問題
J.O.Prochaskaらの多理論統合モデル<Transtheoretical Model>では、Aはどのステージにあるか。最も適切なものを1つ選べ。
正答は4です。
多理論統合モデルの中核として、「行動変容ステージモデル」と呼ばれる理論があります。
この理論では、人の行動変容は、改善しようとする意思と行動の状況により
「前関心期(前熟考期)」→「関心期(熟考期)」→「準備期」→「実行期」→「維持期」
の5つのステージを経ると考えられています。
そして、対象者がどのステージにいるか把握し、対象者の状況に即した支援の提供を行うことが求められます。
「前関心期(前熟考期)」は、6 か月以内に行動を起こす意思のない段階です。
「関心期(熟考期)」は、行動を起こしていないが6 か月以内に行動を起こす意思がある段階です。
「準備期」は、具体的な行動に移してはいないが 1 か月以内に行動を起こそうと思っている段階です。
「実行期」は、行動を開始して 6 か月以内の段階です。
「維持期」は、行動を6か月以上継続している段階です。
問題文には「中断していたジム通いを半年以内に再開するべきかどうかを迷っていた」との記載があり、まだ行動は起こしていないが、6か月以内にジムを再開するといった行動を検討している様子が窺えます。これは(4)関心期に該当します。
なお、「関心期」においては、「準備期」への移行を促すべく、行動変容のメリットを伝えるなどして動機づけを行ったり、行動変容の具体的な方法なのど情報提供によって「自分にもできる」といった自己効力感を高めることが大切になります。
正答は4 です。
多理論統合モデル〈Transtheoretical Model, TTM〉とは、J.Prochaska、C.DiClementeによって提唱された、行動変容の成功率が実証されている健康行動モデルの一つです。
TTM では、行動変容にかかわる要因とし て、1)行動変容ステージ、2)意思決定のバランス、3)自己効力感、4)変容のプロセス の4つを仮定しています。
行動変容ステージは、多理論統合モデルの中核概念の一つで、改善を目的とする生活習慣に対し、対象者が「生活習慣改善のための行動をしようと考えているか」といった意図と、実際に「生活習慣改善のための行動を行っているか」といった行動から対象者の生活習慣改善に対する準備性を評価するものです。
このように準備性に注目することで、対象者の状況に即した支援を提供することが可能となります。
意図と行動の状況により、「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」のいずれかのステージに評価され、人が行動を変える場合は「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます。
「無関心期(前熟考期)」
行動を実行しておらず、6ヶ月以内に行動を変えようと思っていない。行動変容に対して無関心か抵抗を示している状態。
「関心期(熟考期)」
行動を実行していないが、6ヶ月以内に行動を変えようと思っている。変化したいと感じつつ、変化しないことにも価値を置いている状態。
「準備期」
行動を実行していないが、1ヶ月以内に行動を変えようと思っている。行動変容のための具体的な方法を検討している段階。
「実行期」
実行し始めて6ヶ月未満である。行動を変えることへのメリットを感じつつも、生活習慣の変化にストレスを感じる。
「維持期」
実行し始めて6ヶ月以上継続している。自立して行動変容を続けているため、自己効力感が高まっている。
問題文には「中断していたジム通いを半年以内に再開するべきかどうかを迷っていた」との記述があり、6ヶ月以内に行動を変えようと思っている段階「関心期」であることがわかります。
よって、選択肢4 が正しいです。
【参考】
行動変容ステージモデル 厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-001.html
行動変容ステージ 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科
https://www.h.kobe-u.ac.jp/sites/default/files/general_page/ikiikisiryou_3.pdf