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公認心理師の過去問 第3回(2020年) 午前 問60

問題

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15歳の女子A、中学3年生。Aが人の目が怖くて教室に入れないということで、学校からの勧めもあり、公認心理師Bがいる市の相談センターに母親Cから相談申込みの電話があった。Cの話によると、学校ではいじめなどの大きな問題はないが、1か月前から不登校状態が続いているという。母子並行面接ということで受理し、面接を行うことになった。インテーク面接当日、Aは、担当であるBとの面接が始まる際に、Cとの分離に不安を示した。インテーク面接の最中も、Aの緊張は高く、なかなか自分の状態について語ることができなかった。
Bが行うインテーク面接とその後の初期対応として、最も適切なものを1つ選べ。
   1 .
AとCとの関係性が面接に影響するため、母子同室面接は行わない。
   2 .
Aが未成年であるため、Aの在籍校にはAが来所したことを報告する。
   3 .
人の目が怖い理由や原因についてAに尋ね、まずはそれを意識化させる。
   4 .
面接に期待していることをAに尋ね、Bが最善の努力をすることを伝える。
   5 .
言語面接が可能である場合、身体に作用するリラクセーション技法は用いない。
( 公認心理師試験 第3回(2020年) 午前 問60 )
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この過去問の解説 (2件)

53

正答は4です。

1 AがCとの分離に不安を示しており、面接時も緊張が高く、なかなか自分の状態について語ることができなかった旨の記載から、母子並行面接においてBがAから情報を引き出すことが難しい様子が窺えます。

そうした場合、母子同室面接としてCと同席することでAの緊張を和らげることも有効な方法であると考えられます。母子同室面接を行いつつ、カウンセラーとの関係性など状況に応じて母子並行面接に移行するなど、母親との分離の様子を見ていくことも重要な手掛かりとなる場合もあります。したがって、選択肢は誤りとなります。

2 問題文を見る限りでは、学校に報告しなければならない緊急性は窺えません。守秘義務の存在もあるため、「報告をしなければならない」という訳ではありません。ただし、本人の同意を得た上で、連携を図るために学校に伝える場合もあります。よって、記述は誤りとなります。

3 人の目が怖い理由や原因についてAに尋ねる行為は、今後の支援方針を検討していくに当たっては考えられることです。しかし、初回面談かつ不安や緊張が強いAの状態を鑑みると、侵襲性の高い介入と考えられ、うまく自分の状態について話せないAにとっては大きな負荷となるものと考えられます。

したがって、現時点で意識化は適していないと考えられるため、誤りとなります。

4 記述のとおりです。Cからの申込による面談ではありますが、Aにおいても今の状況を何とかしたいといった意思があって来談の勧めに応じたものと考えられます。インテーク面接においては、来談したことを労いつつ、来談の動機や経緯を聞き取ることは、アセスメントに役立ちます。

5 Aの緊張が強いことが見受けられるため、なるべく緊張や不安を和らげるよう、リラクセーション技法を用いることは有用となります。したがって、選択肢は誤りとなります。

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正答は4です。

〈インテーク面接と初期対応について〉

インテーク面接とは、相談に来られたクライエントとの初めての面接(初回面接)のことで、クライエントの問題やニーズを把握するために情報収集を行い、今後の援助方針などを判断するものです。ケースによっては、インテーク面接は複数回行われることもあります。

インテーク面接では、主訴、現病歴(通院歴)、生育歴、家族構成、現在の生活状況などの情報を収集します。また、観察から得られる非言語情報(クライエントの様子、服装、話し方、態度、表情など)も記録しておくことが重要です。

インテーク面接では、クライエントは二重の不安を抱きやすいとされます。一つは、自分自身の問題に対する不安です。もう一つは、専門家や相談機関に対する不安です。そのため、性急な情報収集や助言は控え、傾聴と受容的態度によるラポール(信頼関係)の形成に努めることが重要です。

1 .面接の際、Aは「(母親)Cとの分離に不安を示し」、面接最中も「Aの緊張は高く、なかなか自分の状態について語ることができなかった」との記述により、公認心理師BはAの不安や緊張に配慮し、母子同室面接に変更するかA本人の希望を尋ねるなどして、Aが安心して面接を受けられる環境を作ることが適切です。

上述したように、インテーク面接は初回面接であるため、クライエントは自分自身の問題に対する不安だけでなく、相談者に対する不安も強いものです。さらに事例のクライエントは15歳中学生の未成年で、主訴が「人の目が怖くて教室に入れない」とのことですので、初回面接でAの希望も確認せずに母子平行面接を行うことは治療的配慮に欠けることだと考えられます。

よって、選択肢1 は不適切です。

2 .クライエントが未成年であっても、秘密保持義務は守られなければなりません。そして、未成年の情報開示の場合、本人だけでなく、保護者の同意も必要となります。

秘密保持の例外は以下の通りです。

 ・人命に関わる非常事態

 ・虐待が疑われる場合

 ・了承を得た範囲での専門家間の情報共有

 ・医療保険の支払い

 ・裁判や司法手続き

 ・クライエントによる明示的な意思表示がある場合

問題文の事例の場合、秘密保持の例外に該当するような緊急性が高い状況ではありません。また、援助方針の必要性から、Aの在籍校と連携する場合は、事前にA本人と保護者の了諾を得る必要があります。

よって、選択肢2 は不適切です。

3.「インテーク面接の最中も、Aの緊張は高く、なかなか自分の状態について語ることができなかった」との記述により、Aが自分自身の問題にも、相談者に対しても不安を抱えていること(二重の不安)がわかります。まだラポールも形成されていないインテーク面接で、Aが不安を抱えている自分自身の問題「人の目が怖い理由や原因」について公認心理師Bが意識化していく行為は、治療的配慮に欠け、侵襲的とも言えるでしょう。

よって、選択肢3 は不適切です。

4 .この事例の来談経緯は、学校からの勧めで母親Cから市の相談センターへ相談申込みの電話があったというものです。現況についても母親Cからの話しか聞いていません。

その為、インテーク面接では、A本人の来談動機を確認する必要があるでしょう。そしてAの公認心理師Bに対する不安に配慮し、ラポールを築く為に、BがAの抱えている問題に対して援助者であることを伝えるのが初期対応として適切であると思われます。

よって、選択肢4 は適切です。

5 .言語面接が可能である場合でも、不安や緊張が強い様子が見られたら、面接内で身体的リラクセーション技法を用いることは問題ないと考えられます。

よって、選択肢5 は不適切です。

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