問題
Aへの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
正解は4です。
学校での相談活動は、スクールカウンセラー1人で行うものではなく、教員、管理職、他の専門職(養護教諭、スクールソーシャルワーカー等)と一緒にチームを組んで、連携して行っていくことで効果が期待されます(「チーム学校」の考え方です)。
これを踏まえて考えますと、
1.→Aは担任の先生に対して言っていることとスクールカウンセラーに対して言っていることが違うため、まずは担任の先生との話のすり合わせが必要になります。そして、担任の先生とスクールカウンセラーで連携し、支援にあたる必要があります。スクールカウンセラー独自の判断で家庭訪問をするのは「チーム学校」の考えに反しますし、担任の先生と対立することにもなりかねません。よって、1は誤りです。
2.→「実父と関係が悪く、居場所がない」という訴えだけでは児童虐待につながるかどうかはわかりません。実際にAが本当のことを言っているかどうかもわかりません。また、実母との関係も良好かどうかわかりません。まずは、担任の先生と情報交換をし、Aの家族関係をしっかりアセスメントしてから児童虐待の疑いがあるかどうかを判断する必要があります。よって、2は誤りです。
3.→Aに伝えず父親を学校に呼び出すということは、Aとスクールカウンセラーの関係をますます悪化させることにつながりかねません。また、父親を呼び出したことで、父親がAに対して叱ることがあれば、場合によっては父親とAの関係も悪化させることにもなりかねません。よって、3は誤りです。
4.→中学校で窃盗事件を起こし、担任の指導でスクールカウンセラーと面談しているということは、「Aの対人不信に留意し、面接の枠組みをしっかり保つよう工夫する」ということが必要です。Aはスクールカウンセラーにはいい顔をしようとして自分の家庭の事情を素直に話したとも考えられます。まずは、スクールカウンセラーは担任とは違う役割であり、いい子にしなくてもスクールカウンセラーはAを受容する立場であることを明確にする、一定の時間内で、面接室では(暴言や暴力は許容できないが)どんなことを話しても良いということを明確にする、など、面接の枠組みをしっかり保つようにすることが大事です。よって、4は正しいです。
5.→Aをよく知るクラスメイトに頼んでAを面接に連れてきてもらうということは、守秘義務にも反しますし、守秘義務に反することでAとの信頼関係が築けなくなります。よって、5は誤りです。