公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問124 (午後 問126)

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 問124(午後 問126) (訂正依頼・報告はこちら)

クライエントに関する情報提供が秘密保持義務よりも優先される状況について、適切なものを2つ選べ。
  • クライエントが虐待されていることが疑われる場合
  • クライエントに直接関係ない専門家の研修会で事例として取り上げる場合
  • 成人のクライエントについて、一親等の家族から情報開示の請求がある場合
  • クライエントとの面接で、誹謗中傷される相手が特定できる可能性がある場合
  • クライエントが自分自身の精神状態や心理的な問題に関連して訴訟を起こし、その裁判所から要請がある場合

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解:1と5】

秘密保持については、公認心理師法第41条に【公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする】と記述があります。

ポイントは「正当な理由が何か」ということですね。

秘密保持の例外状況について、“公認心理師の職責(※)”には次の状況が挙げられています。

①明確で差し迫った生命の危険があり、攻撃される相手が特定されている場合

②自殺等、自分自身に対して深刻な危害を加えるおそれのある緊急事態

③虐待が疑われる場合

④そのクライアントのケア等に直接かかわっている専門家同士で話し合う場合

⑤法による定めがある場合

⑥医療保険による支払いが行われる場合

⑦クライアントが、自分自身の精神状態や心理的な問題に関連する訴えを裁判等によって提起した場合

⑧クライアントによる明示的な意思表示がある場合

上記より、正解は1と5となります。

※公認心理師の職責(野島一彦編 遠見書房)

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02

正解は1と5です。

1.→虐待の通告義務は、秘密保持義務よりも優先されます。(児童虐待防止法第6条第3項、高齢者虐待防止法第7条第3項ほか、障害者虐待防止法第7条第2項ほかにも定められています。)よって、これは適切です。

2.→クライエントと直接関係ない専門家の研修会で事例として取り上げる場合は、クライエントの同意が得られていない限りは秘密を漏らすことはできません。クライエントと直接関係のある専門家同士であれば、公認心理師法第42条の「連携」にも当たりますので、この限りではありません。よって、これは不適切です。

3.→成人のクライエントであってもそうでなくても、一親等の家族から情報開示の請求があったからといって秘密を開示して良いわけではありません。よって、これは不適切です。

4.→クライエントとの面接で、誹謗中傷をする相手が特定できたからと言って、生命の危機が差し迫った状況でない限りは秘密を漏らしてはいけません。よって、これは不適切です。

5.→クライエント自身が自分の精神状態や心理的な問題に関連して訴訟を起こし、その裁判所から要請がある場合、秘密保持義務違反にはなりません。よって、これは適切です。

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03

この問題で覚えておくべきポイントは以下の通りです。公認心理師法第41条に定められている、秘密保持義務の保持の例外事項について問われています。

では問題を見てみましょう。

 

第41条抜粋:公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。

選択肢1. クライエントが虐待されていることが疑われる場合

正解です。

人権や命の危機が切迫している場合は、秘密保持義務を行使しなくてよい、正当な理由として扱われます。

選択肢2. クライエントに直接関係ない専門家の研修会で事例として取り上げる場合

事例として取り上げる場合は、個人情報保護のもと行われるべきですので、不適切です。

選択肢3. 成人のクライエントについて、一親等の家族から情報開示の請求がある場合

情報開示を求められた場合は、クライエントの承認が必要ですので、不適切です。

選択肢4. クライエントとの面接で、誹謗中傷される相手が特定できる可能性がある場合

相手が特定できる可能性がある場合という情報だけでは、人命の危機に値する非常事態という正当な理由に合致していないため、不適切です。

選択肢5. クライエントが自分自身の精神状態や心理的な問題に関連して訴訟を起こし、その裁判所から要請がある場合

正解です。

裁判や司法手続きなど、法の手続きに基づく理由が想定されるときは、開示する正当な理由とみなされます。

まとめ

第41条においては、公認心理師でなくなったのちも秘密保持義務は継続すると定められ、違反には罰則も定められています。

これに限らず、主要な法律は繰り返し確認し覚えておきましょう。

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