公認心理師の過去問 第3回(2020年) 午後 問81
この過去問の解説 (3件)
正答は3です。
主成分分析とは、複数の観察変数を統合して、少数の合成変数(主成分)に要約する手法を指します。主成分とは、観測変数の重要度を加味した(重みづけ)合計得点であり、この主成分を求めることによって、個体を識別しやすくすることが可能となります。したがって、(3)が正答となります。
1 因子分析とは、いくつかの変数の中に隠れている共通の要因を探り出すために用いられる手法であり、観測可能な変数から直接観測できない要因を明らかにする分析手法です。
2 重回帰分析とは、複数の独立変数を用いて、従属変数に与える影響を分析する手法です。いくつかの要因が結果に与えている影響を分析し、結果を予測することが可能となります。
4 正準相関分析とは、複数の従属変数に対して、複数の説明変数が影響することを分析する手法です。
5 クラスター分析とは、大きな集団から、似たものを集めてグループ分けしていき、特徴を見ていく手法です。
正答は3です。
3 .主成分分析とは、複数の観測変数から共通点を抽出して、合成変数(主成分)に集約していく手法です。
主成分を抽出する際、複数の観測変数に重みづけ加算することで、少数の合成変数(主成分)に集約されます。変数に重みづけをすることによって、個体の相違が明瞭になり、最もよく識別できるようになります。
よって、選択肢3「主成分分析」が適切です。
1 .因子分析とは、複数の観測変数の背後にある潜在的な共通因子を抽出する分析です。
観測可能なデータから、それらの背後にある構成概念(因子)を見つけ出します。そして、因子軸の回転により因子負荷量が算出され、その大きさをもとに因子の解釈を行います。
2 .重回帰分析とは、複数の独立変数から一つの従属変数を予測したり、影響を調べたりする統計手法です。
各独立変数が従属変数に及ぼす影響の向きと大きさを標準化した値を標準偏回帰係数といいます。また、得られた重回帰式が、実際に測定された従属変数をどの程度説明しているかは、重相関係数や決定係数を指標にします。
4 .正準相関分析とは、複数の従属変数に対して、複数の独立変数が影響することを調べる手法です。
複数の従属変数を一つのグループ、複数の独立変数を一つのグループとし、一つの相関係数を求めます。グループ間の相関のことを正準相関といい、正準相関の程度を表す指標のことを正準相関係数と呼びます。
5 .クラスター分析とは、データを一定の手続きに従って、類似性の程度によってクラスター(群)に分類する手法です。
正答は3です。
主成分分析は、多変量のデータを少数個の情報に縮約しようとすることを目的とします。
x1, x2, …, xn の n個の変数についての測定値が与えられた時、新しい変数yは、次のように定義されます。
y1 = b1x1 + b2x2 + … + bnxn
b1, b2, …, bn は、y1の分散が最大になるように定めます。
このとき、y1を変数x1, x2, …, xn の第1主成分といいます。
新変数 y1, y2, …, ynを決定していく方法を「主成分分析」といいます。
① 因子分析は、直接測定される観測変数から、潜在変数である因子を見出す分析です。多変量のデータから少数の要因を見出すことに目的があります。
② 重回帰分析は、説明変数が2つ以上ある場合に、1つの目的変数を説明するために行う分析方法です。
③ 上記の解説の通りです。
④ 正準相関分析は、n、m個の変数からなる2組の測定値(x1, x2, …, xn)と(y1, y2, …, ym)があるときに用います。
高校の成績(x変数群)と大学の成績(y変数群)との関係、性格テスト(x変数群)と知能テスト(y変数群)との関係などを検討するときに用いることができます。
⑤ クラスター分析は、各個体をいくつかの集団に分類する分析法です。
参考文献
『心理用語の基礎知識』
東 洋・大山 正・詫摩武俊・藤永 保(編集代表) 2001年 有斐閣ブックス
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