公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問2 (午前 問2)
問題文
統合失調症の症状が増悪したクライエントへの公認心理師の介入について、適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 問2(午前 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
統合失調症の症状が増悪したクライエントへの公認心理師の介入について、適切なものを1つ選べ。
- 症状増悪時は、心理的支援を行わない。
- 幻聴に関して、幻覚であることを自覚させる。
- 緊張病性昏迷では、身体管理が必要となる可能性があることを家族に伝える。
- 作為体験によるリストカットは、ためらい傷程度であれば特に緊急性はない。
- 服薬を拒否するクライエントに対して、薬は無理に服薬しなくてよいと伝える。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は3です。
各選択肢については以下の通りです。
1.統合失調症の治療は薬物療法と心理療法です。症状憎悪時においても治療関係の構築や支持的な態度を含めた心理療法は必要になります。よって、不適切です。
2.統合失調症の急性期において、患者は病識に乏しいため、幻覚(幻聴など)を自覚させることは難しく、自覚させようとするとかえって病状が悪化する可能性もあります。よって、不適切です。
3.緊張性統合失調症の症状のうち、緊張病性昏迷では、話しかけても反応しなくなったり、長時間にわたり奇妙な姿勢をとり続けたりします。突然、興奮して暴力的になることもあるため、自傷行為や他傷行為をしないように保護する必要があります。よって、適切です。
4.リストカットを含む自傷行為は、程度ではなく、自傷行為があったという事実に基づいてアセスメントが必要です。よって、不適切です。
5.「薬を無理に服用しなくてよい」と伝えてしまうことは、クライエントが適切な治療が受けられなくなることにつながるので、不適切です。
服薬を拒否するクライエントには、服薬したくない気持ちやその理由を傾聴することが求められます。
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02
正答は3です。
1 症状増悪時においても可能な範囲で心理的支援を行うことが望ましく、「心理的支援を行わない」との記述は不適切です。
いわゆる心理療法でなくとも、支持的な態度を示すことも心理的な支援となり得ると考えられます。また、本人でなくとも家族に対する介入も心理的な支援と言え、出来る支援を検討して行っていくことが肝要です。
2 回復期であれば心理教育として自覚を促すような働き掛けもあり得ますが、症状が増悪しているときにおいては、幻覚であることを否定しない(肯定するわけでもない)対応が適していると言われています。本人の中では実際に起こっていることであり、否定・説得されることによって関係性が悪化してしまうことも懸念されます。したがって、選択肢は不適切です。
3 記述のとおりです。緊張病とは、精神運動興奮と昏迷(強い刺激でないと覚醒しない状態)が交互に現れるものです。緊張病性昏迷においては、食事や睡眠など基本的な生活活動が難しくなるため、身体管理が必要となります。
4 作為体験とは自分が他者に操られていると感じることを指します。つまり、自分ではコントロールができない状態と言えるため、緊急性は高いと考えます。したがって、選択肢は不適切です。
5 統合失調症の治療において、服薬は重要です。まずは服薬を拒否する気持ちについて受け止めていく必要がありますが、症状によるつらさを和らげるためなど本人のメリットになることを併せて伝えるなどして、服薬を中断させないことも重要であると考えられます。また、服薬については医師の判断となるため、公認心理師が服薬をしなくて良いと伝えることも適切ではありません。したがって、選択肢は不適切です。
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03
本問題は、統合失調症の症状が増悪したクライエントに対する公認心理師の適切な介入方法を問うています。統合失調症の症状増悪時には、身体的・精神的安全の確保が最優先事項となります。また、家族への適切な情報提供や、他職種との連携が重要です。以下、各選択肢を検討します。
症状増悪時でも心理的支援は重要です。ただし、直接的な心理療法は症状が安定するまで控える場合があります。この際、心理師はクライエントや家族の安全確保に向けた支援や、適切な医療機関への連携を図る必要があります。「支援を行わない」という表現は不適切です。
幻聴を持つクライエントに対して、無理に幻覚であることを自覚させようとすると、クライエントが不安定になるリスクがあります。幻聴を否定するのではなく、クライエントの体験を尊重しつつ、幻聴に伴う不安や苦痛に対処する姿勢が求められます。この選択肢は不適切です。
緊張病性昏迷は統合失調症の症状の一つであり、極度の身体的緊張や動きが制限される状態です。この状態では脱水や栄養不足などの身体的リスクが高まるため、医療的な介入や身体管理が必要となることを家族に説明することは適切です。また、家族と連携してクライエントの安全を確保する対応が求められます。この選択肢は適切です。(正答)
作為体験によるリストカットであっても、自傷行為は身体的危険を伴うだけでなく、心理的にも深刻な状態を示唆します。たとえ傷が軽度であっても、緊急性を軽視せず、医療機関との連携やリスクの評価を行うことが必要です。この選択肢は不適切です。
統合失調症の治療では、薬物療法が中心的な役割を果たします。服薬を拒否するクライエントには、服薬の重要性を説明し、医師と連携して適切な治療継続を促す対応が必要です。服薬を無理に押し付けることは避けるべきですが、「服薬しなくてよい」と伝えることは不適切です。
緊張病性昏迷は身体的なリスクを伴うため、家族に身体管理の必要性を説明し、医療的な介入を含めた対応を行うことが最適です。他の選択肢はいずれも支援の在り方として不適切な要素を含んでいます。
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