公認心理師の過去問
第1回(2018年)
午後 問151

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問題

公認心理師試験 第1回(2018年) 午後 問151 (訂正依頼・報告はこちら)

20歳の男性A、大学生。Aは大学のサークル内の友人関係におけるトラブルを経験した。その後、周囲の様々な物が不潔だと感じられるようになり、それらに触れた場合、馬鹿らしいと思っても何十分も手を洗わずにはいられなくなった。手を洗うことで一時的に不安は弱くなるが、手を洗うのをやめようとすると不安が強くなった。やがて、日常生活に支障を来すようになり、医師の紹介で相談室に訪れた。
Aに対する行動療法として、最も適切なものを1つ選べ。
  • Aの不安が一時的ではなく完全に消失するまで手洗い行動を続けさせる。
  • 触った後で手を洗いたくなるような不潔な物をAに回避させることで、不安を弱くさせる。
  • 手を洗った後で、本当に手がきれいになったかどうかを家族に確認してもらい、手洗い行動を減らしていく。
  • 不潔だと感じる物に意図的に触れさせ、手洗い行動をしないように指示し、時間の経過とともに不安が弱まっていくことを確認させる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

事例の内容から、Aは強迫性障害である可能性が考えられます。
強迫性障害に対する行動療法として適切な選択肢を選択します。

1→手を洗い続けることは、根本的な解決にはなりません。
よって選択肢は、誤りです。

2→不潔な物を回避させることは、根本的な解決にはなりません。
よって選択肢は、誤りです。

3→家族を巻き込むことは、家族の負担が増加したり、本人との関係性が悪化する恐れがあります。
よって選択肢は、誤りです。

4→選択肢の内容は、暴露反応妨害法のことです。
暴露反応妨害法は、あえて不安の対象に接して強迫行為をがまんする練習を重ねることで、強迫行為を行わなくても不安が軽減していくようにする方法です。
暴露反応妨害法は、強迫性障害に対する心理療法として有効とされています。
よって選択肢は、正しいです。

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02

正解は4です。

「馬鹿らしいと思っても何十分も手を洗わずにはいられなくなった」「手を洗うことで一時的に不安は弱くなるが、手を洗うのをやめようとすると不安が強くなった」などの症状から、強迫性障害が疑われるケースです。

1.→Aの不安が完全に消失するまで手を洗い続けていたら、いつまで経っても手を洗い終わることができなくなります。強迫性障害の方に「完全」を求めると、ますます強迫的になりかねません。よって、1は誤りです。

2.→不潔だと思う物をAに回避させることで、強迫性障害はより悪化します。回避することで「不潔な物」としてAに意識させてしまうことになります。よって2は誤りです。

3.→手を洗った後で家族に確認してもらうことで、家族を巻き込んでしまうことになります。また、家族が巻き込まれてしまうことで、余計に強迫性障害が強化されてしまいます。よって、3は誤りです。

4.→この方法は、行動療法の「暴露療法(エクスポージャー)」と呼ばれるものです。強い不安や恐怖を感じる刺激にあえて暴露する方法です。強迫性障害に有効な行動療法と言われています。よって、4は適切です。

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03

本事例は、強迫観念と、強迫観念によって生じる強迫行為が認められ、強迫症と見立てることが可能です。

そして、強迫症に対する行動療法として用いられる方法は、暴露反応妨害法になります。これは、強迫行為を禁じることで、強迫観念から生じる不安に徐々に慣れさせていく方法です。

以上により、正解は4となります。

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