公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問20

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

対象喪失に伴う悲嘆反応に対する心理的支援について、正しいものを2つ選べ。
  • 悲嘆を悪化させないためには、喪失した対象を断念することを勧める。
  • 理不尽な喪失体験に遭遇したときは、現実検討ではなく気分の転換を優先する。
  • 喪失した対象に対する悲嘆過程を共に体験し、その意味を共に探ることが目標である。
  • 悲嘆が病的な反応へと陥らないように、健康な自我の働きを支えることが目標である。
  • 悲嘆反応の中で出てくる喪失した対象への罪悪感は、病的悪化の要因になりやすいため、心理的支援の中で扱うことは避ける。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

1.「断念」は不適切です。

2.安易に気分の転換を優先することは不適切です。

3.これが正解です。
悲嘆過程を共にする、共に意味を探る、という姿勢が大切です。

4.これが正解です。
対象喪失に伴う悲嘆反応自体は自然なものですが、
それが病的な反応へと陥ると問題性が大きくなります。
そうならないよう、健康的な面を支えることが大切です。

5.罪悪感も含め心理的支援の中で丁寧に扱い、
病的に悪化することを防ぐことが望ましいです。

参考になった数102

02

正解は、3、4です。

各選択肢については、以下の通りです。

1→失った対象を断絶するのではなく、受け入れ、新たな意味合いを見つけていくことが大切です。
よって選択肢は、誤りです。

2→気分転換を優先するのではなく、まずは、思いの傾聴などを優先すべきです。
よって選択肢は、誤りです。

3→クライエントに寄り添い、共に意味づけを行っていく姿勢は大切です。
よって選択肢は、正しいです。

4→悲嘆は喪失体験において正常な反応ですが、度を越えて病的になると、正常な反応ではなくなります。
そのようにならないよう、クライエントの自我の健康を支える必要があります。
よって選択肢は、正しいです。

5→罪悪感は悲嘆反応の中で見られる正常な反応です。
そのため、心理的支援においても扱うべき事象であり、丁寧に扱っていくことで、病状悪化を防ぐことにもつながります。
よって選択肢は、誤りです。

参考になった数77

03

この問題で覚えておくべきポイントは以下のとおりです。

悲嘆反応がどういう反応であるか、その理由と、心理的支援に関して、一連の流れを覚えておく必要があります。

それでは問題を見てみましょう。

選択肢1. 悲嘆を悪化させないためには、喪失した対象を断念することを勧める。

喪失した対象を断念することは、回復を妨げる行動のため、間違いです。むしろ、その苦痛を理解するように努めることが必要です。

選択肢2. 理不尽な喪失体験に遭遇したときは、現実検討ではなく気分の転換を優先する。

喪失体験と向き合うことが立ち直るためのきっかけとなるため、間違いです。適切に向き合うことができるように支援する必要があります。

選択肢3. 喪失した対象に対する悲嘆過程を共に体験し、その意味を共に探ることが目標である。

支援するうえで、悲嘆過程をともに体験することで、その悲しみを受容することにつながります。自分を過度に責めることではなく、現実と向き合うきっかけとして、悲しみと向き合うこと、その意味を探ることがケアの目標のため、正解です。

選択肢4. 悲嘆が病的な反応へと陥らないように、健康な自我の働きを支えることが目標である。

健康な自我の働きを支えること、つまり、自分のおかれた状況を理解し、現実と向き合うことができるよう支援することは、悲嘆から立ち直るために必要であるため、正解です。

選択肢5. 悲嘆反応の中で出てくる喪失した対象への罪悪感は、病的悪化の要因になりやすいため、心理的支援の中で扱うことは避ける。

悲嘆反応における罪悪感は、現実を受け入れられるために向き合うことが必要であり、本人の悲嘆過程をともに共感することが求められるため、間違いです。

まとめ

デーケンの悲嘆のプロセス12段階を物語的にして覚えておきましょう。次の段階へ進むときに、どのような支援があると望ましいか、という観点で支援方法も整理しておきましょう。様々な一般的な対応が可能であり、その対応に関する誤解が日常的に存在しています。そのため、慣例ではなく、知識として支援方法を覚えておきましょう。

参考になった数1