公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問102

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問102 (訂正依頼・報告はこちら)

社会的勢力は、組織や集団の目標を実現するためのリーダーの影響力の基盤となる。このうち、メンバーがリーダーに対して好意や信頼、尊敬を抱くことで、自らをリーダーと同一視することに基づく勢力として、正しいものを1つ選べ。
  • 強制勢力
  • 準拠勢力
  • 正当勢力
  • 専門勢力
  • 報酬勢力

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解:2】

社会的勢力とは、他者の態度、行動、情動になんらかの影響を及ぼすことのできる潜在的な能力のことで、「社会的影響力」ともいいます。社会的勢力には選択肢にあるように5つの種類がありますが、そのうち、設問に適した勢力は「準拠勢力」なので、正解は2となります。

1:強制勢力とは、送り手が、受け手が回避したいと思う罰を保持していることに基づいた社会的勢力です。5の報酬勢力と対を成すものです。

3:正当勢力とは、特定の社会的地位にいることによって生じる社会的勢力のことです。

4:専門勢力とは、専門家としての知識や技能に基づいた社会的勢力のことです。

5:報酬勢力とは、送り手が受け手の望んでいるもの(報酬)を提供できることに基づいた社会的勢力のことです。

蛇足ながら、「準拠」という言葉自体はクライアント中心療法の共感的理解の文脈でも出てくる単語です(クライアントの内的準拠枠)。共感的理解は“あたかも相手と同じように感じる”ことを指しますので、そこから問題文にある“同一視”と関連付けて解答することも可能でしょう。無論、社会的勢力という用語を知っておくに越したことはありませんが。

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02

正解は2です。

社会的勢力とは、人や組織が、他の人々の行動に影響を与える潜在能力を言います。

Raven, B. H.(1959)らは、社会的勢力を6つに分類しました。

① 報酬勢力:報酬を与える能力を基礎とした勢力です。賃金などの報酬だけでなく心理的な報酬も含まれます。

② 強制勢力:罰を与えることができる勢力です。

③ 正当勢力:特定の役割についた人の指示に従うべきだという了解を共有している人に対して働く勢力です。

④ 専門勢力:専門的で正しい知識を持っているはずだという影響を与えることができる勢力です。

⑤ 準拠勢力(参照勢力):その人のようになりたいという影響を与えることができる勢力です。

⑥ 情報勢力:選択肢そのものが持つ情報に依拠し、受け手が持つ認識によって決まる勢力です。

https://kagaku-jiten.com/social-psychology/group/social-power.html より引用)

1.→強制勢力は、リーダーが罰を与えることによってメンバーを従わせるという勢力です。よって、1は誤りです。

2.→準拠勢力は、リーダーがメンバーに「その人のようになりたい」という影響を与えることができる勢力です。メンバーがリーダーに対して好意や尊敬を向け、自らをリーダーと同一視させています。よって、2は正しいです。

3.→正当勢力は、「リーダーの指示に従うべきだ」という了解を共有しているメンバーに対して働く勢力です。よって、3は誤りです。

4.→専門勢力は、「リーダーが専門的で正しい知識を持っているはずだ」という影響をメンバーに与えることができる勢力です。よって、4は誤りです。

5.→報酬勢力は、リーダーがメンバーに報酬を与えることによって、リーダーが目標を実現するための影響を与えることができる勢力です。よって、5は誤りです。

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03

正答は2です。

社会的勢力は、組織や集団の目標を実現するための、リーダーの影響力の基盤となります。

集団のリーダーは、集団を維持すると同時に、集団の目標達成に向けて、メンバーに対して影響を与えます。

選択肢にあげられているのは、社会的勢力の初期の研究であげられた、5つの基盤です。

このうち、問題文にある「自らをリーダーと同一視することに基づく勢力」とは、「準拠勢力」のことです。

1.「強制勢力」は、リーダーが罰を与えることができる能力です。

2.上記の解説の通りです。

3.「正当勢力」は、メンバーの行動をコントロールする正当性があることです。

4.「専門勢力」は、優れた専門的知識や技能をもつことにより、勢力の基盤となることです。

5.「報酬勢力」は、報酬を与えることができる能力に基づく勢力です。

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