公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午前 問76
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午前 問76 (訂正依頼・報告はこちら)
19歳の女性A。Aは高校卒業後に事務職のパート勤務を始めた。もともと言語表現は苦手で他者とのコミュニケーションに困難を抱えていた。就職当初から、仕事も遅くミスも多かったことから頻繁に上司に叱責され、常に緊張を強いられるようになった。疲れがたまり不眠が出現し、会社を休みがちになった。家事はこなせており、将来は一人暮らしをしたいと思っているという。WAIS−Ⅲ を実施した結果、全検査 IQ77、言語性 IQ73、動作性 IQ86。群指数は言語理解82、知覚統合70、作動記憶62、処理速度72であった。
この検査結果の解釈として、正しいものを1つ選べ。
この検査結果の解釈として、正しいものを1つ選べ。
- 視覚的な短期記憶が苦手である。
- 聴覚的な短期記憶が苦手である。
- 全検査IQは「平均の下」である。
- 下位検査項目の値がないため判断できない。
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この過去問の解説 (3件)
01
IQ・群指数ともに、平均が100であり、以下のように位置づけられています。
130以上…非常に高い
120~129…高い
110~119…平均の上
90~109…平均
80~89…平均の下
70~79…境界域
69未満…知的障害
1.→視覚的な短期記憶をはかっている指標は、WAIS-Ⅲの下位検査である「符号」になりますが、群指数としては視覚的な短期記憶をはかっている指標は出てきません。よって、1は誤りです。
2.→作動記憶(ワーキングメモリー)では、聴覚的な短期記憶をはかっています。群指数で、作動記憶だけ62で、他の群指数よりも落ちており、「知的障害」の域に入っています。よって、2が正解です。
3.→全検査IQは77なので、「平均の下」ではなく、「境界域」にあたります。よって、3は誤りです。
4.→下位検査の結果がなくても、言語性IQが動作性IQよりも低いことから、言語表現が苦手であることや、作動記憶が他の群指数より落ちていることから聴覚的な短期記憶が苦手で、指示の聞き間違い等が頻繁にあるであろうことが推測できます。よって、4は誤りです。
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02
WAIS-Ⅲ:知能検査の1つ。「全検査IQ」「言語性IQ」「動作性IQ」の3つのIQが測定される。IQは平均が100で、IQ85~115の間に全体の約3分の2が入るとされる。
対象年齢:16歳~89歳
言語性IQ:言語による知識を状況に応じて利用する能力を示す「言語理解 (VC)」と、注意を維持して耳で聞いた情報を処理する能力を示す「作動記憶 (WM)」から算出される。
動作性IQ:目で見た情報を取り込み、要素を関連付けてまとめる能力を示す「知覚統合 (PO)」と、目で見た情報を事務的に多く正確に処理する能力を示す「処理速度 (PS)」から算出される。
以上により、まず3と4は誤りです。IQ77は境界域ですし、下位検査項目がないからといって判断できないということはありません。
また、視覚的短期記憶は処理速度の下位検査である符号で測ることが出来ますが、下位検査に関する記述がありませんからこの点は不明です。よって1も正しくありません。
作動記憶が弱いと聞いたことを忘れやすくなりますから、2は正しいです。
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03
以下に解説します。
正しいです。
「作動記憶」の得点が62と非常に低いため、作動記憶(聴覚的な短期記憶を含む)の能力が苦手であると解釈されます。作動記憶は情報を短期間で保持し操作する能力を示し、聴覚的な短期記憶が関連しています。
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