公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午前 問11
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午前 問11 (訂正依頼・報告はこちら)
N.Chomskyの言語理論の立場として、正しいものを1つ選べ。
- 言語発達のメカニズムは、遺伝的に決定されている。
- どのような言語にも共通する普遍文法は存在しない。
- 言語の文法は、ヒト以外の動物種にも認めることができる。
- 句構造規則によって作られた文の表層構造は、変形規則によって深層構造となる。
- 脳の中にある言語獲得装置は、報酬と罰の経験によって文法を獲得する働きを持つ。
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この過去問の解説 (2件)
01
正解は1です。
各選択肢については以下の通りです。
1・2 N.Chomskyは1957年に「普遍文法」を提唱しました。普遍文法とは、すべての人間が生まれながらにして普遍的な言語機能を備えており、すべての言語が普遍的な文法で説明できるとした理論です。
よって、「生まれながらにして備えている」ということは「遺伝的に決定している」と考えられるため、1の選択肢は正しいです。
さらに、「すべての言語が普遍的な文法で説明できる」と唱えているため、2の選択肢は誤りです。
3 言語はあくまでも人間特有のコミュニケーションツールであり、文法も同じことが言えます。よって、選択肢の内容は誤りです。
4 句構造規則によって作られた文の深層構造が、変形規則を適用することによって、表層構造が成立します。よって、選択肢は誤りです。
5 N.Chomskyは、「言語習得装置は、経験すなわち言語資料を入力にして、個別言語の文法を出力とすることである」と唱えました。よって、報酬と罰の経験ではないため、誤りです。
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02
正答は1です。
チョムスキーは、人間の言語獲得について、人には言語獲得に関する装置(言語獲得装置)が生得的に備わっていると考えました。
その仕組みとして、人には様々な言語の核となる「普遍文法」と呼ばれるものが生得的に内在しており、周囲から入力した言語について、普遍文法によって文の構造的なルールを見出し、その個別言語で出力していくというモデルを示しています。
チョムスキーは個人内に言語獲得機能があると考えていますが、一方でブルーナーは、個人外に言語獲得を支援する機能があると考え、大人との言語コミュニケーションによって言語を獲得するといった「言語獲得支持システム」と呼ばれるモデルを示しています。
1 上述の通り、言語発達の機能は生得的に備わっていると考えられています。よって、正しいです。
2 上述の通り、どのような言語にも基本的な部分となる普遍文法が存在していると考えられています。よって、誤りとなります。
3 言語獲得装置や普遍文法は人間以外の動物には認められないとされています。よって、誤りとなります。
4 句構造規則とは、深層構造に含まれている語句同士の並びや結び付きの規則を表したものです。
なお、深層構造とは基本的文法の普遍的な特性のことを指し、表層構造とはある特定の言語のとして表出されるものを指します。
仕組みとしては、深層構造が変形規則によって表層構造として表出されると考えられており、深層構造と表層構造を結びつける働きをするものを変形規則と言います。そのため、「表層構造は、変形規則によって深層構造となる」との記述は逆であり、誤りとなります。
5 言語習得装置は、生得的に備わっている普遍文法によって言語を獲得すると考えられており、「学習から言語を獲得する」との記述は誤りとなります。
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