問題
Aの見立てと対応として、最も適切なものを1つ選べ。
正解は3です。
Aの状態をまとめますと、以下のようになります。
・小学校への行きしぶりがある
→不登校の始まりかもしれません。全体的にはいわゆる「良い子」であろうとして頑張っている様子が伝わってきます。
→音読が苦手であること、そのことへの緊張があることから、そのことが原因である「行きしぶり」もあるかもしれません。
・音読が苦手であり、予習はするが授業中うまく音読ができない
→DSM-5の「限局性学習症」と呼ばれる発達障害の「読みの障害」の疑いがあります。
・緊張してまばたきが多くなり、最近では家でも頻繁に瞬きをしてしまう
→DSM-5の「運動障害」における「チック障害」に当たる可能性があります。
・友達には合わせているが、本当は話題が合わない
→これだけでは「発達障害」のコミュニケーション障害とは言い切れません。小学4年生の正常な発達の中での「グループになじめない」ということも考えられます。
1.→この事例は、チック症状だけが見られるわけではありません。音読の苦手さから、二次的にチック症状が出ていると考えるのが適切です。また、チック症状が出たからといってすぐに専門医への受診を勧めるのではなく、まず様子を見て、女児への接し方や環境調整を試みることが先です。よって1は誤りです。
2.→「学習にも意欲的で、友達ともよく遊んでいる」「よく母の手伝いをしている」ことを考えると、うつ状態とは考えにくいです。また、行きしぶりがあるからと言って、必ずしもゆっくり休ませる対応が最良かは、ケースによります。よって、2は誤りです。
3.→チック障害と限局性学習症の両方の疑いがあり、かつ、小学4年生女子の正常発達内の人間関係の問題もあるかもしれません。まずは多面的なアセスメントを行う必要があります。よって、3は正しいです。
4.→学習障害への対応としてソーシャルスキルズトレーニングを行うのは適切とは言いがたいです。また、友達に合わせられる力はあるため、対人関係スキルを改めて今学ぶほどの緊急性はないと考えられます。よって、4は誤りです。
5.→限局性学習症が考えられるケースではあります。適切な学習方法を見つけることも必要です。ただ、限局性学習症だけが原因の行きしぶりではない可能性もあるため、まずはアセスメントをしっかり行うことが先になります。よって、5は「最も適切」ではありません。