公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問23 (午前 問23)

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 問23(午前 問23) (訂正依頼・報告はこちら)

児童の社会的養護における家族再統合について、最も適切なものを1つ選べ。
  • 家庭復帰が困難な子どもは対象ではない。
  • 児童福祉施設は、家族再統合には積極的に関与しない。
  • 家庭裁判所は、申立てがあった場合、直接保護者に適切な治療や支援を受けることを命令できる。
  • 子どもが、家族の歴史や事情を知った上で、肯定的な自己イメージを持つことができるよう支援する。
  • 施設や里親などにおける子どもの生活が不安定になるため、分離中の実親との交流は、原則として控える。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

社会的養護とは、保護者のいない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことをいいます。

1 上記の通り、保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当ではない児童が対象となっているため、家庭復帰が困難な子どもが対象であると考えられます。よって、選択肢は不適切です。

2 児童福祉施設においても、職員等が当該児童の家族にアウトリーチを行い、家庭復帰をする手助けを行っています。よって、選択肢は不適切です。

3 児童虐待防止法には、「都道府県知事又は児童相談所長は、児童虐待を行った保護者について児童虐待の再発を防止するため、医学的又は心理学的知見に基づく指導を行うよう努めるものとする」との条文があります。そのことから都道府県知事又は児童相談所長が治療や支援を行うものと考えられます。よって、選択肢の内容は不適切です。

4 最終的には家族との再統合を目標としているため、家族の状況を理解したうえで肯定的なイメージを持たせる支援は大切です。よって、選択肢は適切です。

5 最終的には家族との再統合を目標としているため、状況に応じて実親との交流も考えられます。よって、選択肢の内容は不適切です。

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02

正答は4です。

児童の社会的養護とは、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を公的機関で保護・養育するとともに、家族への支援を行うことを指します。

そして、家族再統合とは、虐待などの問題によって分離した親子が、再び親子としての関係を築くことができるよう、援助を行うことを言います。

1 親との分離を経験した子どもなど、家庭復帰が困難な子どもも対象となります。よって不適切となります。

2 児童福祉法によると、児童福祉施設を含む関係機関は再統合のために必要な措置を取るよう示されており、「積極的に関与しない」との記述は不適切となります。

3 児童福祉法によると、家庭裁判所から都道府県等、治療や支援を行うよう勧告することができると示されていますが、「家庭裁判所が命令できる」という点において不適切となります。

4 記述の通りです。家族再統合においては、自身のルーツや生い立ちを整理することで、肯定的な自己イメージを持つことができるよう支援する取り組みが重要と考えられています。

5 生活が不安定になることが予想されるなど、控える方が望ましい時期・場合もあると考えられますが、良い距離感を持ちながら交流していくことが家族再統合につながる場合も考えられるため、「原則として控える」という記述は適切であるとは言えません。

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03

児童の社会的養護における家族再統合は、単なる家庭復帰だけを目指すのではなく、子どもが実親や家族との関係を再構築し、健全な発達を支えるプロセスを指します。この過程では、子どもの自己肯定感を高め、安心して成長できる環境を整えることが重視されます。また、家族再統合における支援は、児童福祉施設や関係機関が一体となって取り組む必要があります。

本問題は、この視点から適切な選択肢を問うものです。

選択肢1. 家庭復帰が困難な子どもは対象ではない。

家族再統合は、家庭復帰が困難な場合であっても、親子関係の再構築や情緒的なつながりを支援することを含みます。必ずしも実際の家庭復帰が目的ではなく、子どもの発達において肯定的な親子関係を築くことが重要視されます。

この選択肢は不適切です。

選択肢2. 児童福祉施設は、家族再統合には積極的に関与しない。

児童福祉施設は、家族再統合に積極的に関与する役割を担っています。

例えば、実親との面会の支援、家庭復帰に向けた支援計画の立案などがその一部です。

施設は、子どもが家族とのつながりを維持し、安心して成長できるよう支援します。

この選択肢は誤りです。

選択肢3. 家庭裁判所は、申立てがあった場合、直接保護者に適切な治療や支援を受けることを命令できる。

家庭裁判所は親権や児童の福祉に関する判断を行いますが、保護者に対し、治療や支援の実施を直接命令する権限はありません。

支援の実施は、児童相談所や福祉機関が主に担います。

この選択肢は不適切です。

選択肢4. 子どもが、家族の歴史や事情を知った上で、肯定的な自己イメージを持つことができるよう支援する。

家族再統合においては、子どもが家族の背景や事情を理解し、それを受け入れながら肯定的な自己イメージを持つことが重要です。この支援は、子どもの情緒的な安定や健全な発達を促進するための基盤となります。

この選択肢は家族再統合の理念を正しく反映しており、適切です。

選択肢5. 施設や里親などにおける子どもの生活が不安定になるため、分離中の実親との交流は、原則として控える。

実親との交流は、子どもの心身の安定や家族再統合を目指すプロセスにおいて重要な役割を果たします。適切な形で交流を支援することが、子どもの発達や安心感の向上につながります。

この選択肢は、家族再統合の実践と反しているため、不適切です。

まとめ

家族再統合は、家庭復帰の有無に関わらず、子どもが家族との関係を再構築し、自分自身を肯定的に捉えられるように支援することを目的としています。

この視点を正しく反映している選択肢は 子どもが、家族の歴史や事情を知った上で、肯定的な自己イメージを持つことができるよう支援するです。

他の選択肢は、家族再統合の目的や手法を誤解しているため不適切です。

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