公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午前 問57
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午前 問57 (訂正依頼・報告はこちら)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律<男女雇用機会均等法>に規定されているセクシュアル・ハラスメントについて、正しいものを2つ選べ。
- 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制すること
- 異性に対して行われるものであって、同性に対するものは含まないこと
- 職場において行われる性的な言動により、労働者の就業環境が害されること
- 業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
- 職場での性的な言動に対して、労働者が拒否的な態度をとったことにより、当該労働者がその労働条件につき不利益を受けること
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この過去問の解説 (2件)
01
正答は3と5です。
「セクシュアル・ハラスメント」とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動によって、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることを指します。
セクシュアル・ハラスメントは大きく2種類に分けられます。
性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けるものを「対価型」と言います。
労働者の意に反する性的な言動により、労働者の就業環境が不快なものとなり、業務に支障が生じるものを「環境型」と言います。
他のハラスメントとして、「パワーハラスメント」が挙げられます。
パワーハラスメントは、職場において行われる「優越的な関係」を背景に、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動によって、労働者の就業環境が害されるものを表します。
1 セクシュアル・ハラスメントは、内容が性的な言動であることと規定されており、選択肢のような言動は含まれません。したがって、記述は誤りとなります。
なお、これは過大な要求として、パワーハラスメントになり得る言動と言えます。
2 セクシュアル・ハラスメントは、男性から女性に対するものだけでなく、女性から男性、同性への言動も含まれます。したがって、記述は誤りとなります。
3 記述のとおりです。環境型のセクシュアル・ハラスメントに該当します。
4 (1)同様、性的な言動によるものではないため、セクシュアル・ハラスメントには該当しません。したがって、誤りとなります。
パワーハラスメントの過小な要求の類型に該当し得る言動と言えます。
5 記述のとおりです。対価型のセクシュアル・ハラスメントに該当する内容です。
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02
正答は3と5です。
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉に規定されているセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)とは、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により、労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されることです。職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれます。
出典:厚生労働省 セクシュアルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000088194.html
「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。勤務時間外の「宴会」などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては個別に行う必要があります。
「労働者」とは、正規労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規労働者を含む、事業主が雇用する労働者のすべてをいいます。
「性的な言動」とは、性的な内容の発言および性的な行動を指します。
性的な内容の発言の例:性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど
性的な行動の例:性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示すること、強制わいせつ行為、強姦など
「職場におけるセクシュアルハラスメント」の種類には「対価型」と「環境型」があります。
「対価型セクシュアルハラスメント」とは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、 降格、減給、労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換 などの不利益を受けることです。
「環境型セクシュアルハラスメント」とは、労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、その労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。
1 .「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強要すること」は、セクシャルハラスメントではなく、パワーハラスメント(パワハラ)に当たります。
出典:厚生労働省 労働者の皆さまへ ハラスメント防止のためのハンドブック
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000474782.pdf
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいいます。
代表的な行為として、以下のような6つの類型が存在します。
⑴ 身体的な攻撃(暴行・傷害)
⑵ 精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
⑶ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
⑷ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
⑸ 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
⑹ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
選択肢1 は、パワハラの類型の ⑷過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強要)に該当する為、誤りです。
2 . セクハラは同性に対するものも含まれる為、選択肢2 は誤りです。
3 .上述したセクハラの定義通りの為、選択肢3は正しいです。「環境型セクシャルハラスメント」に該当します。
4 .選択肢4はパワハラの類型の ⑸過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)に該当する為、誤りです。
5 .上述した「対価型セクシャルハラスメント」に該当する為、選択肢5は正しいです。
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