問題
このときの学生相談室の公認心理師がAに対して最初に行う助言として、最も適切なものを1つ選べ。
正解は1です。
心理カウンセリングの流れは、インテーク面接(問題の明確化)→心理アセスメント(仮説の探索、事例の定式化)→介入(心理療法、カウンセリング)→心理アセスメント(介入の評価)のように、アセスメントは繰り返し行われます。
各選択肢については、以下の通りです。
1.どのような場面、時間で腹痛が起きやすいかを理解することはアセスメントになります。よって選択肢の内容は、正しいです。
2.上記のような流れを実施し、筋弛緩法が有効であるか考慮するので、まずはアセスメントを十分に行う必要があります。よって選択肢の内容は、誤りです。
3.上記のような流れを実施し、アセスメントを行ったうえで改善を促す行動療法につなげることになります。よって選択肢の内容は、誤りです。
4.相談援助の基本はクライエントの意見に耳を傾けるという『傾聴』です。「気にしないようにする」という助言は、相手の意見を否定することになります。よって選択肢の内容は、誤りです。
5.事例では、就職活動の時期でクライエントは活動を継続したいという思いがあると推測されます。また、安静は必要ではありますが、緊張することについての根本的な解決にはつながりません。よって選択肢の内容は、誤りです。
正解は1です。
1.→腹痛が気になる状況、心身の変化を記録し、把握することは、Aのアセスメントに役立ちます。アセスメントをすることによって、どんなケアが必要かを見つけるヒントになり得ます。よって、1は適切です。
2.→アセスメントが行われた後ならば、筋弛緩法を行うのもありかもしれません。ですが、公認心理師が「最初に行う助言」としてはアセスメントが先です。よって、2は誤りです。
3.→これはかなり治療が進み、信頼関係がしっかり築けていないと難しいです。最初にアセスメントを行い、そのうえで、必要であれば行動療法を取り入れるのが適切です。よって、3は誤りです。
4.→気にしないようにしようとしてもAは気になってしまうから学生相談室に来所しているのであり、「気にしないようにする」と公認心理師に言われると、Aは主訴も否定されているようにとらえてしまうおそれがあります。よって、4は誤りです。
5.→実際に安静にする必要はあるかもしれませんが、それでは根本的な解決には結びつきません。器質的な異常も認められていない状態なので、まずは精神的な要因がどう影響しているのか丁寧にアセスメントを行う必要性があります。よって、5は誤りです。