公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問140

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問140 (訂正依頼・報告はこちら)

50歳の女性A、会社員。Aは不眠を主訴に病院に来院した。81歳の母親Bと二人暮らしである。Bは3年前に Alzheimer型認知症と診断され、要介護2で週3回デイサービスに通所していた。1か月前から、Bは家を空けると泥棒が入り預金通帳を盗まれると言って自宅から出なくなった。さらに、不眠で夜間に徘徊し、自らオムツを外して室内を汚すようになった。Aは介護と見守りのためにほとんど眠れないという。
このときの病院の公認心理師がA及びBに助言する内容として、最も適切なものを1つ選べ。
  • Aがカウンセリングを受ける。
  • AがBと関わる時間を減らす。
  • Aが地域活動支援センターに相談する。
  • Aが介護支援専門員と共にBのケアプランを再検討する。
  • Bが医療機関を受診し抗精神病薬による治療を受ける。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

この事例では、各機関やサービスと連携し、Aの介護負担を減らすことが重要であると考えます。

各選択肢については、以下の通りです。

1→カウンセリングも場合によっては必要かもしれませんが、まずは介護負担を減らすことが必要です。
よって選択肢の内容は、誤りです。

2→AとBは2人暮らしであるため、単に関わる時間を減らすだけでは、解決に至りません。
よって選択肢の内容は、誤りです。

3→地域活動センターは、障害者の日中の活動をサポートする施設です。
よって選択肢の内容は、誤りです。

4→サービスの再検討が必要と考えるため、ケアプランの再検討が妥当です。
よって選択肢の内容は、正しいです。

5→Bが医療機関を受診することは必要かもしれませんが、治療の有無は現時点では判断できません。
よって選択肢の内容は、誤りです。

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02

正解は4です。

この事例では、認知症の症状が頻発しているBを支え続けているAの介護負担を減らすことが重要であると考えます。

各選択肢については、以下の通りです。

1 Aは母親であるBの介護負担を感じているため、まずはその点について改善することが優先されます。よって選択肢の内容は誤りです。

2 AとBは2人暮らしをしており、関わる時間を減らすことでは解決に至らず、Bの不安感はさらに強まる可能性もあるため現実的ではありません。よって選択肢の内容は誤りです。

3 地域活動支援センターは障害者総合支援法によるサービスの1つで、障害者を通わせ創作的活動や生産活動の機会を提供するサービスです。対象が障害者であるため不適切です。よって選択肢の内容は誤りです。

※介護保険法に基づいて設置される「地域包括支援センター」は高齢者や家族の相談窓口として位置づけられています。名称が似ているため混同しないよう注意が必要です。

4 現在のBは、認知症のレベルが高まり、デイサービスを利用できなくなってしまっています。また、認知症の症状で不安感が強くなっていることからAも介護疲れを感じてしまっています。そのため、Aが介護支援専門員とともに現在のケアプランを再検討する必要があります。よって選択肢の内容は正しいです。

5 この生活状況が続けば、そのうち精神的な治療が必要な状況に陥ってしまう可能性がありますが、まずは、現在の生活状況を改善することが優先されます。よって選択肢の内容は誤りです。

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03

正解は4です。

Alzheimer型認知症と診断されているということは、「進行性の」認知症ということです。そして、1ヶ月前からの様子を聞くと、認知症が進行している可能性は十分ありうるということです。

上記のことを考えた際に、公認心理師が最初に考える必要のあることは、要介護2から介護度が上がっている可能性があることです。よって、4の「Aが介護支援専門員と共にBのケアプランを再考する」というのがいちばん適切であるといえます。

1.→Aがカウンセリングを受けるだけでは、Bの病気の進行を食い止めることはできません。Bの状態のアセスメントも必要です。また、カウンセリングだけでなく、具体的にAの介護負担を減らすことを考えなくてはなりません。よって、1は適切ではありません。

2.→AがBとかかわる時間を減らせば、確かにストレス自体は減るかもしれません。ですが、これは根本的対処にはなっていません。よって、2は適切ではありません。

3.→地域活動支援センターは、障害者のための施設です。Bのことを相談する施設は、「地域包括支援センター」になります。よって、3は適切ではありません。

5.→公認心理師の立場から、クライエントに抗精神病薬による治療を指示することはできません。よって、5は適切ではありません。

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