公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問72
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問72 (訂正依頼・報告はこちら)
35歳の男性A、営業職。1か月ほど前に、直属の上司Bからそろそろ課長に昇進させると言われ、Aは喜んだ。昇進の準備として部署の中期目標を作成するように指示されたが、いざ書こうとすると何も書けず、不安になり他の仕事も手につかなくなった。Aの様子を見かねたBの勧めで、社内の相談室に来室した。「中期目標はどう書けばいいか分からない。こんな状態で課長になる自信がない」と訴える。Aの許可を得てBに話を聞くと、Aの営業成績は優秀で、部下の面倒見もよく、Bとしても会社としても、課長に昇進することを期待しているとのことだった。
相談室の公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
相談室の公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。
- Aに中期目標をどのように書くべきか助言する。
- 現在Aは抑うつ状態であるため、まず精神科への受診を勧める。
- 昇進はチャンスと捉えられるため、目前の中期目標の作成に全力を尽くすよう励ます。
- 目前の課題に固着するのではなく、キャリア全体から現在の課題を眺めることを支援する。
- 現在のAには中期目標の作成は過重な負荷であるため、担当を外してもらうよう助言する。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は4です。
1.→Aの問題は、直接的には「中期目標が書けない」という主訴ではありますが、むしろ、「課長になる自信がない」というのが本当の主訴と考えられます。よって、1は不適切です。
2.→現在Aが抑うつ状態であると断定するには情報が少なすぎです。まずはAのアセスメントをしていく必要があります。よって、2は不適切です。
3.→「中期目標が書けない」と言っているAに「目前の中期目標の作成に全力を尽くす」よう励ますことは、Aの気持ちを受容しているとはいえません。また、公認心理師の姿勢として「励ます」という姿勢は不適切です。よって、3は誤りです。
4.→「中期目標が書けない」という問題の背後には、課長になる自信のなさやプレッシャーがあることが読み取れます。課題に焦点を当てるのではなく、今までのキャリアでできていることや、できていないことを整理し、より広い視点で課題を洗い出すことを支援するのは公認心理師として適切な姿勢です。よって、4は正しいです。
5.→「Aの営業成績は優秀で、部下の面倒見もよく、Bとしても会社としても、課長に昇進することを期待している」というBの評価があるのに担当を外してもらうというのは適切ではありません。また、A自身も課長に昇進することを喜んでいるのに、わざわざ担当を外してもらうというのは、公認心理師として適切な対応ではありません。よって、5は誤りです。
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02
1は、カウンセラーの役割ではありません。
2は、背景に抑うつ状態がある可能性はありますが、アセスメントもせずに“まず”精神科を勧めるのは不適切です。
3は、仮にAが抑うつ状態であった場合、励ましはタブーですから不適切です。
4は、適切な対応です。
5は、文章からAが優秀で人望もあると推定されますから、担当を外すよう助言することは不適切です。
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03
以下に解説します。
心理師の対応分野ではありません。
この段階で抑うつと判断するのは十分な情報がなく不確かなため、精神科受診を勧めるのは不自然です。
励ましや応援はクライアントの心理状況によっては悪影響を与えます。
正しいです。
最初は昇格を喜んでおり、一時的な落ち込みの可能性もありますので、この状況でわざわざ担当を外してもらうよう助言するのは不適切です。
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