公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問103

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問103 (訂正依頼・報告はこちら)

統合失調症の特徴的な症状として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 幻視
  • 観念奔逸
  • 情動麻痺
  • 被影響妄想
  • 誇大的な認知

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この過去問の解説 (3件)

01

統合失調症の症状は、陽性症状と陰性症状に大別されます。

陽性症状は通常見られない体験のことであり、幻覚や妄想、作為体験などが挙げられます。

陰性症状は通常保持されている機能が減弱することであり、喜怒哀楽が乏しくなるなど感情の平板化などが挙げられます。

DSM-5における統合失調症の診断基準としては、

①妄想

②幻覚

③まとまりのない発語

④まとまりのない行動

⑤陰性症状

のうち2つ以上が、ほとんどいつも存在する状態であるとされています。

さらに、少なくとも1つは①か②か③を含むこととされており、妄想や幻覚などのいわゆる陽性症状が特徴的な症状として位置づけられていると考えられます。

そのほか、統合失調症の診断において重要視されている点として、以下のようなシュナイダーの「一級症状」があります。

[1] 考想化声(自分の思考が声として聞こえる)

[2] 話しかけと応答形式での幻聴

[3] 自分の行動について誰かが批判する幻聴

[4] 身体的影響体験(身体が電波や光線などの影響を受けると感じる)

[5] 考想奪取(自分の考えを他人に奪われていると感じる)

[6] 考想伝播(自分の考えが他人に知られていると感じる)

[7] 妄想知覚(知覚に対して妄想的な意味付けをする)

[8] 作為体験(自分が他者に操られていると感じる)

上記の診断基準を鑑みて、「最も特徴的な症状」を検討すると、正答は4です。

1 幻視とは、実際には存在しないものが見える症状を表します。統合失調症の陽性症状として幻覚が挙げられますが、多くは幻聴(実際には聞こえない声が聞こえる)であり、幻視が最も特徴的であるとは言えないため、正答とはなりません。

2 観念奔逸とは、考えが次々と浮かんで展開し、まとまりがない状態となることを表します。双極性障害(躁病エピソード)の特徴的な症状として挙げられることが多いため、統合失調症の症状を表すにあたっては、最適であるとは言えません。

3 情動麻痺とは、突発的な激しい体験に襲われたときに生じる、一時的に情動が麻痺してしまう状態のことを表しており、統合失調症の特徴的な症状とは言えないため誤りとなります。なお、近い表現として、感情の鈍麻・平板化(喜怒哀楽が乏しくなるなど)といった陰性症状がありますが、DSMの診断基準において陰性症状は必須の項目とはなっていないことも鑑みると、やはり(4)被影響妄想の方が適していると考えられます。

4 DSMの診断基準①にも挙げられている「妄想」については統合失調症の特徴とも言えます。被影響妄想としては、考想奪取、考想伝播 などの思考的な妄想や、身体的影響体験などの身体的な妄想があり、いずれもシュナイダーの一級症状に含まれている特徴的な症状であり、正答となります。

5 誇大的な認知とは、自分は有能な人間であるなど、自身の状況を実際よりも大きく思い込んでいるような状態であり、双極性障害(躁病エピソード)で見られる症状として挙げられることが多く、正答とは言えません。

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02

正解は4です。

統合失調症の症状は、大きく陽性症状と陰性症状に分かれます。

陽性症状:幻聴、作為体験、被影響妄想、思考奪取等があります。

陰性症状:意欲喪失、無論理思考、快感情の消失、感情の平板化、非社交性等があります。

各選択肢については、下記のとおりです。

1→幻視ではなく幻聴が症状としてあります。

2→観念奔逸は、躁病で見られる症状です。

3→情動麻痺は、感情が揺さぶられるような大きな出来事があっても、何事もないかのような反応を示すことです。

4→先に述べた中の、陽性症状としてあります。

5→誇大的な認知とは、自分の能力や可能性について過大に認知する状態のことを言います。主に躁病で見られる症状です。

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03

正解は4です。

統合失調症とは、主に思春期以降に発病し、特徴的な精神状態を示します。
しばしば慢性の経過で進行します。
症状は陽性症状(健常者にはないものが現れる)と陰性症状(健常者にあるものがなくなる)があります。

陽性症状:幻覚、被害影響妄想、奇異な行動、思考伝搬など

陰性症状:感情の平板化、思考貧困化、無気力、非社交性など

各選択肢については以下の通りです。

1. 幻視ではなく、幻聴が陽性症状としてあります。よって、誤りです。

2. 観念奔逸(ある観念が過剰に現れて、全体として統一のない観念群をしゃべりまくる)は、躁病で見られる思考形式の障害です。よって、誤りです。

3. 情動麻痺とは、突発的な激しい体験によって、情動が麻痺することですが、一時的に起こるものです。
たとえ生命を脅かされるような危機的な状況であったとしても、他人事のように冷ややかに観察したり考えたりすることです。
よって、誤りです。

4. 上記の陽性症状に挙げています。正解です。

5.躁病の思考内容の障害として、誇大的な認知(自身の現在の状況を実際よりもはるかに大げさに空想して、それを事実のように思いこむ)があります。
よって、誤りです。

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