公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問139

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問139 (訂正依頼・報告はこちら)

15歳の男子A、中学3年生。Aは不登校と高校進学の相談のため教育相談室に来室した。Aはカウンセリングを受けることに対して否定的であった。「カウンセリングに行かないと親に小遣いを減らされるので来た。中学校に行けないことについてはもう諦めている。通信制高校に進みたいが、親が普通高校へ行けと言うので頭にくる。毎日一人で部屋で過ごしているのは退屈なので友達と遊びに行きたいが、自分からは連絡できない」と言う。実際には、中学校の生徒に見られることを恐れて、近所のコンビニにも行けない状態だった。
作業同盟を構築するためのカウンセラーの最初の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

作業同盟とは、治療者と患者の間に作られる協力関係のことです。
事例では、Aはカウンセリングを受けることに否定的であることからも、まずは関係を築くことが重要となってきます。

各選択肢については、以下の通りです。

1→事例より、Aはカウンセリングを受けることに否定的なため、説明から入ることは避けるべきです。
よって選択肢の内容は、誤りです。

2→継続的な来室を進めることは、関係性がある程度築けてからとなります。
よって選択肢の内容は、誤りです。

3→関係を築くためにも、まずは、Aに寄り添うことが大切です。
よって選択肢の内容は、誤りです。

4→Aの行動をねぎらい、共感することは、関係を築くことにもつながります。
よって選択肢の内容は、正しいです。

5→Aがカウンセリングに来た本心が小遣いのためとは言い切れません。よって、安易にひどいと共感することは控えるべきです。
よって選択肢の内容は、誤りです。

参考になった数38

02

正解は4です。

「作業同盟」は「治療同盟」とも言います。カウンセリングやセラピーを受けるときに、クライエントの抵抗や不安、依存が起きないようにする、セラピストとクライエント間の良好な関係です。「お互いに一定の心理的距離を保ちながら信頼関係の中でしっかりと取り組んでいくこと」「相手の感情に流されずに分析作業を進めていくこと」が求められます。

各選択肢については、以下の通りです。

1.事例より、Aはカウンセリングを受けることに否定的なため、説明をすることは逆効果となります。まずは関係性の構築を図ることが優先されます。よって選択肢の内容は、誤りです。

2.継続的な来室に必要なことは、Aとの信頼関係の構築です。よって、関係性がある程度構築できてから来室の促しに繋げます。よって選択肢の内容は、誤りです。

3.中立的な立場をとるより、まずはAに寄り添い、Aの立場を理解することが大切です。よって選択肢の内容は、誤りです。

4.Aの意見や行動を肯定し、ねぎらうことで良好な関係を築くことに繋がります。よって選択肢の内容は、正しいです。

5.Aは小遣いが減らされるからカウンセリングに来たとは限りません。また、本人を取り巻く第三者を否定的に表現することも援助者として不適切です。よって、選択肢の内容は、誤りです。

参考になった数25

03

正解は4です。

問題には「作業同盟を構築するためのカウンセラーの最初の対応として、最も適切なもの」と書かれています。

「作業同盟」とは、「お互いに一定の心理的距離を保ちつつ信頼関係の中で治療に取り組んでいく」「転移関係に流されず、分析的作業を進める」ということを指します。

1.→カウンセリングがどのようなものかAに分かるように説明するのは、信頼関係を築くために「最初に行う」ことにはつながりません。信頼関係ができてから説明しても遅くはありません。よって1は適切ではありません。

2.→継続的な来室を勧めるのは、信頼関係が築けてからの話になります。よって、2は適切ではありません。

3.→「最初に」行うこととしては、Aと信頼関係を築いていくためにAの気持ちを丁寧に聴いていくことが大事なので、3は適切ではありません。

4.→Aと信頼関係を築くために、まずはAがカウンセリングを受けることに否定的だったにもかかわらず足を運んでくれたことをねぎらうことが大切です。よって、4は適切です。

5.→カウンセリングに行かないと小遣いを減らすと言っていることに「ひどいですね」と言うのは共感ではなく、カウンセラーの心理的距離がAに近すぎるともいえます。よって、5は適切とは言えません。

参考になった数19