公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問105
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問105 (訂正依頼・報告はこちら)
双極性障害について、適切なものを1つ選べ。
- 遺伝的要因は、発症に関与しない。
- うつ病相は、躁病相よりも長く続く。
- 自殺のリスクは、単極性うつ病よりも低い。
- うつ病相に移行したら、気分安定薬を中止する。
- 気分の変動に伴ってみられる妄想は、嫉妬妄想が多い。
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解:2】
双極性障害は気分障害の1つで、抑うつエピソードと躁病エピソードを反復することが特徴です。日本での発症率は0.4~0.7%とされており、うつ病(約10%)より低くなっています。
1:原因の1つに「脆弱性モデル」が指摘されており、遺伝的要因の関与が考えられています。
2:正しい記述です。
3:自殺リスクは、うつ病が一般人口の5~10倍であるのに対し、双極性障害は15倍ほどとされています。
4:双極性障害の治療の基本は、気分安定薬による薬物治療です。最低2年間は気分安定薬の継続が必要とされており、うつ病相に移行したからといって中止すべきではありません。
5:嫉妬妄想とは妄想の1つで、配偶者や愛人などが、他人と愛情関係や性的関係をもっていると信じるもので、周囲からみて異常なほどの嫉妬感情に支配されている状態です。原因には認知症や妄想性障害、統合失調症などがあります。
一方、双極性障害に多いのは、誇大妄想や被害妄想です。
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02
正解:2
双極性障害は、以前は「躁うつ病」といわれていた極端な躁状態(活動的すぎる時期)とうつ状態(無気力で憂うつな時期)を繰り返す病気です。
躁状態では、人によってはハイテンションで買い物やおしゃべりが止まらなかったり、攻撃的になったり、なんでもできると思ったり…と、人間関係のトラブルを引き起こすことがあります。
逆に、うつ状態では、活動する気にならない、眠れない、食欲がないといった症状が現れます。
躁の時期に「調子が良くなった」と感じて、治療の中断につながることがあります。
1、双極性障害の発症の要因として、遺伝的要因の関与が研究で明らかにされています。しかし、遺伝のみではなく、環境的要因も関係しているといわれています。
2、適切です。
「病相=その病気にかかっている様子」のことで、うつ病相とは、うつ病の症状がでている時期と考えます。特に双極Ⅱ型障害では、ごく軽い躁状態のあと、長いうつ状態が続きます。
3、躁状態とうつ状態が混じって現れる時期を「混合性エピソード」といい、この時期に自殺のリスクが高くなります。
4、双極性Ⅱ型障害は、長いうつ病相の中に、軽い躁病相が繰り返されます。この気分の波をマイルドにするのが、気分安定薬です。薬によって気分の波が激しくならないようにしているため、薬の中止は危険です。
5、妄想性障害・嫉妬型は、配偶者や恋人が不貞を働いていると信じ込むものです。双極性障害では、病状がひどい時に一時的に考えの偏り(妄想)が出ることもありますが、嫉妬妄想が多いというわけではありません。
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03
正答は2です。
双極性障害は、大きく「双極Ⅰ型障害」と「双極Ⅱ型障害」の二つに分けられます。
双極Ⅰ型障害は、典型的な躁病エピソードを経験し、躁病エピソードと抑うつエピソードを交代しながら繰り返します。
双極Ⅱ型障害は、大うつ病の診断基準を満たし、少なくとも1回の明らかな軽躁病エピソードを体験していなくてはなりません。
軽躁病エピソードは見逃されやすく、大うつ病と誤診されやすいです。
1.ほとんどの精神疾患は、遺伝的要因も発症に関与すると思われます。
「遺伝的要因は、発症に関与しない」という記述は、不適切です。
2.うつ病相は、躁病相よりも長く続きます。
記述の通りであり、適切です。
3.自殺のリスクは、双極性障害のうつ状態のほうが、単極性うつ病よりも高いといわれています。
したがって、不適切です。
4.双極性障害のうつ状態には、気分安定薬を用います。
気分安定薬の炭酸リチウム、バルプロ酸は、「躁病および躁うつ病の躁状態の治療」に適応します。
気分安定薬のラモトリギンは、「双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」に適応します。
「うつ病相に移行したら、気分安定薬を中止する」という記述は、一般的には適切とは考えられません。
5.双極性障害において、嫉妬妄想が特に多いとはいわれていません。
したがって、不適切です。
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