公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問5 (午前 問5)

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 問5(午前 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

遊戯療法と最も関係が深い人物として、正しいものを1つ選べ。
  • A.Ellis
  • A.Freud
  • A.T.Beck
  • H.A.Murray
  • J.B.Watson

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は2です。

遊戯療法(プレイセラピー)とは、遊びを通じて行う心理療法を指し、主に幼児や児童を対象に用いられます。(大人の)心理療法は言葉を媒介に行うことが多い一方、遊戯療法は遊びを媒介にすることから、言葉が未発達で言語表現が未熟な幼児や児童に用いることができます。

遊戯療法は、ヘルムートによって初めて治療に遊びが取り入れられ、その後A.フロイトやM.クラインらによって展開されています。

アクスラインは、ロジャーズの非指示的療法を遊戯療法に取り入れた非指示的遊戯療法を唱え、遊戯療法における8つの原則を示しました。

1 エリスは、論理療法を提唱した人物です。

論理療法では、出来事(不安・悩み)をどのように受け止めるかによって問題は解決すると考えられ、非合理的な考え方(=イライショラル・ビリーフ)を合理的な考え方(=ラショラル・ビリーフ)に変えていくことを目標としています。

2 正答です。

3 ベックは、認知療法を提唱した人物です。

認知療法では、出来事に対して生じる感情は、出来事が直接起こすわけではなく、出来事に対する認知で変わると考え、不適切な認知を適切なものに置き換えることを目標としています。

不適切な認知(認知の歪み)は、スキーマ(過去の経験によって作られた個人それぞれが持つ解釈の仕方・信念)や自動思考(ある場合に人それぞれが、自動的に頭に浮かぶ考えやイメージ)、推論の誤り(出来事に対するアンバランスな見方)などによって生じるとされています。

4 マレーは、TAT(主題統覚検査)を開発した人物です。

TATとは、絵画図版(場面設定が曖昧で、人によって受け取り方が異なるような)に関して、ストーリー(過去・現在・未来について)を自由に語ってもらう方法であり、語られたストーリーからパーソナリティ傾向などを測る投影法検査です。

5 ワトソンは、行動主義(客観的に観察可能な行動を重視)を提唱した人物です。

ワトソンが行った古典的条件付けの実験として、恐怖感情を条件付ける「アルバート坊やの実験」などが知られています。

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02

正解は2です。

遊戯療法(プレイ・セラピー)は、プレイルームで子どもを自由に遊ばせることにより、心的緊張感などを吐出させ、情緒の安定化、不適応行動の消滅を図るもので、小学校低学年以下の子どもに有効な治療法です。A. FreudとM. Kleinにより、精神分析が応用されたところから始まりました。よって、正解は2です。

他にも遊戯療法には、デイビッド・レヴィが始めた解放療法、バージニア・アクスラインが始めた非指示的遊戯療法があります。

1.A. Ellisは、論理情動行動療法の創始者です。よって誤りです。

3.A. T. Beckは、認知療法の創始者です。よって誤りです。

4.H. A.Murrayは、投影法検査のTAT(主題統覚検査)を開発した人物です。よって誤りです。

5.J. B. Watsonは、行動主義の立場から環境優位説を唱えました。よって誤りです。

参考になった数48

03

遊戯療法(プレイセラピー)は、特に子どもを対象とした心理療法であり、言葉では十分に表現できない感情や内面の葛藤を、遊びを通じて表現・解消することを目的としています。遊戯療法の発展にはさまざまな人物が関わっていますが、その中でもアナ・フロイト(A. Freud)は特に関連性が深い人物です。以下、各選択肢について検討します。

選択肢1. A.Ellis

アルバート・エリスは合理情動行動療法(REBT)の創始者であり、認知行動療法(CBT)の基礎を築いた人物の一人です。彼の理論は主に成人の認知の修正に焦点を当てており、遊戯療法との関連はありません。この選択肢は不適切です。

 

選択肢2. A.Freud

アナ・フロイトはジークムント・フロイトの娘であり、児童分析の分野で重要な貢献を果たしました。彼女は、遊戯を子どもの内面を理解する手段として活用し、遊戯療法の基盤を築きました。遊戯を通じて子どもの防衛機制や感情を理解し、治療を行うアプローチは、彼女の理論に深く関連しています。この選択肢は正しいです。

選択肢3. A.T.Beck

アーロン・T・ベックは認知療法(現在の認知行動療法の基盤)を創始した人物です。彼のアプローチは主に成人の認知の歪みを修正することに焦点を当てており、遊戯療法とは直接的な関連性はありません。この選択肢は不適切です。

選択肢4. H.A.Murray

ヘンリー・A・マレーはパーソナリティ理論や投影法(特にTAT:主題統覚検査)の開発に貢献した心理学者です。彼の研究は遊戯療法とは関連がなく、主に成人の人格評価や動機付けの研究に関連しています。この選択肢は不適切です。

選択肢5. J.B.Watson

ジョン・B・ワトソンは行動主義心理学の創始者であり、行動の観察と条件付けの研究を重視しました。彼の理論は遊戯療法ではなく、行動療法の発展に影響を与えています。この選択肢は不適切です。

まとめ

アナ・フロイトは遊戯療法の発展において特に関連の深い人物です。彼女は遊戯を通じて子どもの内面の世界を理解し、治療を行うアプローチを提唱しました。他の選択肢は、遊戯療法と直接的な関係はありません。

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