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公認心理師の過去問 第3回(2020年) 午前 問65

問題

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9歳の男児A、小学3年生。Aは、学校でけんかした級友の自宅に放火し、全焼させた。負傷者はいなかった。Aはこれまでにも夜間徘徊で補導されたことがあった。学校では、座って授業を受けることができず、学業成績も振るわなかった。他児とのトラブルも多く、養護教諭には、不眠や食欲不振、気分の落ち込みを訴えることもあった。Aの家庭は、幼少期に両親が離婚しており、父親Bと二人暮らしである。家事はAが担っており、食事は自分で準備して一人で食べることが多かった。時折、Bからしつけと称して身体的暴力を受けていた。
家庭裁判所の決定により、Aが入所する可能性が高い施設として、最も適切なものを1つ選べ。
   1 .
自立援助ホーム
   2 .
児童自立支援施設
   3 .
児童心理治療施設
   4 .
児童発達支援センター
   5 .
第三種少年院(医療少年院)
( 公認心理師試験 第3回(2020年) 午前 問65 )
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この過去問の解説 (3件)

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Aは級友の自宅に放火し全焼させたことをはじめ、刑法に触れる行為に及んでおり、「触法少年(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年)」として、家庭裁判所による審判を受けることになります。

なお、少年事件においては、全件送致主義と呼ばれる全ての事件を家庭裁判所に送致するといった原則があります。

加えて、AはBから身体的暴力を受けているほか、食事は自分で準備している様子から、虐待を受けていることが疑われ、生活環境の調整も必要となることが考えられます。

選択肢1. 自立援助ホーム

自立援助ホームとは、なんらかの理由で親元を離れ、働きながら自立した生活を目指している子どもに暮らしの場を与える施設です。働いた収入でホームの使用料を支払いながら生活する施設であり、対象が原則15歳から20歳となっています。

そのため、9歳のAに適している施設ではないため、誤りとなります。

選択肢2. 児童自立支援施設

正答です。児童自立支援施設とは、非行に及んだり、及ぶおそれがある児童、または家庭環境等の理由から生活指導を要する児童に対して必要な指導を行い、自立を支援する施設です。少年法に基づき、家庭裁判所の審判(保護処分)を経て入所する場合が少なからずあり、Aが入所するには適している施設のひとつです。

選択肢3. 児童心理治療施設

児童心理治療施設とは、心理的(情緒的)・環境的な要因から社会生活への適応が困難となった児童に対して、短期間の入所あるいは保護者の下から通所させ、治療や支援を行う施設です。

虐待されている保護者からの下からの通所は勿論、環境調整を行うにしても短期間の入所では十分とは言えず、これらの観点から考えると、Aを支援するには適切であるとは言えません。

さらに、家庭裁判所の決定として「児童心理治療施設」を指定して送致することはできない(「児童相談所長送致」と決定した場合は、児童相談所から当該施設に入所することは可能)ため、誤りとなります。

選択肢4. 児童発達支援センター

児童発達支援センターとは、障害(身体・知的・発達・精神など)を有する児童に対して、日常生活に必要な基本的動作の指導や集団生活への適応のための訓練を行う通所訓練施設です。上述したような福祉サービスを行う「福祉型」、福祉サービスに加えて治療や機能訓練を行う「医療型」があります。

Aには、落ち着きのなさや感情統制の面で気になる言動はありますが、発達障害などの診断がなされている旨の記載は見当たらないほか、虐待による影響が生じていることも十分に考えられるため、障害を有する児童への通所訓練施設が最適な施設であるとは言えません。

また、家庭裁判所の決定として「児童発達支援センター」を指定して送致することはできないため、選択肢は誤りとなります。

選択肢5. 第三種少年院(医療少年院)

家庭裁判所の審判において、少年院送致決定となる場合はあります。ただし、第三種少年院とは、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を収容し、矯正教育を施す施設であり、9歳であるAが入所するには適していません。

なお、Aの状態として心身に著しい障害があるとまでは判断しがたく、医療少年院が適当であるとも考えにくいです。この場合、第一種少年院(心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者が対象)となりますが、いずれにせよ9歳のAは対象とはなりません。

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Aは9歳で、級友の自宅に放火し、全焼させるという法に触れる行為をした為、「触法少年」となります。

14歳未満で法に触れる行為をした触法少年は、刑事責任を問われない為、刑罰を受けません。

14歳未満の触法少年については、家庭裁判所ではなく、児童相談所に通告、送致されることになっています。

児童相談所が家庭裁判所での少年審判が必要と考えた時に限り、児童相談所から家庭裁判所へ送致され、審判に付することができます。

家庭裁判所の少年審判で下される可能性のある決定

 ・不処分

 ・保護観察

 ・児童自立支援施設又は児童養護施設

 ・少年院送致

0〜11歳は原則として少年院にも送致されませんが、12〜13歳は家庭裁判所の判断で少年院に送致されます。

「全件送致主義」とは、14歳以上の少年が犯罪を犯した場合は、嫌疑があるものも含め、家庭裁判所に送致しなければならないことです。

選択肢1. 自立援助ホーム

自立援助ホーム

自立援助ホームとは、なんらかの理由で家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった子どもたちに、暮らしの場を与える施設です。

対象は、原則として、義務教育終了後の15〜20歳まで(状況によって22歳まで)の児童です。

入居希望者などは、各都道府県、政令市の窓口、主に児童相談所に入居相談及び入居の申請を行います。

出典:全国自立援助ホーム協議会

http://zenjienkyou.jp/自立援助ホームとは/

Aは年齢が9歳、小学3年生で、まだ義務教育中の為、自立援助ホームに入所することはできません。

また、自立援助ホームへの入所は、家庭裁判所が決定する施設ではありません。

よって、選択肢は誤りです。

選択肢2. 児童自立支援施設

児童自立支援施設

児童福祉法 第44条  児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

出典:児童福祉法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164

対象児童は、行動上の問題のある子ども、特に非行問題のある子どもです。「児童自立支援施設」は、平成9年の児童福祉法改正により、「教護院」から名称が変更され、家庭環境その他の環境上の理由により生活指導を要する児童も対象に加えられました。

入所経路は、児童相談所の「児童福祉施設入所措置」(児童福祉法第 27 条に規定されている行政処分の一種)によって入所する場合と、家庭裁判所の少年審判における保護処分によって児童相談所を経由して入所する場合とがあります。

出典:児童自立支援施設 運営ハンドブック 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/syakaiteki_yougo/dl/yougo_book_5_0.pdf

Aは「級友の自宅に放火し、全焼させた」との記述により、14歳未満で法に触れる行為をした触法少年です。「Aはこれまでにも夜間徘徊で補導されたことがあった」との記述からも、今後も不良行為を繰り返す恐れがあります。

また家庭では「家事はAが担っており、食事は自分で準備して一人で食べることが多かった」「(父親)Bからしつけと称して身体的暴力を受けていた」との記述により、Aが家庭環境の理由により生活指導を要する児童に該当すると判断できます。

よって、「児童自立支援施設」が、家庭裁判所の決定により、Aが入所する可能性が高い施設として適切だと考えます。

なお、家庭裁判所の少年審判における保護処分によって児童自立支援施設の入所が決定した場合は、親権者等の同意は必要ありません。

選択肢3. 児童心理治療施設

児童心理治療施設

児童福祉法 第43条の2  児童心理治療施設は、家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となつた児童を、短期間、入所させ、又は保護者の下から通わせて、社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行い、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

児童心理治療施設は、心理的・精神的問題を抱え日常生活の多岐にわたり支障をきたしている子どもたちに、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を行います。併せて、その子どもの家族への支援も行います。

比較的短期間(平均在所期間2.2年)で治療し、家庭復帰や、里親・児童養護施設での養育につなぐ役割をもちます。

入所経緯は、家庭からが最も多く、次いで児童養護施設からの入所となっています。

出典:厚生労働省 社会的養護の施設等について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/syakaiteki_yougo/01.html

問題文では「幼少期に両親が離婚しており、父親Bと二人暮らしである」「家事はAが担っており、食事は自分で準備して一人で食べることが多かった」「Bからしつけと称して身体的暴力を受けていた」との記述により、Aの問題が児童心理治療施設での短期的な治療で解決できる問題ではないことと環境調整が必要なことがわかります。

また、児童心理治療施設の入所は、家庭裁判所が決定するものではありません。

よって、選択肢は誤りです。

選択肢4. 児童発達支援センター

児童発達支援センター

児童福祉法 第43条  児童発達支援センターは、次の各号に掲げる区分に応じ、障害児を日々保護者の下から通わせて、当該各号に定める支援を提供することを目的とする施設とする。

 福祉型児童発達支援センター 日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与又は集団生活への適応のための訓練

 医療型児童発達支援センター 日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与又は集団生活への適応のための訓練及び治療

児童発達支援センターは、地域の障害のある児童を通所させて、日常生活における基本的動作の指導、自活に必要な知識や技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う施設です。

福祉サービスを行う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療を行う「医療型」があります。

利用を希望する場合は、居住地の市区町村に申請します。

問題文のAは、障害のある児童ではない為、児童発達支援センターへの入所は適切ではありません。

また、児童発達支援センターへの入所は、家庭裁判所が決定するものではありません。

よって、選択肢は誤りです。

選択肢5. 第三種少年院(医療少年院)

第三種少年院(医療少年院)

少年院は、収容された少年に矯正教育を授ける施設です。

第三種少年院は、保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者を対象とします。

また、0〜11歳の触法少年は、原則として少年院には送致されません。

Aは、9歳の触法少年の為、少年院には送致されません。

よって、選択肢は誤りです。

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家庭裁判所の決定は、「保護処分」と呼ばれます。

「保護処分」には、「保護観察」「児童自立支援施設・児童養護施設送致」「少年院送致」があります。

このうち、「保護観察」は社会内処遇です。

一方、「児童自立支援施設・児童養護施設送致」または「少年院送致」が施設内処遇です。

施設内処遇のうち、事例のAは小学3年生ですので、おおむね12歳以上の者が入所する「少年院」には入所はしません。

児童福祉施設のひとつである、「児童自立支援施設」に入所する可能性が高いと考えられます。

選択肢1. 自立援助ホーム

自立援助ホームは、原則として非行少年の入所施設ではありません。

自立援助ホームは、何らかの理由で家庭にいられなくなった、原則として15歳から20歳までの青少年に、暮らしの場を与える施設です。

選択肢2. 児童自立支援施設

上記の解説の通りです。

選択肢3. 児童心理治療施設

児童心理治療施設は、原則として非行少年の入所施設ではありません。

児童心理治療施設は、心理的問題を抱え、日常生活に支障をきたしている子どもたちに、医療的な観点から生活支援を行う施設です。

対象年齢は、小・中学生を中心に20歳未満の青少年です。

選択肢4. 児童発達支援センター

児童発達支援センターは、原則として非行少年の入所施設ではありません。

児童発達支援センターは、日常の集団生活へ適応するために必要な知識・技能の習得および訓練を行う施設です。

選択肢5. 第三種少年院(医療少年院)

第三種少年院(医療少年院)は、対象年齢が12~26歳の者が入所します。

保護処分を受け、心身に著しい障害がある者が入所する施設です。

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