公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問48

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問48 (訂正依頼・報告はこちら)

ICD−10の病的窃盗の診断基準及び DSM−5の窃盗症の診断基準のいずれにも含まれないものを1つ選べ。
  • 窃盗行為は利得のためではない。
  • 窃盗行為に及ぶ前に緊張感が高まる。
  • 窃盗行為に及ぶとき解放感が得られる。
  • 窃盗行為は少なくとも6か月間にわたって起こっている。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

ICD-10(国際疾病分類)によると、「病的窃盗」は「盗みをやめたくてもやめられない」という精神障害です。

ICD-10では、「この障害はものを盗むという衝動に抵抗するのに何度も失敗することで特徴づけられるが、それらのものは個人的な用途や金儲けをするために必要とされない。逆に捨ててしまったり、人に与えたり、秘匿したりすることがある」と記されています。
(引用:「盗みが止められないクレプトマニア(窃盗症)とは? 原因や治療法を解説」https://tetsuyas-mindpalace.com/kleptomania/

また、DSM-5(アメリカの精神疾患の診断基準)では、「窃盗症」と呼ばれる精神疾患のひとつとされています。

DSM-5の診断基準としては、以下のものが挙げられます。
A 個人的に用いるのでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
B 窃盗におよぶ直前の緊張の高まり。
C 窃盗を犯すときの快感、満足、または解放感。
D 盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく、妄想または幻覚に反応したものでもない
E 盗みは、行為障害、躁病エピソード、または反社会性人格障害ではうまく説明されない。
(参考:「クレプトマニアとは」 http://kleptomania-amity.or.jp/about.html

1.→窃盗行為は、DSM-5のA「個人的に用いるのでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される」に該当するため、1は含まれます。

2.→窃盗行為は、DSM-5のB「窃盗におよぶ直前の緊張の高まり」に該当するため、2は含まれます。

3.→窃盗行為は、DSM-5のC「窃盗を犯すときの快感、満足、または解放感」に該当するため、3は含まれます。

4.→窃盗行為の続く期間については、ICD-10にもDSM-5にも明記されていないため、4は含まれません。よって、4が正解です。

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02

窃盗症はクレプトマニア、病的窃盗とも言います。

◆疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)による診断基準は下記の通りです。
病的窃盗 [盗癖]
この病態では物を盗む衝動を抑えることに繰り返し失敗する。
盗んだ物は個人的に使用したり金銭に変えたりしない。
そのかわり盗んだ物を捨てたり人にやってしまったり、あるいは貯めこんだりすることがある。
この行動は通常、行為の前の緊張感の高まりを伴い、行為の最中及び直後の満足感を伴う。

◆精神障害の診断と統計の手引き(DSM-5)による診断基準は下記の通りです。
A.個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、
物を盗ろうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
B.窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり
C.窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感
D.その盗みは、怒りまたは報復を表現するためのものではなく、
妄想または幻覚への反応でもない。
E.その盗みは、素行症、躁病エピソード、
または反社会性パーソナリティ障害ではうまく説明されない。


以上から、
1. この説明は正しいです。

2. この説明は正しいです。

3. この説明は正しいです。

4.正答です。この説明は誤りです。
 期間についてはいずれの基準にも含まれていません。

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03

この問題で覚えておくべきポイントは以下のとおりです。ICD-10の病的窃盗、DSM-5の窃盗症の診断基準をそれぞれ理解しておきましょう。

それでは、問題を見てみましょう。

 

選択肢1. 窃盗行為は利得のためではない。

どちらも、個人的な用途や金儲けのために行われるものではないと診断基準にあるため、正しいです。

選択肢2. 窃盗行為に及ぶ前に緊張感が高まる。

どちらも、実施前の緊張感の高まりを認めることが診断基準になっているため、正しいです。

選択肢3. 窃盗行為に及ぶとき解放感が得られる。

どちらも実施後の解放感が、窃盗行為を助長していると言えるため、正しいです。

選択肢4. 窃盗行為は少なくとも6か月間にわたって起こっている。

反復することは記載がありますが、期間の定めはありませんので、不適切です。

まとめ

ICD-10、DSMー5の記載事項は類似しており、DSMー5のほうが、より具体的な症状の表記があります。窃盗症だけでなく、精神疾患は比較的公認心理師が関わりやすい疾患です。症状をよく理解しておきましょう。

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