公認心理師 過去問
第3回(2020年)
問24 (午前 問24)
問題文
学習者が自分の目標を決め、その目標を達成するために自らの計画を立て、実行段階で思考、感情及び行為をコントロールし、実行後に振り返り、自らの学習行動を評価するプロセスとして、正しいものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 問24(午前 問24) (訂正依頼・報告はこちら)
学習者が自分の目標を決め、その目標を達成するために自らの計画を立て、実行段階で思考、感情及び行為をコントロールし、実行後に振り返り、自らの学習行動を評価するプロセスとして、正しいものを1つ選べ。
- 観察学習
- 自己調整学習
- 認知的徒弟制
- 古典的条件づけ
- 有意味受容学習
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この過去問の解説 (3件)
01
正答は2です。
自己調整学習とは、学習者自身が能動的に、学習目標の達成に向かって「自らの計画を立て、実行段階で思考、感情及び行為をコントロールし、実行後に振り返り、自らの学習行動を評価するプロセス」のことを表します。したがって(2)が正答です。
1 観察学習とは、他者の行動を観察することによって学習が成立することを指します。
例として、人が暴力を振るうのをよく見ていたグループは、そうでないグループよりも攻撃行動が多くなるといったバンデューラによる実験が挙げられます。
3 認知的徒弟制とは、親方と弟子のような関係性の間で行われてきた、伝統的な職業技術訓練をモデルとした学習プロセスのことを指します。
弟子の学習過程において、モデリング → コーチング → スキャフォールディング(学習者が自立するために、一時的に足場作りをして支援すること)→ フェーディングの順に段階的に進めることによって、学習が効果的に進むと考えられています。
4 古典的条件付けとは、中性刺激(特定の反応を生じさせない刺激)と無条件刺激(生得的反応を引き起こさせる刺激)の対呈示を繰り返すことにより、中性刺激が無条件刺激としての働きを獲得し、条件反応を成立させる手続きを指します。
代表的な例としては、犬の背後でベルを鳴らしエサを与えるとエサによって唾液が出るが、それを繰り返すことで、エサを与えなくてもベルの音を聞いただけで唾液が出ようになるといった、パブロフの犬の実験などが挙げられます。
5 有意味受容学習とは、オーズベルによって提唱された考え方です。学習者は、先行オーガナイザー(学ばせたい知識に関する理解を促す目的で、その知識に先行して提供する枠組み)を提示されることによって、自身の持っている認知構造の中に新たな内容を関連付けながら取り込むことで、容易に学習できることが示されています。
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02
正解は2です。
各選択肢については以下の通りです。
1.観察学習は、バンデューラによって提唱されました。モデルである他者の行動を観察することによりその行動を学習することです。よって、選択肢は誤りです。
2.設問は、自己調整学習の説明です。よって選択肢は正しいです。
3.認知的徒弟制とは、師匠と弟子といった関係を基にした学習方法のことです。学習過程には、モデリング、コーチング、スキャホールディング、フェーディングの4段階があるとされています。よって選択肢は誤りです。
4.古典的条件付けは、生理的な反射である無条件反応を引き起こす無条件刺激と、中性的な刺激である条件刺激を対提示することによって、条件刺激だけでも条件反応を形成させるものを言います。代表的なものに、パブロフの条件反射やワトソンのアルバート坊やの実験があります。よって選択肢は誤りです。
5.有意味受容学習とは、D.P.Ausubelによって提唱されたものです。学習者が知らない知識を教授させる受容学習と、潜在的に有意味性を持った対象に対して、学習者側が主体的に行う学習を合わせたものです。よって、選択肢は誤りです。
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03
自己調整学習(self-regulated learning)は、学習者が自ら学習の目標を設定し、その目標達成に向けて計画を立て、学習中の行動や感情、思考を調整し、さらに結果を振り返りながら自分の学習プロセスを評価する学習モデルです。
このプロセスは、主体的で効率的な学びを可能にするものとして注目されており、教育現場でも重要視されています。
本問題では、この学習プロセスに該当する正しい名称を選びます。
観察学習は、他者の行動を観察し、その結果をもとに自分の行動を学ぶ学習プロセスを指します。これは主にバンデューラの社会的学習理論に基づくものであり、他者から学ぶことを強調しています。
自ら目標を設定し、振り返るという自己調整のプロセスは含まれていません。この選択肢は不適切です。
自己調整学習は、学習者が自ら目標を設定し、計画を立てて実行し、進捗をモニタリングしながら調整を行い、最終的に結果を振り返って評価するプロセスです。このプロセスは、主体的な学習を促進し、学習の質を向上させるものとして広く認識されています。
この選択肢は、設問の内容を正確に表しているため適切です。
認知的徒弟制(cognitive apprenticeship)は、学習者が熟達者(教師や先輩)と一緒に活動を行うことで、思考過程やスキルを学ぶ方法です。熟達者はモデルを示し、学習者はそのモデルを観察しながらスキルを身につけます。
学習者が自己調整的に学習するプロセスではなく、他者との関係が中心となるため、この選択肢は不適切です。
古典的条件づけ(classical conditioning)は、ある刺激に対する反応が別の刺激と結びつくことで学習が成立するプロセスです。パブロフの犬の実験が有名で、反射的な行動の学習に関する理論です。
この理論には、目標設定や振り返りといった自己調整の要素は含まれません。
この選択肢は不適切です。
有意味受容学習(meaningful learning)は、オーズベルが提唱した理論で、新しい情報を既有知識に関連づけながら学習することを指します。受動的な学習ではなく、学習者が新しい知識を理解しやすくするための過程を重視していますが、自己調整や学習プロセスのモニタリングは含まれません。
この選択肢は不適切です。
学習者が自ら目標を設定し、計画を立て、実行中に調整を行い、結果を振り返って評価するプロセスは自己調整学習(self-regulated learning)に該当します。他の選択肢(観察学習、認知的徒弟制、古典的条件づけ、有意味受容学習)は、特定の学習理論や方法論を表しており、自己調整的な学習プロセスには適合しません。
したがって、正答は 自己調整学習です。
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