公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問61

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問61 (訂正依頼・報告はこちら)

10歳の女児A、小学4年生。小学校への行きしぶりがあり、母親に伴われて教育相談室に来室した。母親によると、Aは学習にも意欲的で、友達ともよく遊んでいる。母親をよく手伝い、食前に食器を並べることは必ず行うので感心している。幼児期は泣くことも要求も少ない、手のかからない子どもだった。Aに聞くと、音読が苦手であり、予習はするが授業中うまく音読ができず、緊張して瞬きが多くなり、最近では家でも頻繁に瞬きをしてしまうという。また「友達には合わせているが、本当は話題が合わない」と話す。
Aの見立てと対応として、最も適切なものを1つ選べ。
  • チック症状がみられるため、専門医への受診を勧める。
  • うつ状態が考えられるため、ゆっくり休ませるよう指導する。
  • 発達障害の重複が考えられるため、多面的なアセスメントを行う。
  • 発達障害が考えられるため、ソーシャルスキルトレーニング<SST>を行う。
  • 限局性学習症/限局性学習障害<SLD>が考えられるため、適切な学習方法を見つける。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

Aの状態をまとめますと、以下のようになります。

・小学校への行きしぶりがある
→不登校の始まりかもしれません。全体的にはいわゆる「良い子」であろうとして頑張っている様子が伝わってきます。
→音読が苦手であること、そのことへの緊張があることから、そのことが原因である「行きしぶり」もあるかもしれません。

・音読が苦手であり、予習はするが授業中うまく音読ができない
→DSM-5の「限局性学習症」と呼ばれる発達障害の「読みの障害」の疑いがあります。

・緊張してまばたきが多くなり、最近では家でも頻繁に瞬きをしてしまう
→DSM-5の「運動障害」における「チック障害」に当たる可能性があります。

・友達には合わせているが、本当は話題が合わない
→これだけでは「発達障害」のコミュニケーション障害とは言い切れません。小学4年生の正常な発達の中での「グループになじめない」ということも考えられます。

1.→この事例は、チック症状だけが見られるわけではありません。音読の苦手さから、二次的にチック症状が出ていると考えるのが適切です。また、チック症状が出たからといってすぐに専門医への受診を勧めるのではなく、まず様子を見て、女児への接し方や環境調整を試みることが先です。よって1は誤りです。

2.→「学習にも意欲的で、友達ともよく遊んでいる」「よく母の手伝いをしている」ことを考えると、うつ状態とは考えにくいです。また、行きしぶりがあるからと言って、必ずしもゆっくり休ませる対応が最良かは、ケースによります。よって、2は誤りです。

3.→チック障害と限局性学習症の両方の疑いがあり、かつ、小学4年生女子の正常発達内の人間関係の問題もあるかもしれません。まずは多面的なアセスメントを行う必要があります。よって、3は正しいです。

4.→学習障害への対応としてソーシャルスキルズトレーニングを行うのは適切とは言いがたいです。また、友達に合わせられる力はあるため、対人関係スキルを改めて今学ぶほどの緊急性はないと考えられます。よって、4は誤りです。

5.→限局性学習症が考えられるケースではあります。適切な学習方法を見つけることも必要です。ただ、限局性学習症だけが原因の行きしぶりではない可能性もあるため、まずはアセスメントをしっかり行うことが先になります。よって、5は「最も適切」ではありません。

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02

Aには音読の困難さ、頻繁な瞬きといった特徴が見られ、「友達に合わせている」という発言もあります。
このことから、読字障害や運動性チックなどの可能性が考えられますから、これらを満たす3が正解となります。

なお、チックは大半がストレスによる一過性のものですから、1のようにいきなり専門医の受診を勧めることは適切とは言えません。

参考になった数42

03

以下に解説させていただきます。

「小学校への行きしぶり」「うまく音読ができず、緊張して瞬きが多い」「友達には合わせているが、本当は話題が合わない」が本文のAの状態をアセスメントするキーワードです。

上記の情報のみで一部の病名診断に限局するには難しいです。

「小学校への行きしぶり」は、不登校や精神的負担の増強が考えられますが、具体的な理由はここではわかりません。

「うまく音読ができず、緊張して瞬きが多い」は、チック障害が考えられます。突然で反復的な運動や声の出し方が特徴の障害です。頻繁な瞬きは、症状の一種である可能性があり、通常、ストレスや緊張に応じて症状が悪化することがあります。

「友達には合わせているが、本当は話題が合わない」は、Aの発達状況や、思考、性格について把握する必要があります。

以上より様々な要因が混在しており、情報収集の必要性が高いことが考えられます。

選択肢3. 発達障害の重複が考えられるため、多面的なアセスメントを行う。

適切です。

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