公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午前 問51

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 午前 問51 (訂正依頼・報告はこちら)

入院患者が公認心理師の面接を受けるために、病棟の面接室に車椅子で入室した。車椅子から面接室の椅子に移乗する際に看護師と公認心理師が介助したが、車椅子から転落した。健康被害は起こらなかった。それを診断した主治医の他に、インシデントレポートの作成者として、適切なものを2つ選べ。
  • 看護師
  • 病院長
  • 公認心理師
  • 病棟看護師長
  • 医療安全管理責任者

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この過去問の解説 (2件)

01

正答は1と3です。

「インシデント」とは、誤った医療行為や管理であることが事前に発見された場合、または誤った医療行為や管理が実施されたが、結果的に患者に影響(不利益)が及ばなかった場合を指します

因みに、治療が必要になるなど、患者に影響(不利益)が及んでしまった場合は「アクシデント」(医療事故)と言います。

結果として患者に不利益は与えていないものの、インシデントが発生した場合は、再発防止のために報告書(インシデントレポート)を作成する必要があります。

インシデントレポートの作成に当たっては「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」など5W1Hに沿って記載するなど、事実を正確に分かりやすく記載することが肝要です。

そのため、インシデントレポートは、インシデントの状況を把握している者が作成することになります。

この選択肢から2名を選択することになると、インシデントの状況を把握している当事者の(1)看護師と(3)公認心理師が、インシデントレポートの作成者の第一候補となると考えられます。

ただし、当事者に限らず、発見者などインシデントの関係者がレポートを作成しても良いとされており、状況を正確に伝えることができるのであれば、他の選択肢の関係者が作成する場合はあり得ます。

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02

正答は1と3です。

平成14年、厚生労働省は、医療安全対策検討会議において「インシデント」と「アクシデント」を以下のように定義しています。 

「インシデント」は、日常診療の場で、誤った医療行為などが患者に実施される前に発見されたもの、あるいは、誤った医療行為などが実施されたが結果として患者に影響を及ぼすに至らなかったものをいう。

一方、「アクシデント」は、医療に関わる場所で医療の全過程において発生する人身事故一切を包含し、医療従事者が被害者である場合や廊下で転倒した場合なども含む。通常、医療事故に相当する用語として用いる。

インシデントとアクシデントは、その影響レベルによって以下のように分類されています。

インシデント

 【レベル0】間違ったことが実施される前に気付いた場合

 【レベル1】間違ったことが実施されたが、患者かつ職員には影響・変化がなかった場合

 【レベル2】間違ったことが実施されたが、患者もしくは職員に処置や治療を行う必要はなかった場合

アクシデント

 【レベル3a】事故により、患者もしくは職員に一時的な治療が必要となった場合

 【レベル3b】事故により、患者もしくは職員に継続的な治療が必要となった場合

 【レベル4a】事故により、長期的にわたり治療が続く場合(機能障害の可能性はない)

 【レベル4b】事故による障害が永続的に残った場合

 【レベル5】事故が死因となった場合


インシデントが発生した場合、そのインシデントに関係した者(当事者・発見者)が、速やかにインシデントレポート(報告書)を書くことになっています。

その目的は、事故の原因を分析し、改善することによって再発を防止することです。

インシデントレポートの書式は医療機関によって異なりますが、内容は以下のようなものです。

・患者情報

・当事者や発見者

・インシデントの発生日時・場所

・インシデントの概要

・インシデントの種類

・患者に与えた影響レベルや対応

・インシデントの発生要因

設問について、インシデントレポートの作成は、そのインシデントに関係した者が行うことになっていますので、この場合の作成者は、患者が車椅子から転落した時にその場に居た 1 .看護師 と 3 .公認心理師 となります。

2 .病院長には、医療事故が発生した場合、医療事故調査・支援センターに報告することが求められます。

4 .病棟看護師長は、看護師からインシデントレポートを受け取り、上司に報告することが役割です。

5 .医療安全管理責任者は、医療事故を防止するための情報収集、分析、対策、評価などをすることが役割となります。


また「健康被害は起こらなかった」とあるので、インシデントの影響レベルは、レベル1もしくはレベル2と言えるでしょう。

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