公認心理師の過去問 第1回(2018年) 午後 問84
この過去問の解説 (2件)
正解は5です。
長期記憶とは、数分から一生にわたって保持される記憶のことです。長期記憶は、宣言的記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非宣言的記憶(手続き記憶、プライミング、古典的条件づけ)に分かれます。
宣言的記憶:言葉にできる記憶のことです。エピソード記憶と意味記憶に分類できます。「顕在記憶」とも呼ばれ、意識的な想起をともなう記憶のことを指します。
1) エピソード記憶:個人の経験など、5W1Hで表せる記憶を指します。
2) 意味記憶:一般的な知識に関する記憶を指します。
非宣言的記憶:必ずしも言葉にすることができない記憶のことです。自転車の乗り方や歯を磨くなどは、日々の習慣の中で意識して想起していることではありません。いわゆる「体で覚える」記憶がこれにあたります。具体的には、手続き記憶、プライミング、古典的条件づけに分類できます。また、「潜在記憶」ともいいます。
1) 手続き記憶:人間の習慣、技能などがここに入ります。
2) プライミング:事前に見聞きしたことがその後の判断や行動に影響を与えることを指します。
3) 古典的条件づけ:いわゆる「条件反射」のことをいいます。
1.→「非」宣言的記憶が手続き記憶とも呼ばれるため、1は誤りです。
2.→意味記憶は、一般的な知識や事実に関する記憶のことであるため、2は誤りです。
3.→エピソード記憶とは、時間的文脈と空間的文脈とが明確な記憶のことであるため、3は誤りです。
4.→顕在記憶と潜在記憶は、意識的な想起をともなうかともなわないかの違いにより分けられており、記銘時の意識の有無によっては分けられません。よって、4は誤りです。
5.→非宣言的記憶は、必ずしも言葉にすることができない記憶を指します。技能・習慣というのは「手続き記憶」のことを指しています。また、プライミング、古典的条件づけもここに入ります。よって、5は正しいです。
(参考URL:【図解あり】宣言的記憶と非宣言的記憶(手続き記憶)https://human-relation.net/psychology/declarative-procedure/)
選択肢を整理していきましょう。
1の宣言的記憶は、言語などを用いて想起することが出来る記憶です。
※手続的記憶は、言語を用いた想起が出来ず、身体の動きとして想起される記憶です。
2の記述はエピソード記憶の説明となっています。意味記憶とは、一般的な知識のことです(例:りんごは赤い)。
3の記述は意味記憶の説明となっています。エピソード記憶とは、個人的な体験や経験のことです(例:昨日、りんごを食べた)。
4について、顕在記憶と潜在記憶とは、記銘時の意識ではなく、想起意識(思い出そうとする意識)の有無によって区別されます。
例えば、前者には意味記憶やエピソード記憶が含まれます。後者は、思い出そうという意識がなくとも自然と行われる動作などのことで、例えば、自転車の操作や、野球やサッカーといったスポーツにおける動きが該当します。
5の非宣言的記憶は、手続的記憶やプライミング、条件付けなど、言語による想起ができない記憶の総称です。
以上により、正解は5となります。
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