公認心理師の過去問 第3回(2020年) 午後 問93
この過去問の解説 (3件)
正答は4です。
1 「身体依存」とは、物質の効果が減弱・消失したときに「離脱症状」と呼ばれる身体の症状が起こる状態のことを指しており、誤りとなります。
なお、身体依存に対して「精神依存」は、薬物を摂取したいという強い欲求が生じ、物質を手に入れるための探索行動を引き起こすことを言います。
2 「離脱」とは、依存性のある物質の反復使用を中止することを指し、このときに生じる起こる離脱症状のことを指します。離脱は一時的な状態でもあり、完全に中止した状態ではないため、誤りとなります。
3 「中毒」とは、物質が体内に取り込まれたことによって、身体に異常をきたすことを指しており、誤りとなります。
なお、身体的に危険な状況にあっても物質の使用を反復することは「乱用」と呼びます。
4 記述のとおりです。「耐性」とは、物質に対して抵抗性を持ち、物質が効かない・効きにくくなることを指し、同じ効果を得るために使用量を増加しなければならなくなります。
5 「乱用」とは、法律で禁止されている薬物の使用など社会規範から逸脱した目的や方法、物質を使用することを言い、誤りとなります。
この選択肢のように、物質を反復使用によって物質に対する反応が増加する現象のことを、「逆耐性」や「フラッシュバック」と呼びます。
正答は4です。
「物質関連障害」とは、「依存症」のことです。
アルコール、覚醒剤・大麻などの危険ドラッグ、睡眠薬など、精神に作用し、依存性のある物質の使用がやめられない物質乱用や、物質依存症のような使用上の障害、または過剰摂取が原因となる物質中毒や、依存が形成されてからの減薬によって起こる離脱症状など、物質と関連した障害の総称です。
1 .依存には「身体依存」と「精神依存」があります。
「身体依存」とは、薬物の摂取を止めると離脱症状と呼ばれる身体症状が起こる状態のことです。
物質への渇望や強い欲求が生じるのは「精神依存」なので、誤りです。
2 .「離脱」とは、依存性のある薬物などの反復使用を中止あるいは減薬することによって病的な症状が生じる状態を指します。
「離脱症状」は、精神的には依存対象を渇望し、そのことばかりを考える状態に陥り、身体的には発汗、不眠、振戦せん妄などが出現します。
よって、記述は誤りです。
3 .「中毒」とは物質依存に基づいて乱用を続けることで中毒症状が出現することです。
中毒症状は原因物質によって異なりますが、不安、不眠、ふらつきなどの軽度なものから、抑うつ、錯乱、幻覚妄想、意識障害、健忘など重度なものまであります。
「身体的に危険な状況にあっても物質の使用を反復すること」は「乱用」と呼ぶため、記述は誤りです。
4 .「耐性」とは、薬物の反復使用により薬物の効果が弱まり、初期と同じ効果を得るために使用量を増やさなければならない状態のことです。
よって、記述は正しいです。
5 .「物質の反復使用により出現した精神症状が、再使用によって初回よりも少量で出現するようになること」を「逆耐性」と言います。
よって、記述は誤りです。
正答は4です。
1.「物質への渇望や強い欲求」というのは、「精神依存」の説明です。
「身体依存」は次のように説明されます。
ある量以上の物質が常時体内に存在するとき、生体が物質の存在に適応するため、物質の効果が減弱し「耐性」が生じる。
このような適応が生じているときに物質使用量が急激に減量されたり中止したりすると生体が不均衡状態に陥り、離脱症状あるいは退薬症状と呼ばれる不快な症状が出現する。これを避けるために一層その物質を求めるようになる。
(引用文献)
心理教科書 公認心理師 完全合格テキスト 公認心理師試験対策研究会(著) 2020年 翔泳社
2.依存性物質が急激に減量されたり中止されたりすると、生体が不均衡状態に陥ります。
これを「離脱症状」または「離脱」といいます。
3.中毒とは、毒性を持つ物質が許容量を超えて体内に取り込まれることをいいます。
身体的、社会的な問題になるような物質の使用は、DSM-Ⅳ-TRでは「乱用」、DSM-Ⅴでは「物質使用障害」の一つとされています。
4.記載の通りです。
同じ効果を得るために、より多くの物質の摂取が必要になることを「耐性」といいます。
5.「乱用」については、3の解説の通りです。
「物質の反復使用により出現した精神症状が、再使用によって初回よりも少量で出現するようになること」は「逆耐性現象」の説明です。
物質の使用を中止しても、疲労などを契機に症状が自然再燃することを「フラッシュバック」といいます。
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