公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午前 問67
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問題
公認心理師試験 第2回(2019年) 午前 問67 (訂正依頼・報告はこちら)
5歳の男児A。落ち着きがないことから、両親が児童相談所に来所した。Aは乳幼児期から母親と視線を合わせ、後追いもあり、始歩1歳0か月、始語1歳3か月で、乳幼児健康診査で問題を指摘されたことがなかった。ただし、よく迷子になり、気が散りやすく、かんしゃくを起こすことが多く、何かあると母親はAをすぐに叱りつけてしまう。幼稚園でも、勝手に部屋から出ていったり、きちんと並んで待てなかったりするなど集団行動ができない。
この事例に対して児童相談所の公認心理師がまず行うべき対応として、最も適切なものを1つ選べ。
この事例に対して児童相談所の公認心理師がまず行うべき対応として、最も適切なものを1つ選べ。
- 一時保護をする。
- 薬の服用を勧める。
- しつけの方法を指導する。
- 療育手帳の申請を勧める。
- 発達検査を含むアセスメントを行う。
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この過去問の解説 (3件)
01
正答は5です。
1 事例において、母親がAをすぐに叱りつけるとの記載はありますが、この情報のみで即時に一時保護を行うことは適当ではありません。両親やAから話を聞くなどして、一時保護が適当かどうか、アセスメントを行ってから要否を検討することが望ましいと考えられます。加えて、一時保護を実施するのは児童相談所であり、公認心理師のみで判断することはできません。そのため、まず行うこととしては適切ではなく、誤りとなります。
〔一時保護とは〕 保護が必要な児童を一時保護施設などに短期間入所させることを言います。一時保護の要件としては、①緊急保護(適切な保護者や住む家がない、保護者からの虐待などの理由で家庭から一時期的に引き離す必要がある、児童の行動が自身や他者の生命・身体・財産に危害を及ぼす) ②行動観察(援助指針を定めるための行動観察や生活指導) ③短期入所指導(短期間の心理療法、カウンセリング、生活指導)が挙げられます。なお、なるべく同意を得て実施することが望ましいとされていますが、児童や保護者の同意は一時保護の要件にはなっていません。
2 1と同様に、まず行う対応としては服薬を勧めることが適切とは言えず、誤りとなります。Aに対して検査や行動観察からアセスメントを行い、服薬が必要かどうかの判断を行うことが望ましいと言えます。
3 両親にAとのかかわり方について助言を行うことは必要な対応であると考えられ間違いではないですが、最初に行うべき対応という観点から考えると、選択肢(5)の方が適切であると考えられます。検査などでアセスメントすることで、より適切な助言に結び付けることが可能になります。
(なお、設問では「指導」という表現が用いられていますが、指導には教える側の価値観や常識に導く目的があると言われています。児童の保護のために必要なことは指導する必要はありますが、日々大変さを労いつつ、相手の役に立つための意味合いが強い「助言」といった対応を行うことも心理士の役割であると考えられます)
4 療育手帳とは、知的障害のあることを証明する障害者手帳のことを表します。事例にはAの知能水準が低いことがうかがえる記載はなく、療育手帳が必要であるかどうか判断できないため、適切ではありません。
5 記述のとおりです。まずはアセスメントを行うことが重要です。よく迷子になる、気が散りやすい、かんしゃくを起こすことが多い、幼稚園でも集団行動が難しいといった情報からは、ADHDの特徴がうかがえるため、発達検査を行うといった対応も適切なものと考えられます。
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02
1:“すぐに叱りつける”という記述はありますが、これだけで即一時保護は出来ません。また、一時保護をする際は組織全体での対応となるので、公認心理師が単独で行えるものでもありません。
2:両親の訴えだけを根拠に薬の服用を勧めるのは早計です。行動観察や発達検査などのアセスメントをまず行うべきです。
3:選択肢2と同様、必要なアセスメントを行った上で、しつけの仕方を助言するべきです。
4:選択肢2、3と同じ理由で不適切です。特に、療育手帳の申請を勧めるということは、Aが知的障害であると両親に示唆するようなものなので、その意味でも“まず行うべき”対応ではありません。
5:正しい対応です。
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03
以下に解説します。
Aの状況において一時保護が必要であるとは考えにくいため、適切ではありません。
薬物療法は医師の判断が必要であり、まずはAの状態を詳しく評価する必要があります。
しつけの方法の指導も重要ですが、Aの具体的な発達特性や問題を把握しないまま指導するのは効果的ではありません。
療育手帳の申請には専門的な評価が必要であり、まずはアセスメントを行うことが先決です。
正しいです。
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