公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問101
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問101 (訂正依頼・報告はこちら)
神経性無食欲症について、正しいものを1つ選べ。
- 経過中の死亡はまれである。
- 通常、心理療法によって十分な治療効果が得られる。
- 入院治療では、心理療法は可能な限り早期に開始する。
- 経管栄養で体重を増やせば、その後も維持されることが多い。
- 患者自身は体重低下に困っていないため、治療関係を築くことが難しい。
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この過去問の解説 (3件)
01
正答は5です。
「神経性無食欲症」は、摂食障害のひとつであり、一般的に「拒食症」とも呼ばれています。
太ることへの恐怖や痩せることへの願望が著しく強く、極端な食事制限をしたり、食事後に自発性嘔吐や下剤乱用によって排出したりすることで、低体重を維持しようとする状態を表します。また、自身の体重・体型に対する認知が歪んでおり、実際は痩せていても太っていると感じ、さらに痩せようとすることで上述したような行動が繰り返されます。
なお、不食など極端な食事制限のみの「制限型」と、(飢餓の反動で)過食した後に嘔吐や下剤使用などの排出行為により低体重を維持している「過食・排出型」に大別されます。
1 摂食障害は、精神疾患の中では致死率が高い(5~20%程度)疾患のひとつであると言われており、記述は誤りとなります。死因としては、低栄養状態に起因する合併症が多いとされています。
2 認知行動療法を用いて歪んだボディイメージを修正することを図るなど、心理療法についても効果は認められます。しかしながら、摂食障害においては、低体重・低栄養状態を改善するために、食事等から栄養を補給し、体重を回復させること(栄養療法)が優先となります。併せて、病気に対する正しい知識を持ってもらえるよう心理教育を行うことも治療を進める上では重要です。
まずは、心理療法に取り組むだけのエネルギーを栄養療法によって持たせること、心理療法に取り組む意欲を心理教育によって持たせることが肝要となり、心理療法のみでは十分であるとは言えないため、誤りとなります。
3 入院治療は、生命の維持、低体重・低栄養状態の改善が目的となります。心理療法は、体重が回復するなど身体の状態が安定してから導入することが望ましいと考えられるため、「可能な限り早期」との記述は誤りとなります。
4 摂食障害における治療の目的としては、自身の心理的問題(太ることへの恐怖心、痩せることへのこだわりなど)を解消することや、規則正しい食生活を習慣づけ適切な体重管理ができるようになることが挙げられます。
そのため、経管栄養で体重が増えても、上述した心理的問題や食習慣、体重管理などができないままであると、また痩せようとして極端な摂食行動を繰り返すことが考えられるため、誤りとなります。
5 実際は痩せていても、本人は太っていると感じ、さらに痩せようとするといった認知の歪みが特徴のひとつとして挙げられるように、本人が体重低下に困っていないことが少なからずあります。そうした場合、治療(体重を増やすアプローチ)に抵抗を示し、治療関係を築くことが難しくなるため、記述は正しいです。
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02
正解は5です。
神経性無食欲症(拒食症)は、摂食障害のうちの一つであり、過度のダイエット行動が契機となり発症します。思春期・青年期の女性の患者が多いです。
各選択肢については以下の通りです。
1.摂食障害の死亡率は6~20%で、他の精神疾患よりも高いです。極度の低栄養に起因する衰弱死、不整脈、感染症、自殺などが主な要因とされています。
よって、選択肢は誤りです。
2.認知行動療法が効果的な場合がありますが、十分ではありません。体重減少が著しく生命の危険がある場合は、入院した上での点滴治療が必要となります。
よって選択肢は誤りです。
3.入院治療は生命の維持と確保のために行われるもので、身体症状の治療を行い安定した後に 心理療法を開始します。よって選択肢は誤りです。
4.経過は複雑で、神経性無食欲症(神経性やせ症の摂食制限型)は、しばしば過食排出型(過去3か月間に、過食または排出行動(嘔吐や下剤、利尿薬、浣腸の乱用)が繰り返し認められる状態)や神経性過食症(大量の食べものを短時間に次々と摂取し(過食)、その後に過食を埋め合わせる行為(排出行動、絶食、運動など)を行うことを特徴とする摂食障害 )に移行することもあります。
患者には体重増加に対する強い恐怖があるので、体重や月経、さらに、認知面も含めた完全回復には年単位の時間がかかることもあります。よって選択肢は誤りです。
5.患者本人は病識に乏しく、治療の必要性を感じていないため、受診も遅れがちです。治療関係を築くことは難しいです。よって選択肢は正しいです。
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03
×2.治療効果はありますが、十分とは言い切れません。
×3.入院治療でまず行うことは、生命の安全と確保です。
まずは身体症状の治療が優先されます。
×4.本人は、体重増加・肥満への強い恐怖があるため、経管栄養で体重が戻っても、また痩せようとします。
○5.本人は病識が薄いため、治療の必要性を感じておらず、治療関係を築くことは難しいです。
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