公認心理師 過去問
第2回(2019年)
問143 (午後 問145)

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問題

公認心理師試験 第2回(2019年) 問143(午後 問145) (訂正依頼・報告はこちら)

中学1年生の数学教科担任Aは、方程式の単元で困難度の異なる計算問題30問が印刷されたプリントを授業中に用いることを考えた。その際、最初から少しずつ難しくなるように問題を配置し、生徒が積極的に解答を書き込めるような工夫をした。また、模範解答も用意した。さらに、授業中には自分のペースで取り組めるような時間を設定することにした。
このプリントを用いたAの授業をプログラム学習の原理に沿ったものにするために必要なこととして、最も適切なものを1つ選べ。
  • グループで答え合わせをする時間を設ける。
  • 解答するための一問当たりの制限時間を生徒に設定させる。
  • 一問ずつ解答した直後に、答え合わせをするように指示する。
  • 計算問題が苦手な生徒に対しては、教師が一緒に答え合わせを行う。
  • 全ての問題に正しく解答した生徒から休み時間にしてよいと告げる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

Skinnerが開発した、プログラム学習についての問題です。オペラント条件付けを応用して作られました。

プログラム学習の5つの原理

① スモールステップの原理:学習内容を小さなステップに分け、進めていきます。
② 即時確認の原理:すぐに答えのフィードバックをしていきます。その方が改善しやすくなるからです。
③ 積極的反応の原理:学習者自身の積極的な態度が学習成果につながります。
④ 自己ペースの原理:学習者自身のペースで学習を進めていきます。
⑤ 学習者検証の原理:自分で学習成果をチェックしようというものです。

上記を考えると、

1.→④自己ペースの原理に反します。グループと答え合わせをしたら、お互いに人と比べてしまい、自分のペースが乱れてしまいます。よって、1は誤りです。

2.→制限時間を設けると、十分に自分のペースが保てません。④自己ペースの原理に反します。よって、2は誤りです。

3.→1問解いて答え合わせをし、覚えてから次にいくという方法は、②即時確認の原理に当てはまるため、3は正しいです。

4.→自分の力で積極的に少しずつ取り組むことにより学習をしていく方法ですので、教師が一緒に答え合わせをしてしまっては、一人で行うプログラム学習にはなりません。よって、4は誤りです。

5.→休み時間になった生徒を見て、他の生徒のペースが崩れてしまうため、④自己ペースの原理に反します。よって、5は誤りです。

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02

【正解:3】

プログラム学習は、スキナーによって提唱された学習方法で、以下に示す5つの原理があります。

①積極的反応(設問に対する解答を学習者に自分で出させること。多肢選択方法などは用いられない。)

②学習者に即時のフィードバックを与えること

③段階的に進めること

④学習者のペースに合わせること

⑤学習者によってプログラムが検証されること

 選択肢を見ていくと、1、2、5は学習者のペースを妨げる可能性があると分かります。例えば1は集団学習になっていますし、2の制限時間は、たとえ自分で決めたものであっても、時間に縛られてしまいます。5は課題が早く終われば休み時間が増えることを意味するので、やはり学習者自身のペースが妨げられることになります。

 4については、教師が一緒に答え合わせをすることで、「積極的反応」の原理に反することになります。

 3が正しい対応で、②即時のフィードバックに該当します。

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03

プログラム学習(Programmed Learning)は、行動主義心理学の原理を基に設計された学習方法であり、特に次の要素を重視します。

スモールステップの原理: 学習内容を小さな段階に分けて提示し、学習者が少しずつ進むことを可能にします。

即時フィードバックの原理: 解答後すぐに正誤が分かるようにし、学習者が適切に修正できる環境を整えます。

学習者ペースの原理: 学習者が自分のペースで学べるように配慮します。

 

Aの授業では、スモールステップ(問題の難易度が少しずつ上がる)や学習者ペース(自分のペースで取り組める時間の設定)が考慮されていますが、即時フィードバックの原理が明示されていません。これを補完する対応を選択します。

選択肢1. グループで答え合わせをする時間を設ける。

グループでの答え合わせは協働学習の一環として有効ですが、即時フィードバックの観点では遅延が発生する可能性があります。プログラム学習の原理には適していません。

選択肢2. 解答するための一問当たりの制限時間を生徒に設定させる。

生徒に制限時間を設定させることで時間管理能力を育むことはできますが、即時フィードバックの原理やスモールステップの原理には直接関与しません。

選択肢3. 一問ずつ解答した直後に、答え合わせをするように指示する。

適切です。

プログラム学習の即時フィードバックの原理に最も適合する対応です。解答後すぐに正誤を確認できるため、学習者は自分の理解を修正しながら進むことができます。

選択肢4. 計算問題が苦手な生徒に対しては、教師が一緒に答え合わせを行う。

苦手な生徒に個別対応することは有効ですが、プログラム学習の原理では学習者全員が自分のペースで即時フィードバックを得られる仕組みが重要です。この選択肢は個別対応に偏っており、原理を満たすものではありません。

選択肢5. 全ての問題に正しく解答した生徒から休み時間にしてよいと告げる。

学習者のモチベーションを高める工夫としては有効ですが、即時フィードバックやスモールステップの原理には直接関係しません。

まとめ

解答直後に正誤を確認することで、プログラム学習の即時フィードバックの原理を満たします。

即時フィードバックを導入することで、学習者の理解がその場で深まり、間違いを繰り返すリスクを軽減できます。

授業では、個別の進度に応じた対応も組み合わせることで、さらに学習効果を高めることが可能です。

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