公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午前 問67
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午前 問67 (訂正依頼・報告はこちら)
21歳の男性A。Aは実母Bと二人暮らしであった。ひきこもりがちの無職生活を送っていたが、インターネットで知り合った人物から覚醒剤を購入し、使用したことが発覚して有罪判決となった。初犯であり、BがAを支える旨を陳述したことから保護観察付執行猶予となった。
保護観察官がAに対して行う処遇の在り方として、最も適切なものを1つ選べ。
保護観察官がAに対して行う処遇の在り方として、最も適切なものを1つ選べ。
- 自助の責任を踏まえつつ、Aへの補導援護を行う。
- Bに面接を行うことにより、Aの行状の把握に努める。
- Aが一般遵守事項や特別遵守事項を遵守するよう、Bに指導監督を依頼する。
- 改善更生の在り方に問題があっても、Aに対する特別遵守事項を変更することはできない。
- 就労・覚醒剤に関する特別遵守事項が遵守されない場合、Aへの補導援護を行うことはできない。
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この過去問の解説 (3件)
01
正答は1です。
保護観察とは、犯罪をした人や非行のある少年に対して、保護観察所による指導・監督・支援を行いながら、社会内で更生へと導く処分のことを指します。
1 補導援護とは、対象者が自立した生活を送るために、住居や職業などのサポートを与えることを指します。
引きこもりがちで無職生活を送っていたとされるAに対しての処遇としては、適切と言えます。
2 更生保護法によると、保護観察官は面接等によって保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握することが求められています。家族との面談もAの様子を把握する手掛かりとはなりますが、それだけでなく対象者本人との面談によって行状を把握することが必要となります。したがって、記述は不適切となります。
3 指導監督とは、対象者の行状の把握をしたり、遵守事項を守って生活するよう指示したりすること、あるいは犯罪傾向を改善するための専門的処遇を行うことを指します。これらは、保護観察官が行う処遇であり、Bに依頼することは適切ではありません。
なお、遵守事項とは保護観察中に守らなければならないルールのことを指し、対象者全員に求められる一般遵守事項、事件や個人の問題性に合わせて定められる特別遵守事項があります。
4 更生保護法によると、保護観察所の長の申し出によって特別遵守事項の変更は可能とされています。よって、記述は不適切となります。
5 遵守事項が守られていない場合は、保護観察官から面接等が行われ、違反に対する措置が検討されます。場合によっては身柄を拘束され、刑務所や少年院へ収容するための手続きが取られることもあり得ます。こうした違反に対する措置は行われますが、補導援護は対象者の更生のための支援であるため、これを中止することは適当ではありません。よって、記述は不適切となります。
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02
正答は1です。
「保護観察」とは、犯罪を犯した人や非行少年が社会の中で更生するように、保護観察官、保護司による指導と支援を行うものです。
刑務所などの矯正施設で行われる施設内処遇に対し、施設外である社会の中で処遇を行うことから、社会内処遇と言われています。
詳しくは、下記を参照してください(保護観察所 法務省)。
https://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00040.html
1 .更生保護法の第58条に、補導援護の方法が規定されています。
更生保護法 補導援護の方法
第五十八条 保護観察における補導援護は、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため、その自助の責任を踏まえつつ、次に掲げる方法によって行うものとする。
出典:更生保護法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000088
更生保護法第58条に規定されているように、補導援護は「自助の責任を踏まえつつ」行うものとされています。
よって、選択肢1 は正しいです。
2 .保護観察では、実母Bに面接を行うのではなく、保護観察対象者本人のAと面接を行い、行状の把握をします。
よって、選択肢2 は誤りです。
3 .個々の保護観察対象者には、保護観察官が直接保護観察を実施する場合や、担当の保護司が指名される場合があり、保護観察官と保護司が役割を分担しながら協働して指導・支援が行われます。
Aが一般遵守事項や特別遵守事項を遵守するよう指導監督を行うのは、実母Bではなく、保護観察官や保護司の役割です。
よって、選択肢3 は誤りです。
4 .特別遵守事項の変更については更生保護法の第52条に規定されています。保護観察所の長の申し出により、特別遵守事項は変更することができます。
よって、選択肢4 は誤りです。
5 .特別遵守事項が遵守されない場合は、保護観察官から面接調査などが行われ、違反に対する措置が検討されます。場合によっては、保護観察官が身柄を拘束し、刑務所や少年院に収容するための手続をとることがあります。
「Aへの補導援護を行うことはできない」ということではありません。
よって、選択肢5 は誤りです。
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03
正答は1です。
1.自助の責任を踏まえつつ、Aへの補導援護を行うことは、保護観察の基本です。
保護観察制度とは、犯罪をした人または非行のある少年が、社会の中で更生できるように、保護観察官や保護司による指導と支援を行う制度です。
1年間に、保護観察を受けるのは85,000人ほどです。
2.保護観察官が面接を行って、行状の把握に努める対象者は「A」です。
Bではありませんので、この選択肢は誤りです。
3.Aの家族であるBに、Aの立ち直りへの協力を求めることはあっても、指導監督を依頼することはありません。
4.変更することができないのは、「一般遵守事項」です。
「一般遵守事項」では、すべての保護観察対象者に対して同一のものが法定されています。
「特別遵守事項」は変更することが可能ですので、この選択肢は誤りです。
5.保護観察対象者への補導援護は、「特別遵守事項」が順守されるように行われるものです。
Aが就労・覚醒剤に関する特別遵守事項を遵守するために、補導援護を行うということになりますので、この選択肢は誤りです。
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