公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問3 (午前 問3)
問題文
自殺予防や自殺のリスク評価について、正しいものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 問3(午前 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
自殺予防や自殺のリスク評価について、正しいものを1つ選べ。
- 文化的・宗教的な信条は、自殺のリスクに関連しない。
- 自殺念慮に具体的な計画があると、自殺のリスクが高い。
- 家族や身近な人に自殺者がいても、自殺のリスクが高いとは言えない。
- 自殺予防のための情報提供などの普及啓発は、自殺の二次予防として重要である。
- 自殺手段や自殺が生じた場所について繰り返し詳しく報道することは、自殺予防になる。
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この過去問の解説 (3件)
01
正答は2です。
1 文化や宗教は人の言動に少なからず影響を与えており、自殺に対する受け止め方も文化や宗教によって異なってきます。自殺をタブー視する文化・集団がある一方、自殺が崇高なものであると受け取られる文化・集団もあると言われており、こうした受け止め方の違いが自殺リスクにも関連してくる要因と言えます。したがって、誤りとなります。
2 記述のとおりです。自殺の手段、準備性、場所や時期などが具体的である場合は、自殺のリスクは高いと考えます。そのため、リスク評価において、自殺念慮(自殺しようする意思)や自殺企図の有無や程度を確認することが必要となります。
3 家族や身近な人の自殺は、重要なリスク要因と考えられています。ひとつの理由としては、家族や身近な人の自殺の体験を通して、苦しいとき・つらいときの対処法として自殺が選択肢として浮かびやすくなることが挙げられます。自殺のリスクは高まると言えるため、誤りとなります。
4 予防医学において、予防には、病気の発生を防ぐ「一次予防」、早期発見・早期治療に努める「二次予防」、そして悪化を防いでいく「三次予防」の3つに大きく分類されます。
選択肢に記載のある、自殺予防のための情報提供などの普及啓発は、未然に防ぐための取り組みであり、一次予防に該当する内容です。したがって、誤りとなります。
5 自殺に関する報道を過度に繰り返したり、手段や場所の詳細を伝えたりすることは、自殺念慮を抱えている人・自殺リスクの高い人に強い影響を与えます。模倣自殺や後追い自殺を誘発しかねないため望ましくないとされています。したがって、誤りとなります。
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02
正解は2です。
各選択肢については以下の通りです。
1.文化的・宗教的な信条は、個人の考え方に大きく影響するので、自殺リスクに関係します。よって選択肢は誤りです。
2.設問の通りなので、正しいです。
3.自殺が起きると、周囲の最低6人の人にも心理的影響があり、自殺リスクを高める(5McIntosh, Ph.D ら 2010)と言われています。よって、選択肢は誤りです。
4.自殺予防のための情報提供など普及啓発は、自殺の一次予防(自殺リスクが高い人だけでなく全員が対象)として重要です。
5.自殺が起きることは、社会面、感情面、経済面に広く影響を及ぼします。例えば、マスコミの自殺報道に影響されて自殺が増える「ウェルテル効果」が起きることが懸念されます。よって、選択肢は誤りです。
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03
自殺予防やリスク評価では、自殺念慮の有無や具体的な計画の有無がリスクを判断する重要な指標となります。また、自殺はさまざまな要因が絡み合って起こる複雑な現象であり、文化的背景や環境要因が影響を与えることが知られています。以下、各選択肢を検討します。
文化的・宗教的な信条は、自殺に対する態度や行動に影響を与える重要な要因です。一部の宗教や文化では、自殺を強く否定する価値観が自殺の抑止力となることがある一方で、特定の文化的背景や宗教的信念が自殺リスクを高めることもあります。この選択肢は誤りです。
自殺念慮がある場合、具体的な計画が伴うことでリスクが大幅に高まるとされています。特に、計画が詳細で現実的であるほどリスクは高くなります。これにより、計画を持つクライエントへの即時的な介入が必要となります。この選択肢は正しいです。
家族や身近な人に自殺者がいる場合、遺族が自殺を考えるリスクが高まることが知られています。この現象は「連鎖自殺」や「自殺の連鎖(ウェルテル効果)」と呼ばれます。この選択肢は誤りです。
自殺予防の普及啓発活動は、一次予防に該当します。一方、二次予防は自殺念慮やリスクを持つ人々への早期介入を指します。この選択肢は自殺予防の段階について誤解があるため、不適切です。
自殺手段や場所についての詳細な報道は、模倣自殺(ウェルテル効果)を誘発する可能性があります。このため、報道には慎重さが求められ、「WHO自殺予防ガイドライン」では詳細な報道を避けるよう推奨されています。この選択肢は誤りです。
自殺念慮があり、具体的な計画が伴う場合、リスクが非常に高いとされるため、即時的な介入が求められます。他の選択肢はいずれも自殺予防やリスク評価における誤った認識に基づいています。
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