は、集団の凝集性が高い場合に不適切な判断をしがちであることを言い、
この緊急時の援助場面は集団思考は該当しません。
 

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02

正解は、1です。

1→集団内で同調圧が高いと、5名中自分以外の4名の意見が一緒だった場合、自分も4名の意見に合わせやすくなってしまいます。
よって選択肢は、正しいです。

2→集団での意思決定は、同調圧や親密性などにより、時に極端な結論に至ってしまうこともあり、質の良くない決定がされる場合も多いです。
よって選択肢は、誤りです。

3→集団構成員間の親密性が高いと、思考や発言が抑制されやすいです。
例えば、仲の良い友人ばかりがグループの集団だと、嫌われたくないなどと思ってしまい、自分の意見を言いづらくなります。
よって選択肢は、誤りです。

4→集団思考の説明ではありません。
集団で課題を遂行すると、一人当たりの成績は単独で遂行するときよりも低下するというのは、「社会的手抜き(社会的抑制)」に関する説明です。
よって選択肢は、誤りです。

5→集団思考の説明ではありません。
緊急時に援助できる人が自分以外にもいる場合、自分しかいない場合より援助行動が抑制されやすいというのは、「傍観者効果」に関する説明です。
よって選択肢は、誤りです。

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03

この問題で覚えておくべきポイントは以下の通りです。

集団思考の理論、集団の特徴や具体的な活用例を理解しておきましょう。

それでは、問題を見てみましょう。

選択肢1. 集団内で同調圧が高いと感じるときに生じやすい。

みんなで同じことを考えているとき、違う意見を述べるには勇気がいる、という場面はよく経験されていると思います。

同調圧とは場を乱す人、その場の意見とは異なる意見を持っている人に対し、統一を図ろうと圧力がかかることを指しますので、正解です。

選択肢2. 集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて優れている。

集団意思決定の質は、必ずしも個人の意思決定に比べて優れているとはいえません。

たとえば、リスキー・シフトのように、個人による意思決定より集団で意思決定したもののほうが、よりリスクを背負う選択になることもあります。そのため、間違いです。

選択肢3. 集団構成員間の親密性が低いとき、思考や発言が抑制されやすい。

集団思考において、個人の思考や発言が抑制されやすいのは、集団凝集性が高いときですので、間違いです。

選択肢4. 集団で課題を遂行すると、一人当たりの成績は単独で遂行するときよりも低下する。

この問題文はリンゲルマン効果(社会的手抜き)の説明であり、集団思考に関するものではありません。

集団で課題を遂行すると、他者に引き上げられて単独で遂行するよりも向上することもありますので、間違いです。

選択肢5. 緊急時に援助できる人が自分以外にもいる場合、自分しかいない場合より援助行動が抑制されやすい。

この問題文は、傍観者効果に関するものです。

集団思考に関する説明ではありませんので、間違いです。

まとめ

ジャニスの集団思考モデルを理解しておきましょう。集団凝集性が高く、組織の構造的欠陥(集団の孤立・不公正なリーダーシップ・方法手続きの規範の欠如・メンバーの等質性)、誘発的要因(外部からのストレスや自尊心の低下)により、個人で考えた結果よりも誤った判断をしてしまうというものです。

集団心理全般についても、整理して覚えておく必要があります。類似した考えが多いため、具体的な行動と合わせておぼえていくとわかりやすいかもしれません。

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