公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問18 (午前 問18)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 問18(午前 問18) (訂正依頼・報告はこちら)

心身症に関連した概念について、正しいものを1つ選べ。
  • 慢性疼痛患者には、抗うつ剤は無効である。
  • 進学や結婚は、気管支喘息の増悪に関与しない。
  • タイプA型行動パターンは、消化性潰瘍のリスク要因である。
  • 本態性高血圧症が心理的ストレスで悪化している場合は、心身症と考える。
  • アレキシサイミア<失感情症>とは、以前楽しめていた活動に対して楽しめない状態を意味する。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

心身症とは、心理社会的なストレスが原因となって発症するもので、ストレスに応じて体に明らかな器質的、機能的異常が現れます。

各選択肢については以下の通りです。

1. 慢性疼痛にも抗うつ剤が有効です。よって選択肢は誤りです。

2. 病気や死別といったつらいもの以外でも、進学や結婚などのライフイベントは、ストレスが大きいと考えられます。そのため、それらがきっかけになり、気管支喘息を憎悪させるリスク要因になります。よって、選択肢の内容は誤りです。

3. タイプA行動パターンには、競争心が強い、短気で敵意や攻撃性がある、せっかちで動作が速いなどの特徴があります。このタイプは、脳卒中や心疾患のリスク要因になります。

タイプB型行動パターンは消化性潰瘍や過敏性腸症候群のリスク要因であり、タイプC行動パターンは、癌になりやすいと言われています。よって選択肢の内容は誤りです。

4. 本態性高血圧症は、生活習慣や運動不足、塩分過多、喫煙、過度の飲酒、心理的ストレスなどが原因です。

心理的ストレスによって症状が引き起こされている場合は、心身症として考えられます。よって選択肢の内容は正しいです。

5.アレキシサイミア<失感情症>とは、感情への気づきの乏しさ、内省の乏しさ、言葉に感情が伴わないなどの特徴があります。よって選択肢の内容は誤りです。

参考になった数93

02

正答は4です。

心身症とは、身体疾患のうち、発症や経過にストレスによる影響が大きいと認められるものを指します。

1 慢性疼痛とは、痛みが長く(慢性的に)続くことを指します。痛みを伝える神経が過敏になり、痛みを感じやすくなってしまうことから生じているとされており、抗うつ薬を服用することで神経伝達物質のバランスを取り、痛みの抑制に作用すると期待されています。抗うつ薬の処方は有効であると考えられており、選択肢は誤りとなります。

2 ライフイベントは環境の変化を伴うものであり、悪い出来事だけでなく、良い出来事であってもストレスとなり得ます。進学や結婚は大きなライフイベントであり、ストレスによる影響があるとされる心身症が増悪する要因となる可能性は考えられます。したがって、誤りとなります。

なお、ライフイベントがどの程度のストレッサーとなるかを測るには、ホームズとレイの社会的再適応評価尺度などが用いられます。

3 タイプA行動パターンの人は、せっかちで苛立ちやすく、競争的、野心的などの特徴があり、怒りや攻撃性を示すことが多いとされています。狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患のリスク要因となると言われており、選択肢は誤りとなります。

4 本態性高血圧症は、高血圧症のうち原因が明らかでないものを指し、塩分摂取過多、肥満、運動不足、ストレスなど様々な要因が考えられます。心理的ストレスで悪化している場合は、上述の心身症の定義にも当てはまります。したがって、正しいです。

5 アレキシサイミアでは、自分の感情を認識することや感情を言語化することの苦手さ、内省の乏しさなどが特徴として挙げられます。ストレス過多の状態であることに気付きにくく、溜め込んでしまいがちであり、心身症につながることもあります。

「以前楽しめていた活動に対して楽しめない状態」は、アレキシサイミアではなく、うつ病などで挙げられる特徴であるため、選択肢は誤りとなります。

参考になった数47

03

心身症とは、心理的ストレスが身体の病態に明確に影響を与え、身体症状として表れる疾患を指します。

ストレス性の高血圧や気管支喘息、消化性潰瘍などが心身症の代表例です。

また、心理的特性(例:アレキシサイミア)が関連する場合もあります。

本問題では、心身症に関連する概念について正しい選択肢を選びます。

選択肢1. 慢性疼痛患者には、抗うつ剤は無効である。

慢性疼痛患者では、痛みそのものだけでなく、痛みに伴う抑うつや不安が症状を悪化させることがあります。抗うつ剤は、これらの心理的要因の緩和や、神経系の過敏性を軽減することで、疼痛の管理に有効である場合があります。

この選択肢は誤りです。

選択肢2. 進学や結婚は、気管支喘息の増悪に関与しない。

進学や結婚などのライフイベントは、ストレスを伴うことが多く、気管支喘息を含む心身症の症状を悪化させる要因となり得ます。

ライフイベントによるストレスと心身症の関係性は広く認識されています。

この選択肢は誤りです。

選択肢3. タイプA型行動パターンは、消化性潰瘍のリスク要因である。

タイプA型行動パターン(競争的、攻撃的、せっかちな性格傾向)は、主に冠動脈疾患のリスク要因として知られています。一方、消化性潰瘍の発症には、ピロリ菌感染やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用が主な要因であり、タイプA型行動パターンとは直接的な関連は示されていません。

この選択肢は誤りです。

選択肢4. 本態性高血圧症が心理的ストレスで悪化している場合は、心身症と考える。

心身症では、心理的ストレスが身体の病態に明確に影響を与えることが特徴です。本態性高血圧症がストレスの影響で悪化している場合は、心身症の一例とみなされます。

この選択肢は正しいです。

選択肢5. アレキシサイミア<失感情症>とは、以前楽しめていた活動に対して楽しめない状態を意味する。

アレキシサイミアは、感情の認識や表現が困難である特性を指します。一方、「以前楽しめていた活動に対して楽しめない状態」は、アネドニア(快楽消失)と呼ばれ、うつ病の症状の一つです。

この選択肢は誤りです。

まとめ

本態性高血圧症が心理的ストレスで悪化している場合は、心理的要因が身体症状に影響を与える「心身症」として分類されます。他の選択肢は、心身症の特徴や関連する概念についての誤解や不正確な説明を含んでいます。

したがって、正答は 本態性高血圧症が心理的ストレスで悪化している場合は、心身症と考えるです。

参考になった数1