公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問16 (午前 問16)

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 問16(午前 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

精神分析理論の防衛機制に関する実験的研究の結果を基盤に発展した心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
  • SCT
  • TAT
  • MMPI
  • P-Fスタディ
  • ロールシャッハ・テスト

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

1.SCTは、不完全な文章を自由に補わせて全文を完成させて心のゆがみを見る文書完成法テストのことなので、設問とは関係がありません。

2.TATは、主題が分からない絵から物語を作らせ心理状態をみる、投影法による性格検査「主題統覚検査」のことなので、設問とは関係がありません。

3.MMPIは、「ミネソタ多面的人格目録」のことで、抑うつや統合失調症などと診断された人に対する性格検査です。よって設問とは関係がありません。

4.P-Fスタディは、欲求不満が生まれる日常的な場面が描かれた絵に対する反応をみる検査であり、反応の結果が「逃避」や「退行」などの防衛機制に現れることと関連があります。よって、適切です。

5.ロールシャッハ・テストは、左右対称のインクのシミから想像したものから人格を分析する性格検査であることから、設問とは関係がありません。

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02

正答は4です。

P-Fスタディとは、ローゼンツァイクが開発した心理検査(投影法)です。欲求不満を引き起こさせるような場面における反応を、アグレッション(問題解決の企図・主張性)の方向(他責・自責・無責)などからスコアリングし、パーソナリティ傾向を測ります。

P-Fスタディは、ローゼンツァイクが防衛機制(不安や欲求不満から心理的な安定を保つため、自我を守るために無意識的に働く心理作用)に関する実験的研究の結果を基に作成した背景があると言われており、(4)が正答となります。

1 SCT(文章完成法テスト)とは、不完全な短い刺激文が呈示され、それに続く後半を連想し文章を完成させる検査です。パーソナリティや対人関係などを把握することができ、自由に刺激文を構成することも出来るため、柔軟で応用しやすい検査です。防衛機制に関する研究結果を基盤にはされておらず、誤りとなります。

2 TAT(主題統覚検査)とは、絵画図版(場面設定が曖昧で、人によって受け取り方が異なるようなもの)に関してストーリー(過去・現在・未来について)を自由に語ってもらう投影法検査です。

TATはマレーの「欲求-圧力理論」を基盤としいます。人が語るストーリーには欲求(人が環境に働きかける行動を引き起こす内面的な力)や圧力(環境から人に働きかける力)が反映されていると考えられており、パーソナリティや行動傾向の分析に用いられていると言われています。精神分析理論の影響はありますが、防衛機制に関する研究結果を基盤にしているとは言えず、誤りとなります。

3 MMPI(ミネソタ多面的人格目録)は、ハサウェイとマッキンリーが開発した質問紙法のパーソナリティ検査です。4個の妥当性尺度と10個の臨床尺度で構成されています。MMPIにおいても、防衛機制に関する研究結果を基盤にはされておらず、誤りとなります。

5 ロールシャッハ・テストは、ロールシャッハが開発した投影法検査です。左右対称のインクの染みの図版10枚を呈示し、反応領域や決定因、反応内容をスコアリングします。パーソナリティ傾向のほか、知的側面、対人関係の特徴、病態水準など多面的な理解が可能な検査です。精神分析理論の影響はありますが、防衛機制に関する研究結果を基盤にしているとは言えず、誤りとなります。

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03

防衛機制は、精神分析理論で提唱された概念であり、心がストレスや不安を軽減するために無意識的に行う心理的な働きを指します。これに基づいて発展した心理検査の一つに、P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)があります。

この検査は、被験者の欲求不満時の反応パターンを分析し、防衛機制や対人関係の特徴を評価するものです。

本問題では、この理論を基盤として発展した心理検査を選択します。

選択肢1. SCT

SCTは、未完成の文章を提示し、それを被験者が自由に補完する形式の投影法です。被験者の潜在的な感情や思考を探る目的で使用されますが、防衛機制に特化した検査ではありません。

この選択肢は不適切です。

選択肢2. TAT

TATは、曖昧な絵画を提示し、それに基づいた物語を作る形式の投影法です。

被験者の欲求や対人関係、感情の特性を評価することが主な目的です。

ただし、防衛機制に焦点を当てた検査ではありません。

この選択肢は不適切です。

選択肢3. MMPI

MMPIは、性格や精神疾患の診断を目的とした質問紙法の心理検査です。

防衛機制ではなく、さまざまな心理的特徴や精神的健康状態を評価するために使用されます。

この選択肢は不適切です。

選択肢4. P-Fスタディ

P-Fスタディは、防衛機制に基づいて欲求不満時の反応を分析する心理検査です。被験者に2人の登場人物が描かれた絵を見せ、1人の人物が不満を表明する場面で、もう1人がどのように応答するかを記述させます。

この応答を分析することで、防衛機制や対人関係のパターンを評価します。

この選択肢は適切です。

選択肢5. ロールシャッハ・テスト

ロールシャッハ・テストは、インクブロット図版を提示し、それに対する反応を分析する投影法です。人格全体を評価するために使用されることが多く、防衛機制に特化した検査ではありません。

この選択肢は不適切です。

まとめ

精神分析理論の防衛機制に基づき発展した心理検査は、P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)です。この検査は、被験者が欲求不満を感じた際の反応を通じて、防衛機制や対人関係の特徴を評価します。

他の選択肢は、防衛機制以外の特徴や目的を持つ心理検査であるため不適切です。

したがって、正答は P-Fスタディです。

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