公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午前 問44
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午前 問44 (訂正依頼・報告はこちら)
ナラティブ・アプローチに基づく質問として、最も適切なものを1つ選べ。
- その出来事が起こったとき、どのような考えが頭をよぎりましたか。
- 今話されていたことですが、それを今ここで感じることはできますか。
- その罪悪感は、どのようにお母さんとの関係を邪魔しているのですか。
- 寝ている間に問題が全て解決したとしたら、どのように目覚めると思いますか。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (2件)
01
正答は3です。
ナラティブ・アプローチとは、相手の語る「物語(ナラティブ)」を通して解決法を見出そうとするアプローチです。
流れとしては、まずはドミナントストーリーと呼ばれる語り手の物語を傾聴します。このドミナントストーリーには、本人の思い込みやとらわれに支配されている部分が少なくないと言われています。
そして、自分の一部として語られがちな内在化した問題に名前を付けたりして、本人と切り離していくことで、問題が客観視できるよう外在化を行います。
さらに、問題にどのような出来事や経験がかかわっているかを質問(反省的質問)しながら、問題について一緒に考えていきます。
こうしたやり取りを重ねる中で、ドミナントストーリーとは異なる例外的な部分を発見し、ストーリーを補強していき、新たな物語(オルタナティブストーリー)が築き上げられることで、行動や思考が変容していくと考えられています。
1 出来事から自然に生じてくる考え(自動思考)を捉えることができる質問であり、自動思考を扱う認知療法や認知行動療法などで用いられることの多い質問です。したがって、誤りとなります。
2 「今、ここ」の気付きや体験に焦点を当てるゲシュタルト心理療法などで用いることが多い質問です。したがって、誤りとなります。
3 このような罪悪感と母親の関係性に関する質問は、上述した反省的質問の例であると言えるため、ナラティブ・アプローチにおいて用いることが多い質問と言えます。
4 ミラクルクエスチョンとも呼ばれる問題解決後の状況をイメージさせるための質問であり、未来に焦点を当て、原因追及よりも未来の解決像を構築していくことを目的とするソリューション・フォーカスト・アプローチにおいて用いられることが多い質問です。したがって、誤りとなります。
参考になった数83
この解説の修正を提案する
02
正解は3です。
ナラティブとは「ストーリー」や「物語」という意味を持つ言葉です。
J.S.ブルーナーは心理学の研究において、人々が経験から見出す「意味」の重要性を提起しました。そして「意味」をつくり出す源として「物語」を位置づけました。
ここでいう「物語」とは、出来事にまとまりを持たせるための編集過程や、その過程で経た産物を指します。
各選択肢については以下の通りです。
1. 出来事に対しての認知を捉える質問となっており、認知療法、認知行動療法に基づいています。よって、選択肢は不適切です。
2.「今、ここで」を重視するフォーカシング指向心理療法に基づく質問です。よって、選択肢は不適切です。
3.ナラティブ・アプローチの中の「外在化」を用いた質問です。「外在化」とは心の中にある問題を言語化したり名付けることで、外在化により主観を離れ、客観視できるようにすることです。よって、選択肢は適切です。
4.相談者の解決像を引き出す、解決志向アプローチにおけるミラクル・クエスチョンの質問です。よって、選択肢は不適切です。
参考になった数50
この解説の修正を提案する
前の問題(問43)へ
第3回(2020年)問題一覧
次の問題(問45)へ