公認心理師の過去問
第2回(2019年)
午後 問95

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 午後 問95 (訂正依頼・報告はこちら)

自殺予防に対する公認心理師の対応や判断として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 自殺をしようと計画する人は、死ぬことを決意している。
  • 自殺の危機が緩和されるまで、心理の深層を扱うような心理療法を継続する。
  • 公認心理師がクライエントと自殺について話をすると、自殺行動を引き起こすことになる。
  • 自殺が1つの選択肢であるという考えを一旦受容し、自殺が正しい判断ではないことを確認する。
  • クライエントが自殺について語るときは、注意を引きたいだけであるため、実際に自分自身を傷つけることはない。

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この過去問の解説 (2件)

01

【正解:4】

1:自殺の計画(方法や場所など)を立てることは、確かにリスク要因の1つではありますが、決意しているとまでは言い切れません。自殺したい気持ちの裏側には、自殺することへの躊躇が潜んでいるものです。

2:心理の深層を扱うような関わりは、クライアントに自分自身と向き合わせることになります。自殺の危機にあるクライアントに対しては適切な対応ではなく、より現実的・具体的な問題を扱うべきです。

3:自殺をほのめかされた場合、それに触れたくないというのは自然な反応ではありますが、そこを避けてしまうと、クライアントと向き合えていないことになってしまいます。

4:正しい記述です。ただし、消去法で選ぶならこれ、という程度ではあります。

自殺したいという思いを一旦は受容し、そのうえでどうしていくか話をするわけですが、“自殺が正しい判断ではないことを確認する”という記述に違和感を覚える方も少なくないと思います。実践の場ですと、クライアントも自殺が正しくないことは分かっていて、それでも死を考えている、ということがあります。そんな彼ら(彼女ら)に対して確認することが果たして適切なのか…少なくとも私個人としては違和感があるので、少し付記させて頂きました。

とはいえ他の選択肢が明らかに不適切なので、選ぶならば4しかないということになります。

5:“注意を引きたいだけ“と軽視してしまうと、クライアントの見捨てられ不安を強めたり、行動をエスカレートさせたりすることになりかねません。

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02

正答は4です。

1 死ぬことを決意していることを否定はできず、リスクは決して小さくありませんが、死にたいといった願望の中にも、助けを求める気持ちや死ぬことへのためらいなど生きていたいという気持ちが潜んでいる可能性もあります。そのため、適切な選択肢とは言えません。

2 自殺企図を起こす方の状況として、当事者は心理的視野が狭まり、心理的に追い込まれていることが考えられます。こうした精神的な疲労があり、不安定でもある状態において、深層を扱う心理療法を続けることは適当ではないため、誤りとなります。まずは、後述するように死にたくなった気持ちへの受容や傾聴により、心理的余裕を持たせることや、追い込まれるに至った状況の改善や解決など現実的な問題を取り扱うことが有効であると考えられます。

3 自殺に関する話題において、死にたくなる気持ちに耳を傾け、十分に受け止めることは関わる上で重要であると言われています。自殺を話題にしても自殺を助長することにつながるわけではないため、誤りとなります。

4 まずは、自殺企図に至った経緯や気持ちに耳を傾け、それくらいまで追い込まれていた状況を受け止めることが重要であることは記述のとおりです。当事者は心理的視野狭窄の状態であるため、受容と傾聴を行うことで関係性が築けたら、自殺以外の(解決)方法について話し合い、他の選択肢にも目を向けてもらうようなアプローチを行うことは間違いではないと考えられます。

5 誰かの気を引くために自殺企図を起こすケースは少なからずありますが、思うような関わりが得られないと、さらに気を引こうとして行為がエスカレートしていき、自らを傷つける行為に至るおそれもあるため、記述は誤りとなります。

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