公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問131
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問題
公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問131 (訂正依頼・報告はこちら)
認知症について、正しいものを2つ選べ。
- Lewy小体型認知症は幻視を伴うことが特徴である。
- 前頭側頭型認知症は運動障害を伴うことが特徴である。
- 血管性認知症では歩行障害と尿失禁が早期から出現する。
- 若年性認知症で最も多いのは Alzheimer型認知症である。
- Alzheimer型認知症の早期には近時記憶の障害がみられない。
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この過去問の解説 (3件)
01
各選択肢については、以下の通りです。
1→Lewy小体型認知症の特徴は、幻視、パーキンソン症状等です。
よって選択肢の内容は、正しいです。
2→前頭側頭型認知症の特徴は、反社会的な行動が現れることです。
よって選択肢の内容は、誤りです。
3→血管性認知症は、脳出血や脳梗塞などによって発症します。侵される部分によって症状は異なりますが、運動・感覚機能に障害が見られます。
よって選択肢の内容は、正しいです。
4→若年性認知症で最も多いのは、血管性認知症です。
よって選択肢の内容は、誤りです。
5→Alzheimer型認知症の特徴は、近時記憶の障害です。
よって選択肢の内容は、誤りです。
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02
正解は1、3、(4)です。(※下記注釈あり)
各選択肢については、以下の通りです。
1.Lewy小体型認知症とは、大脳や脳幹にLewy小体の出現がみられることで起こり、主な特徴は幻視、姿勢反射障害や安静時振戦などのパーキンソン症状等があります。よって選択肢の内容は、正しいです。
2.前頭側頭型認知症は、かつてはピック病とも呼ばれていた大脳の前頭葉及び側頭葉が萎縮することで起こる認知症です。主な特徴は反社会的な行動の出現や人格の変化が挙げられます。よって選択肢の内容は、誤りです。
3.血管性認知症は脳梗塞や脳出血などが原因として発症します。侵襲部位によって運動機能や感覚機能に障害がみられ、麻痺が出現することもあります。よって選択肢の内容は、正しいです。
※4.出題時の2018年(平成30年)では、選択肢1,3が正しく、4が誤りではありましたが、厚生労働省による若年性認知症実態調査(令和2年)によれば、若年性認知症の基礎疾患の内訳で最も多い疾患は「アルツハイマー型認知症」となっており、最新データで照らし合わせると4は正解となります。
(参照 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000706870.pdf)
5.Alzheimer型認知症を含む認知症の特徴として、過去の記憶よりもごく最近の記憶(「今朝、朝ご飯を食べたか」等)が留まらず生活のあらゆる場面で障害となることが挙げられます。これを近時記憶の障害と呼びます。よって選択肢の内容は、誤りです。
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03
正答は1と3です。
認知症とは、後天的な脳の障害などの原因により、認知機能が低下し、日常生活に支障が生じている状態を指します。主な症状としては、記憶障害(新しいことが覚えられない、過去のことを忘れてしまう)や見当識障害(時間や場所などが分からなくなる)、実行機能障害(物事を順序通りに進められない)などが挙げられます。
認知症の類型としては、「アルツハイマー型認知症」が最も多く、「レビー小体型認知症」「血管性認知症」「前頭側頭型認知症」を含めて、4大認知症と言われています。
1 レビー小体型認知症の特徴的な症状には、パーキンソン症状(手足が震える、動きが遅くなる)や幻視(存在しないものが見える)、レム睡眠障害(レム睡眠時に暴れたり、大声を出す)があり、記述は正しいです。
2 前頭側頭型認知症は、前頭葉や側頭葉が萎縮することで症状が生じる認知症です。このうち、側頭葉は言語機能を司る部分であり、これらが萎縮することで言葉が出にくくなるなどの言語面での支障が生じることが特徴です。したがって、運動障害ではなく言語障害を伴うことが特徴であるため、記述は誤りとなります。
なお、前頭葉は理性や感情をコントロールする部分であり、前頭葉が萎縮することで理性的に行動できなくなり、反社会的行動に及んでしまうことも、前頭側頭型認知症の特徴として挙げられます。
3 血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって発症する認知症です。障害の場所や程度で症状が異なりますが、手足の麻痺や歩行障害、排尿障害などが早期から現れることがあるとされています。また、原因が脳血管障害であるため、徐々に進むというよりも急速に症状が起こったり、悪化したりする点も特徴です。したがって、記述は正しいです。
4 65歳未満で発症した認知症を若年性認知症と呼びます。若年性認知症は、血管性認知症とアルツハイマー型認知症の2つが多く、高齢者に比べて血管性認知症が多く見られることが特徴です。
これまでは「血管性認知症」が最も多かったため、出題時(2018年)では4は正答とはなりませんが、現在では「アルツハイマー型認知症」が最も多くなっていますのでご留意ください。
5 アルツハイマー型認知症とは、脳が徐々に萎縮することで認知機能が低下していく病気であり、比較的緩やかに進行していきます。新しく経験したこと(近時記憶)から忘れていること、部分的でなく全体(食事を食べたことそのもの)を忘れることなど、加齢による物忘れとは異なる特徴があります。
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