公認心理師の過去問 第1回(2018年) 午後 問121
この過去問の解説 (3件)
C.R.Rogersは「建設的人格変化の必要にして十分な条件」と「カウンセラーの守るべき3つの態度」を提唱しています。
各選択肢については、下記の通りです。
1→「建設的人格変化の必要にして十分な条件」とあるため、選択肢の内容は、正しいです。
2→「建設的人格変化の必要にして十分な条件」の内容に「セラピストはクライエントの内的照合枠について共感的理解を経験すること」とあります。
よって選択肢の内容は、正しいです。
3→セラピストの内的照合枠ではなく、クライアントの内的照合枠に沿って行われます。
よって選択肢の内容は、誤りです。
4→「カウンセラーの守るべき3つの態度」の共感的理解にあたります。
よって選択肢の内容は、正しいです。
正解は3です。
ロジャーズは、クライエント中心療法(来談者中心療法)の提唱者として著名です。彼が1957年に発表した論文「セラピーによるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件」の中で、以下の6つの事柄が示されています。
①2人の人間が心理的な接触(ラポート)を持っていること
②第1の人(クライエント)は不一致の状態、傷つきやすい状態、または不安な状態にあること
③第2の人(セラピスト)はその関係の中で一致している状態、統合している状態であること
④セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験していること
⑤セラピストはクライエントの内的照合枠を共感的に理解しており、その経験をクライエントに伝えようと務めていること
⑥セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮が、最低限クライエントに伝わっていること
また、彼は同論文で「これ以外の条件は必要ない。もしこれらの6条件が存在し、かつ、それらがしかるべき間、存在し続けるなら、それで充分である。建設的な方向に人格が変容する歩みが、結果として生じる」と論じています。
各選択肢については、下記の通りです。
1→上記の通り、必要にして十分な条件を満たしています。よって選択肢の内容は正しいです。
2.ロジャーズのパーソナリティ変容のための6条件に、「セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮が、最低限クライエントに伝わっていること」とあります。
よって選択肢の内容は正しいです。
3.共感的理解とは、相手の立場に立って考えることであるため、クライエントの内的照合枠に沿って行われることが適切です。よって選択肢の内容は、誤りです。
4.共感的理解のポイントとして、相手の心の内側のフレームに立って、その人自身になったつもりで、相手をその内側から理解することが必要です。よって選択肢の内容は、正しいです。
正答は3です。
クライエント中心療法においては、クライエントは自らの問題を解決できる力を持っていると考えられています。そして、カウンセラーは、クライエントが安心して自らの問題に取り組める場を提供するため「無条件の肯定的(積極的)関心」「共感的理解」「自己一致」の3つの基本的態度を取ることが重要であるとされています。
因みに、無条件の肯定的(積極的)関心とは、クライエントの話の内容、感情の在り方、人生への価値観などを肯定的に受け入れ、尊重していくことを表します。
共感的理解とは、クライエントの自身が感じているように感じようとし、感じられたことを丁寧にクライエントに伝えようとすることを表します。
自己一致とは、クライエントとの関わりの中で、カウンセラーの実感と言葉や態度が一致していることを表します。
1 記述のとおりです。クライエント中心療法においては、建設的な方向に人格が変容する必要条件として上記の基本的態度を挙げています。
2 ロジャーズは、セラピーによるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件として、カウンセラーの無条件の肯定的配慮や共感的理解が最低限にでもクライエントに伝わっていることを挙げており、記述は正しいです。
共感的理解をクライエントに伝えようとするため、まずは受け入れ、理解したことをクライエントに伝えるといった基本的共感を示すことは重要であると言えます。
3 共感的理解とは、クライエントが感じているように感じること、つまりクライエントの内的照合枠に沿って理解しようとする態度であり、記述の「セラピストの内的照合枠に沿う」という点が誤りとなります。
4 記述のとおりです。上記でも記載しましたが、クライエントが感じているように感じることが共感的理解と言えます。
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