公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問83

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問83 (訂正依頼・報告はこちら)

ヒトの聴覚について、正しいものを1つ選べ。
  • 蝸牛にある聴覚受容器は、双極細胞と呼ばれる。
  • 音源定位には、両耳間時間差と両耳間強度差が用いられる。
  • ピッチ知覚の場所説は、高周波音の知覚の説明が困難である。
  • 聴覚感度は、可聴域内で周波数が高くなるほど単調に減少する。
  • 主観的な音の大きさであるラウドネスの単位は、デシベルである。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

正答は2です。

1 音は内耳にある蝸牛へ振動として入り、その振動を蝸牛内部の有毛細胞が電気信号に変えて、脳に伝えているとされています。したがって、聴覚の受容器は蝸牛内にある「有毛細胞」であるため、記述は誤りとなります。

なお、双極細胞は、視覚受容に関する細胞です。

2 音源定位とは、音源の位置を特定することを指し、左右の耳に音が到達する時間差(両耳間時差)や到達経路の違いによる強度差(両耳間音圧差)を手掛かりにしています。したがって、記述は正しいです。

3 ピッチとは音の高さを表しています。

「場所説」では、音の高さはその音が共鳴する内耳の基底膜上の場所によって決まると考えられています。

一方、周期性など音に含まれる時間情報を手掛かりとしているとする「時間説」も存在します。時間説においては、高周波音間の位相(周期の内の位置情報)効果が観察されないとの指摘が挙げられています。

本選択肢は「時間説」の説明となっているため、誤りとなります。

4 人間が聞き取れる音を可聴領域と呼び、一般的に20Hzから20,000Hz程度までの範囲であるとされています。その中でも2,000Hzから4,000Hzの周波数帯の感度が良く、聞きとりやすいと言われおり、「周波数が高くなるほど単調に減少する」といった記述は誤りとなります。

5 人が感じる音の大きさ、つまり主観的な音の大きさを「ラウドネス」と呼びます。ラウドネスの単位はphon(ホン・フォン)となるため、誤りとなります。

なお、デシベルとは、ある基準に対しての大きさ(相対値)を表す単位であり、騒音の目安として用いられることがあります。

参考になった数74

02

正答は2です。

1 .聴覚の受容器は、蝸牛内にある「有毛細胞」です。

音は、外耳から中耳まで空気の振動として伝わってきて、内耳の蝸牛という器官へ入り、そして蝸牛内部にある「有毛細胞」という細胞が音を感受します。

有毛細胞は、片耳に約15,000個並んでいて、「感覚毛」という細い毛のような束をもっています。蝸牛に音の振動が伝わると、この有毛細胞の感覚毛が揺れて興奮し、音を電気信号へと変換します。そして聴神経を経て脳に到達すると、音が聞こえることになります。

「双極細胞」は視覚に関する細胞で、網膜にある神経細胞の一つです。

外からの光は、網膜にある視細胞によって電気信号に変換され、神経細胞(水平細胞、双極細胞、アマクリン細胞、神経節細胞)に伝達されます。そして眼球の外に出て、視神経、脳の視覚野へと伝達されます。

よって、選択肢1は誤りです。

2 . 音源定位とは、音がどこから聞こえてきたのかわかる能力のことです。 

音源定位の手がかりには、音が耳に到達するまでの左右の耳の時間差(両耳間時間差)や、一つの音源から発する音の左右の耳における大きさ差(両耳間強度差)が用いられます。

よって、選択肢2は正しいです。

3 .ピッチとは知覚的な音の高さのことです。

「場所説」とは、蝸牛基底膜上で共鳴する周波数が場所によって少しずつ異なり、それによってピッチを知覚しているとする説です。

この場所説では、低周波音の知覚の説明が困難となります。

それは、50ヘルツ以下の周波数の場合は、基底膜のすべての部分がほぼ均等に振動し、これは50ヘルツ以下の異なる周波数を弁別する方法がないことを意味しているからです。

一方、「時間説」とは、音のピッチが音響波形の周期という時間情報によって決定されるという説です。

この時間説では高周波音の知覚の説明が困難となります。

それは、波形に従う線形繊維の能力は、約4000ヘルツで駄目になりますが、人間はもっと高い周波数の音を聴くことができるからです。

よって、選択肢3は誤りです。

4 .人間の可聴範囲は周波数で20~20,000Hzにわたり、音圧レベルでほぼ0~120dBの範囲となり、周波数的にも音の強さにおいても広い範囲の音を聞き取ることができます。

可聴領域の中でも、人間の耳が聞きとりやすい感度のいい周波数帯が2,000Hz~4,000Hzの高さの音とされています。

低い周波数や高い周波数では、それぞれ感度が低くなっていきます。

よって、選択肢4は誤りです。

5 .主観的に感じる音の大きさ「ラウドネス」の単位は「phon:フォン」です。

デシベル(dB)は音圧の単位です。

よって、選択肢5は誤りです。

参考になった数29

03

正答は2です。

1.蝸牛にある聴覚受容器は、有毛細胞と呼ばれていますので、この選択肢は誤りです。

双極細胞は、視覚をもたらす網膜にあります。

2.音源定位には、両耳間時間差と両耳間強度差が用いられます。

3.ピッチとは音の高さのことです。

ピッチ知覚の予測は、場所説によって可能です。

4.聴覚感度は、3000Hzから4000Hzほどで感度が最も高くなり、周波数がそれより高くなったり低くなったりすると、感度は低下します。

5.音の大きさを表すラウドネスの単位は、phon(フォン)です。

デシベルは、音の強さを表す単位ですので、この選択肢は誤りです。

参考になった数25