公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問16
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問16 (訂正依頼・報告はこちら)
バウムテストについて、正しいものを1つ選べ。
- K. Koch が精神疾患の診断を目的に開発した。
- 形状の年齢的変化では、二線幹のバウムは6歳までには減少する。
- 樹冠の輪郭の有無によって、心理的発達の成熟又は未成熟が把握できる。
- M. Grünwald の空間象徴理論に基づいて解釈を行うことを基本とする。
- 対人関係や感情表出の特徴を示す指標として、枝の先端の処理に注目する。
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この過去問の解説 (3件)
01
各選択肢については、以下の通りです。
1→K.Kochが開発したテストですが、当初は、職業適性検査に用いられていました。
よって選択肢は、誤りです。
2→6歳までに減少するのは、一本幹です。
よって選択肢は、誤りです。
3→心理的発達は、樹木の形で評価します。
樹冠の有無によって、自己評価や精神活動などを評価します。
よって選択肢は、誤りです。
4→バウムテストは、樹木全体の構成や幹の形などの細部を見ながら、総合的に心理状態を解釈していきます。
また、バウムテストに統一された解釈法は存在しません。
よって選択肢は、誤りです。
5→枝は、人間関係の相互作用の円滑さなどを示します。
例えば、先端が鋭いと批判的・攻撃的とされています。
よって選択肢は、正しいです。
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02
臨床場面においてもバウムテストの結果が精神疾患の診断に直結して用いられることはありません。
診断時にパーソナリティ理解に用いたり、治療方針・支援方針の検討をしたりすることが目的です。
2.6歳までに一線幹が減少します。一線幹とは、枝の描写を一本の線のみで表すものを言います。
(参照:幼児の樹木画テストにおける発達的な検討https://www.soka.ac.jp/files/ja/20170512_153244.pdf)
3.樹幹の輪郭の有無で把握できるのは、自分と外の世界に対する姿勢です。
自分の外に向けてどのような姿を見せているかを把握する目安になります。
4.バウムテストの解釈は主に3つの観点から行います。
空間象徴理論が基本とは言い切れません。
空間象徴理論の他、形態・動態から把握します。
5.これが正解です。
先端が鋭い場合は攻撃的な傾向、
柔らかく描かれた場合は争いを避け穏やかに対人関係を形成する傾向、
など特徴を把握する目安になります。
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03
この問題で覚えておくべきポイントは以下のとおりです。
バウムテストの内容、結果の解釈について、理解を深めておく必要があります。
それでは、問題を見てみましょう。
確かに、開発者は正解ですが、目的は精神疾患の診断ではありません。現在は性格検査、対象者のパーソナリティを把握することが目的ですが、当初は職業適性に影響を与える人格特性を理解することが目的でしたので、間違いです。
幼児期の絵画の発達において、観察したまま、平面図が記載できるようになるのは、幼少期以降となります。Koch自身の研究において、樹木画の形態指標の50以上の項目について、5歳から16歳までの子どもにどれくらいの割合で出現するか、発達過程との関連性について研究している。殴り書き等の一線での絵画から先に表現されるのは一線幹であり、減少して二線幹に変化するため、間違いです。
参考文献:Koch,K;The Tree test :The tree-drawings test as an aid in psychodiagnosis.2nded,林勝造訳『バウムテスト-樹木画による人格診断法,Hanx Huber,Bern u,Stuttgart.1952
樹冠の輪郭を明確には5~6歳程度で記載されるようになります。有無で成熟度の判断との問いですが、様々な表現方法でこれよりも低年齢でも表現がなされています。判断の基準としてはあいまいさがあるため、間違いです。
確かに空間象徴理論に基づいて解釈を行いますが、基本としてはそれだけではありません。全体的印象から細部にわたり様々な視点を活用し、複合的に判断することが求められますので、間違いです。
枝を記載するかしないか、またどのように表現するかについては、形式分析として着目して判断しますので、正しいです。
バウムテストは絵画のため、判断の抽象度が高く、一般的には他の心理テストと併用して活用するものです。乳幼児の絵の発達過程についても理解をしておくこと、バウムテストの理論的背景や特徴的な判断基準を整理して覚えておきましょう。
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