公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問110
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問110 (訂正依頼・報告はこちら)
反応性アタッチメント障害について、誤っているものを1つ選べ。
- 認知と言語の発達は正常である。
- 乳幼児期のマルトリートメントと関係が深い。
- 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害<ASD>と症状が一部類似する。
- 常に自分で自分を守る態勢をとらざるを得ないため、ささいなことで興奮しやすい。
- 養育者が微笑みかける、撫でるなど、それまで欠けていた情動体験を補うような関わりが心理療法として有効である。
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この過去問の解説 (3件)
01
各選択肢については、以下の通りです。
1→DSM−5の診断基準にも、「認知及び言語の遅れとともに現れる」とあります。
よって、選択肢の内容は、誤りです。
2→マルトリートメントとは、直訳すると、「良くない養育」です。反応性アタッチメント障害は、乳幼児期の適切な養育の欠如が背景にあるため、選択肢の内容は正しいです。
3→認知・言語の遅れや対人関係構築の難しさなど、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害と症状が似ています。
よって選択肢の内容は正しいです。
4→かかわりの中で、しばしば興奮の表出が見られます。
よって選択肢の内容は正しいです。
5→心理療法として、それまで欠けていた情動体験を補うような関わりが有効とされています。
よって選択肢の内容は正しいです。
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02
正解は1です。
反応性アタッチメント障害とは、養育者に対して進んで愛着(アタッチメント)を求めることを示さない障害で、ネグレクトとの関連性が指摘されています。
各選択肢については、以下の通りです。
1.幼少期に本来受けるべき適切な養育を受けることができなかった場合、言葉の遅れや、低栄養による身体的な成長の遅れがみられる場合もあります。よって、選択肢の内容は、誤りです。
2.マルトリートメント(maltreatment)とは、大人の、子どもに対する身体的・性的・心理的虐待とネグレクトを包括的に指す言葉です。上述のように、反応性アタッチメント障害はネグレクトとの関連性が示されていますので、選択肢の内容は正しいです。
3.うれしさや楽しさという感情の表出が困難で相手に無関心であることから、ASDと症状が一部類似します。よって選択肢の内容は正しいです。
4.怒りや悲しみ、不安など精神的に不安定で、心のコントロールが難しいので、ささいなことで興奮しやすい傾向にあります。よって選択肢の内容は正しいです。
5.患者に安心安全な場を提供し、不安や怒りなどの感情はリラックス法や認知行動療法でコントロールすることを教えます。よって選択肢の内容は正しいです。
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03
正答は1です。
反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)とは、通常見られない、不安定で複雑な言動を示す愛着障害のひとつです。警戒心や恐怖心が強く人に近づかない、周囲からの働きかけに反応しない、自分を制御できずに攻撃的になるなどが挙げられます。
これらは不安定で不適切な養育によって生じるものとされています。
1 認知や言語など発達の遅れが併発する場合があるとされており、選択肢は誤りとなります。
2 マルトリートメントは「不適切な養育」と訳されます。反応性アタッチメント障害は、養育者による虐待などの不適切な養育が原因とされており、関係が深いという記述は正しいです。
3 表情が少なかったり、相手を警戒して近づかないことや他者に素直に甘えられずに攻撃的な態度を見せることなど、他者との交流が円滑に持ちにくい特徴は、自閉スペクトラム症(ASD)に類似しており、記述は正しいです。
4 他者への信頼感が育まれていないため、自分で自分を守るしかないと臨戦態勢を取らざるを得なくなり、刺激に反応しやすく、興奮しやすい状態であると言えます。したがって、記述は正しいです。
5 治療にあたって、まずは安全で安心できる環境を与えることが肝要です。養育者の適切な関わりやケアは、子どもにとって安心感を与えるものであり、重要なアプローチであると言えます。
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