公認心理師の過去問
第3回（2020年）
午後 問90

正答は４です。

MMPI（ミネソタ多面的人格目録）は、ハサウェイとマッキンリーによって開発された質問紙法の性格検査です。

質問項目は550項目あり、それぞれに対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」の３つの選択肢から回答します。

質問項目は、４個の妥当性尺度（？尺度・L尺度・F尺度・K尺度）と、10個の臨床尺度（①心気症（Hs）②抑うつ（D）③ヒステリー（Hy）④精神病質的偏奇性（Pd）⑤男子性・女子性（Mf）⑥パラノイア（Pa）⑦神経衰弱（Pt）⑧統合失調症（Sc）⑨軽躁病（Ma）⑩社会的内向性（Si））で構成されています。

１　「はい」「いいえ」「どちらでもない」から回答する３件法であり、誤りとなります。

２　MMPIには上記の10個の臨床尺度のほか、別の概念を測るために組み合わせて作られた「追加尺度」が存在します。追加尺度は20尺度よりも多く、数百種類もあると言われており、MAS (顕在性不安)などが挙げられます。よって、誤りとなります。

３　「F尺度」は、でたらめに回答するなどの回答態度、あるいは心理的に混乱しているなどの精神病理の程度を調べる尺度です。

なお、検査に対す防衛的態度の程度を調べるものは「K尺度」となります。したがって、誤りとなります。

４　男子性・女子性（Mf）は、性別によって解釈基準が異なる尺度です。

例えば、得点が高いとき、男性の場合は「女性的な態度や性格である」と解釈し、女性の場合は「女性らしさにとらわれない」といった解釈となります。したがって、正答となります。

５　MMPIの解釈においては、得点をTスコアに置き換えて見ていきますが、90という数値はかなり高い値となります。つまり、第0尺度（Si）が高いことから内向的であり、第7尺度（Pt）の高さからは緊張感や不安感が強いことが窺え、対人場面などにおいて緊張感や不安感が高まる様子が推察されます。

しかし、「精神的に混乱している」とまでは言い難く、正しいとは言えません。

正答は４です。

MMPI（Minnesota Multiphasic Personality Inventory：ミネソタ多面的人格目録）は、Hathaway, S. R. とMcKinley, J. C. が開発したパーソナリティ検査です。

10の臨床尺度と4の妥当性尺度からなります。

質問紙法が用いられ、項目数は550です。

１．MMPIは原則として、「当てはまる」か「当てはまらない」かの2択で、「どちらともいえない」という回答はできるだけ避けるように求められています。

5件法ではありませんので、誤りです。

２．MMPIの追加尺度として代表的なものに、MAS（顕在不安尺度）があります。

また、自我強度尺度（ES）、抑圧尺度、依存性尺度などがあります。追加尺度は数え切れないほどあります。

「20尺度」ではありませんので、誤りです。

３．「F尺度」は、「頻度尺度」として、「心理的混乱、問題点の誇張、適応水準」を査定する内容となっています。

防衛的、自己批判的な態度を査定する尺度は、「K尺度」＝ 修正尺度です。

MMPIには、妥当性尺度として、「F尺度」＝ 頻度尺度、「K尺度」＝ 修正尺度、「？尺度」＝ 疑問尺度、「L尺度」＝ 虚偽尺度の４つがあります。

４．記述の通りです。

第5尺度（Mf）は、「男性性・女性性」尺度として、「典型的な性役割に対する取得度や価値観」を査定する内容となっています。

性別により、解釈基準が異なります。

５．第0尺度（Si）は、「社会的内向」尺度として、「社会的活動や対人接触を避ける傾向」を査定する内容です。

第7尺度（Pt）は、「精神衰弱」尺度として、「不安や緊張、強迫などの神経症的傾向」を査定する内容です。

したがって、「第0尺度と第7尺度が90の場合は精神的混乱状態と解釈できる」というのは誤りです。

「精神的混乱」を解釈する尺度としては、第7尺度に加え、F尺度（頻度尺度）や第6尺度（Pa）などがあげられます。

MMPIのプロフィールについては、さまざまな分析の視点や解釈のし方があります。

正答は4です。

MMPI（ミネソタ多面的人格目録）とは、ミネソタ大学のHathaway, S. R.（ハサウェイ）とMcKinley, J. C.（マッキンレイ）によって作成された質問紙法による心理検査です。

550問の質問項目からなり、10個の臨床尺度と4個の妥当性尺度から構成されています。

妥当性尺度は、被検査者の受験態度から検査結果の意図的な歪曲がないかを判断する尺度です。

1 ．MMPIでは、「あてはまる」「あてはまらない」のどちらかを選択する2件法であることを強調し、どうしても決められない場合にのみ「どちらでもない」を選択してよいとしています。

よって、記述は誤りです。

2 ．追加尺度には、代表的なもので「顕在性不安尺度（MAS）」などがあり、その他にも100以上の尺度が開発されています。

よって、記述は誤りです。

3 ．F尺度は、妥当性尺度の一つで、通常では起こり得ない内容に「はい」と答える頻度を調べる尺度です。

F尺度が高得点の場合、教示や文章の誤解、非協力、詐病、精神症状の急性症状などを示しています。

心理的防衛の高さを示す尺度は、妥当性尺度のうち「K尺度」なので、記述は誤りです。

4 ．第5尺度（Mf）は、男性性・女性性の尺度です。

性別により得点化の基準も違い、解釈も異なります。

男性が高得点の場合は、「女性的な受動的性格」といった解釈となり、女性が高得点の場合は、「女性らしさにこだわらない」などの解釈となります。

よって、記述は正しいです。

5 ．MMPIの結果は、各尺度の素点を平均50、標準偏差10のT得点に換算します。

記述の「第0尺度（Si）と第7尺度（Pt）が90」という値は、高得点となります。

第0尺度（Si）は、社会的内向を示す尺度で、高得点の場合は内向的な性格であることを表します。

第7尺度（Pt）は、精神衰弱を示す尺度で、高得点の場合、緊張感や不安感が強いことを表しています。

したがって、記述のように「精神的混乱状態と解釈できる」とは言えず、誤りとなります。