公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問87
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問87 (訂正依頼・報告はこちら)
社会的排斥の原因を説明する理論として、最も適切なものを1つ選べ。
- 衡平理論
- バランス理論
- 社会的交換理論
- 社会的インパクト理論
- 社会的アイデンティティ理論
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この過去問の解説 (3件)
01
正答は5です。
社会的排斥とは、集団や個人から仲間はずれにされることを指します。
1 衡平理論とは、自身の投入量(仕事量や努力など)への対価(報酬)と、他者の投入量への対価を比較して差がある場合、不公平だと感じ、投入量を減らすなどしてバランスを取ろうとすることを指します。社会的排斥に関する説明としては、適切ではありません。
2 バランス理論とは、他者や対象を評価する際には、自己(P)、他者(O)、物事(X)の均衡状態が重要であり、不均衡が生じた場合は修正しようとする意識が働くことを指します。例えば、自分(P)が好意を持っている相手(O)が好きなもの(X)については好きになろうとする、逆に、自分(P)が嫌悪感を抱いている相手(O)が好きなもの(X)を嫌いになろうとするといった形で、感情的にバランスの取れた状態に調整します。これも、社会的排斥に関する説明としては、適切ではありません。
3 社会的交換理論において、人間は様々なものを交換することで対人関係を形成していると考えられています。交換されるものには、親切に仕事を教えてもらえたことに対して感謝や尊敬の意を示すといった、情報やサービス、感謝や愛情などの無形物も含みます。これも、社会的排斥に関する説明としては、適切ではありません。
4 社会的インパクト理論とは、個人の遂行行動に対する、場に存在する他者から受ける影響の大きさを定式化したものです。定式は、他者の人数、影響の強さ(地位や社会的立場)、近接性(時間・空間的な近さ)から構成されています。これも、社会的排斥に関する説明として適切ではありません。
5 社会的アイデンティティ理論とは、自身がどのような社会集団に所属しているのかといった認識のことを指します。自身が所属している集団(内集団)に対して肯定的な印象を持ちやすいといった「内集団びいき」が起こることによって社会的排斥が起こることが考えられます。したがって、正答です。
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02
正答は5です。
社会的排斥とは、集団や個人から仲間はずれにされることです。
1 .衡平理論とは、アダムスによって提唱されたモチベーションの理論です。
職場で仕事量や投入量、対価としての報酬について自分と他者を比較し、不公平さを感じる場合、それを解消し公平となるような行動をとるように動機付けられるというものです。
社会的排斥を説明する理論ではない為、誤りです。
2 .バランス理論とは、ハイダー(Heider)が提唱した対人関係の理論で、P-O-Xモデルとも呼ばれています。
個人(P)、他者(O)、両者に共通の関心対象(X)の間において、それぞれに対する態度に均衡を好み、不均衡な不快な状態の場合には、個人は他者や共通の関心対象への態度について自己の認知を変化させることによって、均衡状態にしようとするという理論です。
社会的排斥を説明する理論ではない為、誤りです。
3 .社会的交換理論は、人は有形無形の様々なものを交換することによって、人間関係を形成したり、発展させたりしているという理論です。
交換されるものは物質的なものだけでなく、情報などの無形物や愛情や尊敬といった情緒的なものも含まれます。
社会的排斥を説明する理論ではない為、誤りです。
4 .社会的インパクト理論とは、ある状況におかれた個人が場に存在する他者から受ける影響の大きさについて定式化した理論です。
人が他者から受ける影響は、影響源の人の数、影響の強さ(地位や社会的勢力など)、近接性(時間的・空間的距離)によって規定されるとしています。
社会的排斥を説明する理論ではない為、誤りです。
5 .社会的アイデンティティ理論とは、人は望ましい自己評価を得る為に、自分が所属している集団(内集団)と外集団の境界を明確にし、内集団をより高く評価する、優遇するという内集団びいきが生じるという考え方に基づく理論です。
このような内集団びいきが、集団間の葛藤や偏見に繋がり、社会的排斥が起こることが考えられます。
よって、社会的排斥を説明する理論として適切です。
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03
正答は5です。
社会的排斥とは、仲間はずれなど、集団の中でメンバーが排斥されることです。
選択肢の中では、5の「社会的アイデンティティ理論」が最も社会的排斥を説明できます。
社会的アイデンティティとは、特定の集団やカテゴリーに属しているという認知とそれに伴う感情を意味します。
自らが所属する集団や自己が同一視する集団のほうを、それ以外の外集団よりも肯定的に評価をする状況が生じます。
そのため、同一視がなされない他者を排斥するというプロセスが生じます。
1.衡平理論とは、Adams, J. S. によって提唱された理論です。
社会において、「自分の仕事への取組みに対する報酬」と、「他者の仕事への取り組みに対する報酬」に不公平を感じた場合、公平にするように動機づけられるという、モチベーションの理論です。
2.バランス理論とは、Heider, F. が提唱した認知的均衡理論のことです。
Heider, F. は、自分(P)、他者(O)、対象(X)の三者関係を、「好き(+)」「嫌い(−)」で表しました。これは「POXモデル」と呼ばれます。
「好き(+)」と「嫌い(−)」のバランスをとるように(積が+となるように)、人が均衡を取ることが説明されています。
3.社会的交換理論とは、基本的な人間関係を説明する理論です。
人間と人間との行動の交換を、商取引における売手と買手との関係とみなし、互いに利益最大・損失最小を求めて交渉が行われると考える理論です。
4.社会的インパクト理論は、対面コミュニケーションにより影響を受けたことが、対面場面をはなれてもなお残ることを示した理論です。
5.上記の解説の通りです。
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