公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問106
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問106 (訂正依頼・報告はこちら)
向精神薬の薬物動態について、適切なものを2つ選べ。
- 胆汁中に排泄される。
- 主に腎臓で代謝される。
- 代謝により活性を失う。
- 薬物の最高血中濃度は、効果発現の指標になる。
- 初回通過効果は、経静脈的投与の際に影響が大きい。
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解:1と3】
薬物動態とは、薬物が体内に投与されてから排泄されるまでの過程を示すものです。
具体的なプロセスは、吸収(Absorption) → 分布(Distribution) → 代謝(Metabolism) → 排泄(Excretion) の流れになります。頭文字を取って、ADME(アドメ)と呼ばれます。
1:正しい記述です。排泄経路としては、胆汁や尿中、呼気などが挙げられます。
2:腎臓ではなく、主に肝臓で代謝されます。
3:正しい記述です。肝臓での代謝により、活性を失います。
4:最高血中濃度とは、薬物投与後の最大血中濃度のことです。一見すると高ければそれだけ効果が出そうですが、高すぎると今度は副作用域(中毒域)に達してしまいます。そのため、効果発現の指標としては、最高血中濃度ではなく、「有効血中濃度」の方が適していると言われています。
5:初回通過効果が大きいのは、経静脈的投与ではなく、経口投与(内服)した場合です。
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02
正解:1・3
向精神薬とは、精神科で使用される薬のことで、睡眠薬、抗うつ薬、抗不安薬などがあります。
また、薬物動態とは、薬が身体に入ってから、排泄されるまでのことです。
1、 適切です。
胆汁とともに便として排出されたり、腎臓から尿として排泄されたりします。また胆汁は肝臓で作られます。
2、薬を排泄しやすくするのは、肝臓の役割です。
3、適切です。
薬は身体の中を、吸収→分布→代謝→排泄と動きます。代謝とは、薬を排泄しやすくすることですから、そこから活性する(物質の機能が働く)ことはありません。
4、血中濃度とは、血液中の薬の量のことです。濃度が高いと、血液中に多量の薬があるということになりますが、多すぎると副作用も出やすくなります。血液中の薬の量が多いから薬の効果がある(効いている)、というわけではありません。
5、初回通過効果とは、薬が1回目に肝臓を通った時に薬の効き目が無くなることです。飲み薬は、「胃→腸→肝臓→心臓→血液により全身→肝臓→排泄」の順に運ばれます。
効果は、血液が全身に薬を運ぶことで現れます。
経静脈投与は、注射のことですから、直接薬剤を血液に入れると1回目の肝臓を通らないことになります。よって初回通過そのものがありません。
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03
正答は1または3です。
向精神病薬の薬物動態について問われています。
服薬した薬は、十二指腸および小腸から吸収され、門脈を経て肝臓に運ばれます。
一部は代謝され、代謝されなかった薬が血中に入り、血中のタンパク質と結合して体の各所に分布されます。
その後再び血中に運ばれ、肝臓で代謝されていきます。
1.正しい記述です。
肝臓の薬物トランスポーターによって胆汁中に排泄されます。
2.主に肝臓で代謝されますので、誤りです。
薬は代謝物になり、腎臓から排泄されます。
3.正しい記述です。
薬によっては、ベンゾジアゼピン系の薬では、代謝物にも高い活性が残っていることがあります。
4.効果発現の指標になるのは、定常状態に達したあとの血中濃度となります。
睡眠導入薬などでは、血中濃度が最高に達する時間帯に入眠できることが期待されます。
5.初回通過効果とは、経口摂取された薬が、全身循環する前に、どのくらいの薬が消失するかを示したものです。
経静脈的投与のことではありませんので、誤りです。
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