公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問66
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問66 (訂正依頼・報告はこちら)
55歳の男性。肺癌の終末期で緩和ケアを受けている。家族によれば、最近苛立ちやすく、性格が変わったという。夜間はあまり眠らず、昼間に眠っていることが多い。
この患者の状態を評価する項目として、最も優先すべきものを1つ選べ。
この患者の状態を評価する項目として、最も優先すべきものを1つ選べ。
- 幻覚
- 不安
- 意欲低下
- 見当識障害
- 抑うつ気分
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この過去問の解説 (3件)
01
「最近苛立ちやすく、性格が変わった」、「夜間はあまり眠らず、昼間に眠っていることが多い」といった症状からは、高次脳機能障害や抑うつ状態が疑われます。
となると、選択肢のいずれも当てはまりそうですが、ポイントは“最も優先すべきもの”という記述です。
本問は見当識障害について、どの程度理解しているかが全てと言えるかもしれません。
見当識障害は時間や季節、場所、人が分からなくなるという認知症の中核症状の1つですが、せん妄の症状にも見当識障害は含まれています。
また、せん妄の他の症状として、幻覚・妄想、睡眠・覚醒リズムの障害、人格の変化などがあります。
そしてせん妄は、適切な処置が行われない場合、死に至ることもあります。
以上により、最優先すべきは4の見当識障害ということになります。
本問は、かなりの難問かもしれません。
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02
がん医療において、せん妄は頻度が高いものになります。
せん妄とは、「身体的異常や薬物の使用を原因として急性に発症する意識障害(意識変容)を本態とし、失見当識などの認知機能障害や幻覚妄想、気分変動などのさまざまな精神症状を呈する病態である。」(一般社団法人日本サイコオンコロジー学会 せん妄ガイドラインhttps://jpos-society.org/pdf/gl/delirium/2-1_jpos-guideline-delirium.pdf より引用)
せん妄は、その精神運動性の程度により、過活動型と低活動型に分類されます。前者は、不穏など活動性が高く、活発な精神運動興奮が背景になるものが多いです。また、後者は、傾眠など意識の混濁による活動性の低下が背景になるものが多いです。
「最近苛立ちやすく、性格が変わった」「夜間はあまり眠らず、昼間に眠っていることが多い」という記述から、せん妄の過活動な状態と低活動な状態が出現してきている可能性があります。
「見当識障害」を回復させることがせん妄の回復につながることを考えると、この患者の状態を評価するにあたり最も優先すべきものは「見当識障害」であるということができます。よって、4は正しいです。
なお、せん妄の精神症状としての気分変動と、いわゆる精神病的な抑うつ状態との鑑別が必要になります。「2.不安」「3.意欲低下」「5.抑うつ状態」を除外する必要があります。よって、2,3,5は最も優先すべきものから外れます。
「1.幻覚」に関しては、せん妄の症状のひとつにもありますが、せん妄の回復に「見当識障害」を回復させることが優先されることを考えると、1も最も優先すべきものから外れます。
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03
以下に解説します。
こちらが適切です。
見当識障害とは、時間、場所、人物に対する認識の障害を指します。終末期では、患者が昼夜の区別がつかず、夜間に眠らず昼間に眠ることが多くなる場合もあります。疼痛や長時間の安静臥床によりせん妄をきたすこともあります。せん妄の患者は、見当識障害を起こしたり、感情が不安定で、易怒性を示すことがあります。
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