公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問109
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問109 (訂正依頼・報告はこちら)
公認心理師の対応として、不適切なものを1つ選べ。
- 親友に頼まれて、その妹の心理療法を開始した。
- カウンセリング中のクライエントに自傷他害のおそれが出現したため、家族に伝えた。
- 治験審査委員会が承認した第Ⅲ相試験で心理検査を担当し、製薬会社から報酬を得た。
- カウンセリング終結前に転勤が決まり、クライエントへの配慮をしながら、別の担当者を紹介した。
- 1年前から家庭内暴力<DV>を受けているクライエントの裁判に出廷し、クライエントの同意を得た相談内容を開示した。
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解:1】
公認心理師の倫理に関する選択肢が並んでいます。
1:親友の妹ということですから、業務外でも関わる可能性があります。と考えると、妹に心理療法を行った場合は多重関係になると考えられますから、不適切な対応と言えます。
2・5:2と5はともに守秘義務に関する選択肢です。守秘義務については、その定義とともに例外を押さえておく必要があります。
“公認心理師の職責”(野島一彦 編,2018)によれば、守秘義務の例外には、
・明確で差し迫った生命の危険があり、攻撃される相手が特定されている場合
・虐待が疑われる場合
・クライアントが、自分自身の精神状態や心理的な問題に関連する訴えを裁判等によって提起した場合
・クライアントによる明示的な意思表示がある場合
などがあります。よって、2と5は共に適切な対応と言えます。
3:第Ⅲ相試験とは、3段階ある治験の第3段階に行われる試験です。多くの患者に対して薬剤を投与し、第Ⅱ相試験よりも詳細な情報を集め、実際の治療に近い形での効果と安全性を確認するために実施されます。
製薬会社からの依頼を受けて心理検査を担当しているわけですから、製薬会社から報酬を受け取ることは特に問題はないと言えます。
4:適切な対応です。例えば、終結に際してクライアントに悲しみや怒り、困惑など様々な感情が沸き上がる可能性がありますから、そういった感情は面接の中で扱うべきです。
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02
正解:1
公認心理師の倫理に関する問題です。
1、 不適切です。
これは倫理的に問題とされる多重関係にあたるため、不適切です。
家族などの身内や友人など親しい関係の人をクライエントにすることはありません。公認心理師自身と近い関係にあるということは、専門家としての関わり以外に、個人的な生活の中での関わりや影響が出てくる可能性があるからです。
2、自傷他害とは、クライエント自身や、周囲の他人を傷つける行為のことですから、秘密保持義務の例外にあたります。クライエントを含み、犠牲者となり得る人がいるときには、その人を守る義務(保護義務)があります。
3、治験とは、新しい薬の効き目や副作用を調べるもので、第Ⅲ相試験とは、多くの患者さんに協力してもらう段階です。
治験の協力に対する製薬会社からの報酬を医療機関がどのように分配するかは、病院ごとに異なります。公認心理師に報酬が出ることも、ないとは言えません。
4、公認心理師自身が望んでいない転勤であっても、途中で担当を外れるのは、クライエントを見捨てることになります。
公認心理師不在時の対応として、別の担当者を紹介するのは適切です。
5、公認心理師が、クライエントの情報開示するときにはクライエントの同意が必要です。
この場合は、同意があるので、問題はありません。
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03
正解は1です。
1.→親友の妹の心理療法は、多重関係に該当します。治療以外でかかわる可能性があるので、1は不適切です。
2.→自傷他害のおそれがある場合は、守秘義務の例外になります。よって、2は適切です。
3.→治験審査委員会が承認した試験で心理検査を行うのは業務内のことです。業務を行ったことにより報酬を得るのは問題ありません。よって、3は適切です。
4.→転勤により、クライエントに配慮した上で次の担当者を紹介するのは適切です。よって、4は適切です。
5.→DVを受けているクライエントの裁判にて、クライエントの同意を得た相談内容を開示するのは、「クライエントの同意を得ている」ことと、「クライエントの利益になる」ことですので、5は適切です。
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