公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問6 (午前 問6)

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 問6(午前 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

奥行きの知覚における両眼性の手がかりとして、正しいものを1つ選べ。
  • 陰影
  • 輻輳
  • 重なり
  • 線遠近法
  • きめの勾配

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は2です。

奥行き知覚とは、観察者から対象までの距離(遠近)について知覚することを指します。

奥行きを知覚する手掛かりとしては、単眼的(片目で分かる)手掛かりと、両眼的(両目で分かる)手掛かりがあります。

選択肢のうち、両眼的な手掛かりは(2)輻輳となります。輻輳とは、両眼の回転運動のことを指します。近くのものを見るときは両眼が内側に向かって大きく回転するため、輻輳角が大きくなり、遠くを見るときは小さくなります。どれだけ眼球を動かしたか、顔面筋肉からのフィードバックを受け距離感を得ているといった仕組みと言えます。

1 陰影は、陰影をつけることで奥行きを感じるようになることを指します。

3 重なりは、ある対象が別の対象の一部を覆っている場合、覆っている対象の方が覆われている対象よりも手前にあるように知覚されることを指します。

4 線遠近法とは、同じ幅を持った対象でも、観察者から遠くなるほど幅が狭く知覚されることを指します。

5 きめの勾配とは、一様な模様が広がっているとき、観察者から遠くなるほど、きめが細かく見えることを指します。

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02

正解は2です。

両目で一点を凝視するときに両視線が交わる角度を「輻輳角」と呼び、凝視点が近くにあるときには、この輻輳角は大きくなり、凝視点が遠くにあるときには小さくなります。

このときの動眼筋の緊張度が奥行き手がかりとなります。

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03

奥行き知覚は、私たちが三次元的な空間を認識するために必要な知覚能力であり、これを可能にするためには「両眼性の手がかり」と「単眼性の手がかり」の2種類の情報が活用されます。両眼性の手がかりとは、左右の両目を用いることで得られる奥行きに関する情報を指し、代表的なものに輻輳(ふくそう)や両眼視差があります。本問題は、奥行き知覚における「両眼性の手がかり」に該当するものを選ぶ問題です。

選択肢1. 陰影

陰影は、物体に当たる光によってできる影を手がかりにして奥行きを認識する方法です。この情報は片目だけでも利用できるため、「単眼性の手がかり」に分類されます。したがって、両眼性の手がかりではありません。

選択肢2. 輻輳

輻輳とは、物体を両目で見るとき、物体が近づくほど両眼の内寄りの動き(目の筋肉の動き)が強くなる現象を指します。脳はこの目の動きを手がかりとして、物体までの距離を判断します。輻輳は両目の動きが必要なため、典型的な「両眼性の手がかり」に該当します。

選択肢3. 重なり

重なりは、ある物体が別の物体を部分的に覆い隠している場合、隠されている物体が奥にあると認識する手がかりです。これは片目だけで得られる情報であるため、「単眼性の手がかり」に分類されます。したがって、両眼性の手がかりではありません。

選択肢4. 線遠近法

線遠近法とは、平行線が遠ざかるほど一点に収束して見えることで奥行きを知覚する手がかりです。この情報も片目だけで認識できるため、「単眼性の手がかり」に分類されます。したがって、両眼性の手がかりではありません。

選択肢5. きめの勾配

きめの勾配とは、物体の細かい模様やテクスチャの密度が遠くなるほど小さく見えることで奥行きを感じる手がかりです。これも片目で認識可能であり、「単眼性の手がかり」に該当します。したがって、両眼性の手がかりではありません。

まとめ

奥行き知覚には、両目を使う「両眼性の手がかり」と片目だけでも利用できる「単眼性の手がかり」があります。輻輳は、物体が近づく際に両目の内寄りの動きが変化する現象であり、両眼性の手がかりに分類されます。他の選択肢である「陰影」「重なり」「線遠近法」「きめの勾配」はすべて単眼性の手がかりに該当するため、正答は 輻輳となります。

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